石丸伸二は劣化版蓮舫なのかもしれない
石丸伸二氏はネットを中心とした令和のネット選挙を戦ったのか
7日に投開票された東京都知事選では、政党や大きな組織の支援を受けない前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏が166万票近くを獲得し、立憲民主党や共産党などが支援する前参院議員の蓮舫氏を抑えて2位に躍り出た。石丸氏の票を押し上げたのは、動画投稿サイト「YouTube」などを介して広まった支援の輪だ。蓮舫氏と明暗を分けた石丸氏のネット戦略とは―。（佐藤裕介）～中略～
安芸高田市長時代から、市議や記者らと鋭く対立する動画などがネット上で人気を集めていた石丸氏。5月上旬にX（旧Twitter）のフォロワー数が30万を突破し、選挙期間中には50万超まで伸ばした。5月に開設したYouTubeチャンネルの登録者数は30万を超え、当選した小池百合子氏の4000人弱、蓮舫氏の1万人を引き離した。
さて先週行われた都知事選挙で2位に入り注目された石丸伸二氏、特にYoutubeを中心としたネット戦略が注目されました。実際小池氏1万未満、蓮舫氏1万に対し石丸氏のYoutubeチャンネル登録者数は30万を超えメディア中心の平成の選挙を行った小池氏、蓮舫氏に対して石丸氏がネットを中心とした新しい令和の選挙を行ったように見えます。
タイミングを選び、主要政党とやり取りし、メディアが推す主要候補となったのは見事な戦術
しかしよく考えて見ると石丸氏のチャンネル登録者数30万人と言うのは得票数の2割にも満たない数字であり、チャンネル登録者の多くは都民ではない事を考えるとネット中心とまでは言えないと思います。実際10万以上得票した候補の中では内海氏、ひまそら氏はチャンネル登録者数が得票数が上回っています。特に政見放送すらしないでネット中心の選挙運動を行っていたひまそら氏がチャンネル登録者の半分程度の得票と考えると石丸氏はYoutubeを中心としたネットでの得票は1割程度で小さくはないもののメインはネット以外での得票と言えると思われます。
東京都知事選（6月20日告示 7月7 日投開票）に立候補を表明している石丸伸二、小池百合子、蓮舫、田母神俊雄の4氏が会見し、代表質問団、都庁クラブの代表者による質問に答えた。
となると石丸氏は何をメイン舞台としていたのでしょうか？当然選挙時の積極的な活動もあると思いますがマスメディアで主要候補者として多く露出してもらうという事ではないかと思います。上は都知事選挙告示前日に行われる立候補予定者の日本記者クラブによる共同記者会見参加者の得票数と得票率を示したものですが、TOP3はこの参加者で占められ、参加者の得票率も89～95％と大半を占めています。今回の選挙では89.8％と参加者以外で10％以上の得票を占めるめずらしい状況となっていますが、当選あるいは得票上位を目指すにはマスメディアに主要候補として認められ、多く報道されるのを目指すのは今でも必須である事が言えます。
日本維新の会の音喜多駿政調会長は8日のBSフジ番組で、東京都知事選で得票数が2位だった前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏から支援の要請があったと明らかにした。
支援しなかった経緯について「できるだけ政党色をつけたくないということだったので、別々にやろうとなった。けんか別れしたわけではない」と説明した。石丸氏が得票を伸ばした要因を「政党色をつけないから無党派層が取れた」と分析した。
今の状況から見ると石丸氏が主要候補として扱われたのは当然に感じますがあくまで前広島県安芸高田市長と言う肩書だった石丸氏にとって胃が痛かったのは国政の主要政党が候補者をどれだけ立てるかという事ではないでしょうか？主要国政政党の候補と東京都とかかわりのない小さな市の市長だったら前者の方が優先度が高く、そうなると石丸氏が主要候補から外され、当選は愚か3位以内に入るのは絶望になります。その為蓮舫氏が立候補するという事で護憲系の野党はこれ以上候補者を出す可能性が低い中、日本維新の会に支援の要請を行ったのはその表れと言えると思います。
