良い“コバ“とは。革製品のコバについて考える。

ども!BRUSHの長谷川です。

今回は革製品のコバに関してです。
みなさん、革製品の「コバ」って何のことかご存知でしょうか。

はい、ここです。革の切れ目の事を「コバ」と呼びます。小林さんではありません。
このコバを見るとその革製品が手間を惜しまずに作られているのかどうかがざっくりとわかります。

まず、コバには大きく分けて3つの仕上げ方法がございます。

1.切り目本磨き
切ったコバに染料を入れ、仕上げ材で磨く方法。ほのかにツヤがあり、ナチュラルな見た目。



2.「顔料仕上げ」「塗りコバ」などと呼ばれる仕上げ方法
切ったコバに顔料を塗り、固めて仕上げる方法。樹脂を含んだ液体が固まり、ぷっくりとした見た目。

3.ヘリ返し
外側の革を大きめに裁断し、薄く漉いてそれを被せる方法

1の切り目本磨きは強度という点で言うと1番かもしれません。
手間がかかる、濡れた状態で白い布で擦ると色移りがするなどのデメリットもあります。

2の顔料仕上げはコバの上に塗料が「乗っている」状態なので、ペリペリと剥がれる事がございます。これは誰もが知ってるハイブランドの革製品でも当てはまります。
しかし、しっかりと下処理を行い、薄塗りを重ねて仕上げた顔料仕上げのコバは切り目本磨きと同じくらいか、それ以上の耐久性を誇る事もあります。


3のヘリ返しは薄く漉いた革で縁を包んでいるため、どうしても摩擦に弱いです。これは数年単位で考えた場合ですが、擦れて革が破れてしまうと修理ができません。
ただ、美しく仕上げるには熟練した技術が必要であり、手間が少ない分製品の価格を抑えられるというメリットもあります。

どれが優れているかと言われると難しいですが、「長く使える」という点で見ると「切り目本磨き」と「しっかりと下地を処理し、薄塗りした顔料仕上げ」でしょうか。
顔料仕上げは特に仕上がりの差が分かれますので、顔料仕上げだから良い、悪いとは言えません。
 

当工房のコバ仕上げ

BRUSHでは「切り目本磨き」と「顔料仕上げ」を採用しています。

こちらは切り目本磨き。切り目本磨きは1番手間のかかる方法です。
ヤスリ掛け→処理材を塗る→染料を入れる→処理材を塗る→磨く
簡単に行ってもこれだけの工程がかかります。より美しく仕上げる際はこの工程を繰り返すこともあります。
時間はかかりますが、やはり強度が違います。

1年使用した状態です。ぶつかった跡などダメージはつきますが、ボールペンなどの硬いものでスリスリするだけでもマシになります。
ちなみに当工房の製品でしたらコバの磨き直しは無料で行っております。

こちらは顔料仕上げのコバ。
当工房で扱う「シェーブルレザー」には顔料仕上げの方が適しているため、顔料仕上げを採用しております。
ヤスリで下地を整え、塗料を薄く塗るという工程を3回繰り返して仕上げております。
薄塗りで仕上げた顔料仕上げは不自然なぷっくり感がなく、一見すると切り目本磨きとの違いが分かりにくいです。
塗料を乾かすための時間など、手間はかかりますがここまでやる事によって塗料の剥がれを防ぐ事ができます。


おわりに

革製品を選ぶ際にはコバの仕上げ方法を軽く頭に入れておくと良い判断材料になるかもしれません。
しかしどの仕上げ方法も前述した通り「この仕上げ方法だから良い、悪い」とは言い切れませんので、あくまで目安として捉えるのがよろしいかと思います。
丁寧に仕上げられたヘリ返しは職人技が詰まっており美しいですし、反対に雑に仕上げられた切り目本磨きもあります。
本末転倒なことを言うと耐久性に関してもあくまで数年単位で見た結果ですので、「製品のデザインが気に入った」や、直感などで選んで頂くのももちろんありだと思っています。

良い革製品と巡り合える事を願ってます!
ご購読ありがとうございました。

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