男性が唄う女性歌(木綿のハンカチーフ)
学生時代に運動部仲間とカラオケに行った際には必ず唄う歌でした。
いかつい面々が唄う木綿のハンカチーフは
それなりに趣があったのかな。
今日は、宮本浩次さんが唄う
「木綿のハンカチーフ」を聴きました。
この曲はいわゆる「相聞歌」男女の間で
交わされる歌です。
「相聞歌」は雑歌、挽歌とともに「万葉集」の構成要素の一つだとか。
互いに安否を問って消息を通じ合うという
意味の込められた歌です。
この歌の男女は、男性が典型的なダメな奴で
女性はひたすら純粋で真っ直ぐ
しかも芯の強い人として描かれています。
オリジナル曲の太田裕美さんは、独特の甘い歌声がこの曲の女性のイメージにぴったりでした。
この曲を酷い奴側の男性が唄うとどうなるのかとても興味深く聴きました。
結果としては、オリジナルに負けず劣らずの純恋歌として私の心に響きました。
女性の切実な想いを男が唄う
都会で流行りの指輪を贈るという男性に
「いいえ、星のダイヤも 海に眠る真珠も
きっと あなたのキスほど きらめくはず
ないもの」
見間違うようなスーツ着た写真を送るという男性に
「いいえ、草にねころぶ あなたが
好きだったの
でも 木枯らしのビル街 からだに
気をつけてね」
恐らくここで女性は男性がもう自分のもとに帰ってこないことを覚悟しています。
そして
「あなた、最後のわがまま 贈り物を
ねだるわ
ねえ 涙拭く 木綿のハンカチーフ
ください」
これまで一度も男性にねだったことのない
彼女の最後の願い
彼女はこの時すでに彼を吹っ切り
前を向き始めているのだろう。
「ねえ」
このフレーズに胸が締めつけられます。
この女心を宮本浩次さんの声で紡ぎだす
彼女の切ない想いの部分では
宮本さんの声がまるで彼女の声のように
聴こえる
40年近く前に、田舎を出て東京に移り住んだ自分に重ね合わせて
ひとりで口ずさんでみたくなりました。
あの時 田舎を離れなければ 俺の人生は
どうなっていたのだろう…
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