もし今回の選挙で石丸氏がメディアから有力候補として選ばれなかった場合、得票数は15～20万票程度だったと思われます。上は2020年の都知事選挙の結果、日本記者クラブによる共同記者会見参加者以外の最多得票者は桜井誠候補の17万8千票、石丸氏のYoutubeチャンネル登録者数を考えるとこの辺が現実的なラインに感じます。逆に言えば有力な立候補者の少ない状況を見極め、有力候補者を出しうる政党と交渉するなど「自分がメディアから有力候補として認めてもらう」努力を怠らなかったからこそ石丸氏は165万票を確保出来た訳で、それは見事と言う他ないと思います。
NHK：及ばなかった要因としては石丸さんご自身はどう考えていらっしゃいますか
石丸氏：NHKをはじめとするマスメディアが当初全く扱わなかった。
実際当選後のインタビューでは敗因として「NHKをはじめとするマスメディアが当初全く扱わなかった。」と言っているのが彼自身マスメディアの存在を大きく考えている証左だと思います。そう考えるとかれはネット型の令和の政治家と言うよりも都知事選で争った蓮舫氏同様にTVを中心としたマスメディアを重視した平成の既存政治家と言っても良いと思います。
出来の悪い生成AIと失われた地盤～劣化版蓮舫としての石丸伸二氏～
石丸氏の返答を「出来の悪い生成AIみたいな話しぶり」とし、「政治屋の定義」について質問した意図について言及した。「都道府県知事というのは『行政の長』です。一方で国会議員になるということは、『立法府の一員』となる、ということです。法律を作る仕事ですね」とした上で「具体的に作りたい法律の話をするか、行政の限界の話をするか、になるはずなんです」と推察した。
ただ選挙後に関しては先輩である蓮舫氏の方が少しかもしれませんが対応は良いと思います。選挙後のインタビューでは石丸氏のかみ合わない議論(？)に対して少なくとも自分の力不足を詫びるところから始めています。メディア向けの顔と言えるのかもしれませんが、少なくとも石丸氏の受け答えと比べたら不快感は受けません。これはなんだかんだ言っても20年間の議員経験の賜物に感じます。一方で石丸氏に関してはこれまでの政治的スタンスからくるものかもしれませんが、それでも「出来の悪い生成AIみたいな話しぶり」と言う言葉に象徴されるようにコミュニケーションと言う意味での政治家としての資質を問う声が現れ始めました。
実は都知事選と同じ日に、前市長を務めた石丸氏の辞職に伴う広島県安芸高田市の市長選挙も投開票を迎えていた。新人4名が立候補し、無所属で元郵便局長の経歴を持つ藤本悦志氏（51）が初当選を果たした。
「今回の市長選では人口減少や高齢化の他に、石丸市政の評価も争点の一つとなりました。藤本氏は議会での対立が全国的に注目を浴びた石丸氏の手法を、“議会との対話が不足し市民が置き去りになっている”と批判。分断を招いた市政の刷新を訴え、“オール安芸高田”で課題に取り組む姿勢を見せています。いっぽう石丸市政を評価し、『継続と改善』を掲げていた熊高昌三氏（70）は落選。“反石丸派”が市民に選ばれた結果となりました」（社会部記者）
古巣では“反石丸派”が台頭し、さらには市長時代の不祥事も露呈しはじめている。
「石丸氏が当選した’20年8月の安芸高田市長選挙において、石丸氏からポスターやビラの製作を委託された印刷会社が未払い代金の支払いを求めて提訴しました。印刷会社には公費負担分の約34万円のみが支払われましたが、石丸氏は残額である約72万円の支払いには応じなかったというのです。
また同時期に行われた安芸高田市長選挙では反石丸派と言われる候補が当選し、選挙ポスターを巡る訴訟で敗北するなど4年間市長を務めた安芸高田での政治基盤が急速に失われている事が報道されています。こうして見ると石丸伸二と言う政治家は風が吹いた事で蓮舫候補よりも得票するなど健闘したものの、蓮舫氏同様メディア依存度が高いものの、メディアとのコミュニケーションが低く、4年間の政治家キャリアで明確な地盤を築けていないという意味で言い方は悪いですが劣化版蓮舫と言えるのかもしれません。
石丸伸二氏の今後を考察する
さておまけとして石丸伸二氏の今後を私なりに考えてみます。
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