光の方へ

蝶になった
蝶になった

男は喜び
彼女を見た

蝶になった
蝶になった

女は男に感謝し
ここから出してと男に伝えた

蝶になった
蝶になった

男は女を籠の中にいれたまま
これはお前を守るためと女に言った

蝶になった
蝶になった

「もう私には必要ありません」
「ここから出してください」

蝶になった
蝶になった

男は憤慨し
「閉じ込めてなんていない！」と言った

蝶になった
蝶になった

女は哀願し男に伝えた
「また私を殺すのですか？」

男は夢を見た
夢の中で男は兵隊
女は少女
今まさに破られそうな防空壕の中
外から侵入してくる得体の知れない敵
男は恐怖した
女が得体のしれないものに
犯され殺される事を

男は恐怖に飲まれ彼女に銃身を向けた
「お願い私を殺さないで」少女は叫んだ
男は「この方がいい」といって
その方が救いだと思い込んで
引き金を引いた

蝶になった
蝶になった

男は目を覚ました
籠は開いており彼女は飛んでいた

蝶になった
蝶になった

風に乗って彼女は
高い空を目指して飛んでいた

蝶になった
蝶になった

そして男はつぶやいた
君は君の光を生きて
僕は僕の光を生きよう

男はこれまでのすべてに感謝した