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BRUSHで扱うスクラッチレザーに関して。

ども!BRUSH長谷川です。

今回は当工房で取り扱うスクラッチレザー「Margot」についてのご紹介と、そのお手入れ方法に関してです。
ご購入を検討されている方、また、ご購入頂いたうえでお手入れに関して気になる方に向けて発信したいと思います。

まずは参考画像から↓

一風変わったレザーです。
革の名前は「Margot(マルゴー)」
イタリア、トスカーナのタンナー、「テスティ&モンタリネ社」の製造する牛のショルダーレザーとなります。

BRUSHの主力商品はほとんどこのマルゴーが使われておりますが、あまり認知されていない革なので詳しく解説したいと思います。


・風合い豊かなマルゴーレザー。その特徴は?

まず最大の特徴ですが、革の表面にスクラッチ加工というものを施し、ザラザラとした質感で、少しだけ起毛しております。
スクラッチ加工とは、革の表面にあえて傷を加え、野生動物がブッシュの木の棘でついたような引っ掻き傷を表現したものです。
これによって革に立体感、ナチュラルな印象を与えてくれます。

有名どころですとバダラッシィ・カルロ社のプエブロレザーがこのような加工のされた革です。
マルゴーも革の加工方法自体はプエブロと同じですが、タンナーが違います。
マルゴーとプエブロの違いとしてはさほど差異はなく…間近で触ってもとても似ております。
どちらが優れているか、優劣はつけられません。

Black
スクラッチ加工が加わる事により、ブラックは少し白っぽい印象です。黒でも立体感が出ます。

Brown
マルゴーレザーのストロングポイントですが、その風合いはもちろんのこと、硬さと柔らかさのバランスがちょうど良く、オイルが含まれておりしなやかです。
曲げにも強く、品質も安定しております。
おまけに傷が目立ちにくいです。

修理屋さん時代から色々な革に触れてきたのですが、上記の点に感動し、主力のレザーとして取り扱う事に決めました。

・エイジング(経年変化)はどのように進んでいくか。

まず、マルゴーはエイジングが非常に進みやすいです。
革のタイプで言うとヌメ革で、染料染めの100%タンニンなめしです。
革の染め方にも色々ありまして、ざっくり言いますと色を「乗せる」顔料染めと、色を「入れる」染料染めとに分けられます。
マルゴーは後者ですので、革の表面に牛の生前についた傷などが残っていたり、非常にナチュラルな革です。

エイジングのサンプルがなかなか用意できないのですが、今回はカラーBrownでエイジングのサンプルを作ってみました。

左が新品のマルゴー、右がエイジング後のマルゴー。
日光に当て、布ですりすりして強制的にエイジングを進めてみました。
自然に使っても同じような感じになります。

エイジング後の特徴としては、スクラッチ加工が消え、つるんとしたスムーズレザーになります。色も濃くなり、艶が増しております。


エイジング後のマルゴー。曲げてみました。
艶感が伝わりますでしょうか。色もどら焼きみたいになっております。
まさに「使い込んだヌメ革」という印象。


新品時のマルゴー。艶は少なくマットな印象。
まるで別の革ですね。この表情の変化こそが、マルゴーレザーを扱う上で一番の楽しみかと思います。
使い込むほどに育ち、自分だけの色になっていきます。

•マルゴーレザーのお手入れは?綺麗にエイジングを進めるために。

マルゴーレザーのお手入れポイントは、新品時の初期段階とエイジング後の後期段階でお手入れ方法が変わります。
ですが、どちらも非常に簡単です。

・初期段階
はじめは、ブラッシングのみでOK。
「ブラシなんて持ってないぜ!買うのも御免だね!」という方は、何もしなくてもOKです。

マルゴーのエイジングは勝手に進んでいきます。それは、内部に浸透されたオイルのおかげで乾燥を防いでくれるためです。
マルゴーは放任主義でも勝手に育つ良い子です。

「お手入れしたい!」という方は、画像のような感じでサッサッと軽くブラシ掛けし、革の表面の汚れを取り除いてあげて下さい。何もしなくても大丈夫ですが、汚れを取り除いてあげる事でエイジングのムラが多少なくなります。
ちなみに、ブラシは馬毛、豚毛どちらでも構いません。
Amazonなどで買える500円ちょっとの靴ブラシで十分ですが、クリームの色が移らないようになるべく新品のブラシが良いでしょう。

・後期段階
エイジング後のマルゴー(1年以上使用し、色が濃くなり艶が出てきた)のお手入れですが、クリームを塗布してあげると革の寿命が伸びます。
革は乾燥に弱いです。繊維の集合体ですので、乾燥しているとひび割れや裂けを起こします。人間の肌と同じですね。
 
クリームのおすすめはコロニルのシュプリームクリーム無色、またはビーズワックスを推奨致します。

手順としては
ブラシで汚れを取り、クリームを塗布し、乾拭きで仕上げると言った感じです。
これを2〜3ヶ月に1度で十分です。

このような感じで、布に適量取り、塗り込んであげて下さい。
注意すべきは、エイジングが進んでいないマルゴーにクリームを塗ると、色が変わってしまいます。強制的にエイジングをさせたい場合でしたら良いのですが、まずはクリームを塗らずにそのままお使い頂くのが無難です。



左側は、クリーム塗布後のマルゴー。
右側は新品のマルゴー。
クリーム塗布後のマルゴーは、エイジング後のマルゴーよりもさらにほんの少しだけ色が濃くなりました。オイルが入ることでしっとりとしております。


•お手入れのまとめ
はじめは何もしないorブラッシングのみでOK。
1年以上使ったら、2〜3ヶ月に一度クリームを塗る。

こんな感じとなります。
もしお手入れで悩んだらTwitter、インスタのDMでもホームページのお問い合わせからでも大丈夫なので、長谷川にご相談下さい。(^^)

・恐るべきマルゴーの傷修復能力

ここまでマルゴーレザーの特徴と、そのお手入れ方法に関して記載しました。
ここからはおまけですが、エイジング後のマルゴーには傷の修復能力がつきます。

「ちょっと何言ってるかわかんない」

と突っ込まれそうですが、さっそく実験結果を見て頂きましょう!

エイジングサンプルのマルゴー。ここに…。

爪で引っ掻き傷をつけます。

豚毛ブラシでゴシゴシ。結構強めにゴシゴシします。

傷が消えました。

神秘的です…。詳しい理屈は正直よく分かっていないのですが、内部にオイルの含まれたレザーは擦ると傷が消える性質を持ちます。

マルゴーレザーは特に、エイジング後のつるんとした革になってからその特徴が現れます。
布で擦っても良いのですが、毛の硬い豚毛ブラシでゴシゴシ擦るのが最も効果があります。

注意点として、エイジング前のザラザラとした質感のマルゴーを1箇所だけゴシゴシ擦ると、擦った部分だけ艶々になってしまうのでお気をつけ下さい。

マルゴーレザーのご紹介は以上となります。
ここまでで、マルゴーレザーの特徴がお分かり頂けたでしょうか。
上質でしなやか、エイジングの幅がありとても育て甲斐のある革です。
お手入れをしてあげることで愛着も湧いてきますので、日々の変化を見ているだけでも楽しめるかと思います。
まだ取り扱いを始めてから日が浅いので製品のエイジングサンプルをお見せできませんが、サンプルが手に入ればそのうちインスタグラムやTwitterに載せたいと思います。

ご購読ありがとうございました。(^^)

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