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第0話の極意~長期卓の安全な遊び方~

こんにちは!
TRPG、とりわけD&D等を遊ぶ時に人間関係のギクシャクから始まって、そのまま卓が楽しくなくなることはみんな経験していると思います。これが単発ならそこまで痛くないですが、1年単位の卓ともなるとさぁ大変。

・なぜ、そのようなことが起こるのか?

・どうすれば回避できるのか?(第0話)

上記の2点を長期で遊ぶときの観点で解説をさせていただきますので最後まで読んでいただけると嬉しいです。エスパー、イリシッドやニュータイプの方々は意思疎通に問題は無いはずなので読み飛ばしてOKです。

なぜ、卓で人間関係がうまく行かないのか?

TRPGとはコミュニケーションの遊びであり、人は自然に自分の理想や期待を卓に持ち込んでいきます。この理想や期待が達成されないと人は勝手に裏切られたと感じ、敵対的になります。

これが石器時代なら自分とは違う者から縄張りを守るにはちょうど良いのですが、現代の遊びには一切やくに立たないのです。こういう風に作られた生物なのでここは諦めましょう。

かといって、期待を持たずに卓に参加しろと言われても困ります。じゃあ、どうするのかと言うと……第0話を行ってお互いの期待を全部さらけ出しておきましょう。

これから遊ぶ人たちとはある程度の信頼感を構築する必要があるので基本的に本音で話すのが望ましいし、自分の好きなことや性癖はさらけ出していくと良いです。うまく行く卓では君が好きなことを踏みにじる人はいないはずです。

もしも君が踏みにじられるのが好きな人なのであればその限りではありませんが…。

第0話の極意

第0話とはそもそもの初日を1話だとしたときに、その初日より前の準備全般を第0話と呼びます。「事前準備しましょう」をファンシーに言ってるだけです。

そしてこれが一番大事ですが、第0話をやるための極意はたった一つです。それは「第0話をやる」ことです。大体「俺、一億と二千年前からDMやってるからこういうのわざわざ確認する必要無いよ」と思っている人は八千年過ぎた頃から恋しくなるどころか卓が崩壊します。

ここでいう卓の崩壊とは「一人でも義務感で参加し続けるプレイヤーが出た」ことを指しています。厳しいです。でも、楽しくないD&DよりノーD&Dです。

第一の確認「時間」

これから遊ぶ人たちで、どのぐらいの頻度で、いつまで遊ぶのかを確認し合います。例えば「毎週水曜日、1年ぐらい」みたいな感じです。ここでは「実は1年も遊ぶとは思っていなかった…」や「その時は転勤が来るかも知れなくて参加できない…」みたいな部分を先にあぶり出します。

時間が合わない人が出たら切り捨てましょう。

第二の確認「好き」

「私、凄まじいスペックや絶大な威力を持つ一方で何かと不便な兵器が出てくるのが好きなんです!」
「僕はみんなが絶望に苛まれて一人ひとり死んでいくのが好きなんです!」
「俺、男が女装して女子より女子力を発揮してるの好きなんだよなぁ…」

みたいな感じで、みんな本音ではろくでもないような妄想や好きなジャンルを持っています。私もそうだしこれを読んでいる君もそうです。嘘をつかないでくださいこの変態め。(ちなみに上のは全部私の性癖です)

そんな中でどういうジャンルが好きなのかを把握するのはとても大事です。DMとしてこれを知ることは「どうすればこのPLを安易に楽しませられるのか」のショートカットを勝手に向こうから教えてくれるんですよ。こんなに良いシノギは無いです。

PLが好きなことを出すだけで神DMになれるのでどういうアニメ、漫画、ジャンル、性癖などなどが好きなのかを先に把握しましょう。

なるべくみんなが楽しめるように「好き」の共通項目も見つけると良いです。卓の仲間に配慮してエログロなどもトーンダウンすると良いです。「Win-Win」が最終到達ポイントです。

どうしても他人の好きを受け入れられない人が出たら切り捨てましょう。

注意:これはプレイスタイルの確認ではありません(戦闘重視、RP重視等)、あくまでもゲームの中で仲良くする仲間をよく知るためのステップです。

第三の確認「嫌い」

上記の「好き」の真逆のことを確認します。その人のトラウマ、恐怖症、触れてほしくないテーマ、やってほしくないことなどなどを全部確認します。

人によっては語るだけでもトラウマの物があるので配慮をしてDMへの個人メッセージなどですると良いです。

例えばシューゾーが嫌いな人がこれからシューゾーの神殿に冒険し、シューゾーまみれになりながら戦うともなると、如何にフィクションと言えど相当精神に応えるはずです。(シューゾーを任意の生物に変えたら意味がわかると思います)

基本的に他人が何が嫌いなのかは誰もわかりませんし、大体の人は我慢できます。でも、答えを聞き出すための言語が我々にあるのであれば、事前に地雷を回避しても良いはずです。マインスイーパマスターの方々はハードラックとダンスしてもいいと思います。

事前情報を全て握るDMが「この冒険の根幹に関わる◯◯は多分無理そう」と思ったのであればそのプレイヤーを卓から降ろしてあげてください。あるいはそこを全部オリジナルに変えるか、です。

第四の確認「ルールの確認」

うそっ、ルールの確認ってこんなに後でやるの!?真っ先にやるんじゃないの!?!?!?

と思ったそこの君、実は上の3つがクリアされていればルールなんてどうでも良いんです。上の3つが突破されている状態とは「お互いが何が好きで、どうすれば配慮できるのか」を知った状態だからぶっちゃけルールより大事です。

ここで言うルールの確認は根幹に関わる大きなルールの確認です。選択ルールやオプションルールと言った部分ですね。それ以外のものはそもそもTRPGのGMが自由に変えて良いものですから好きにすれば良いんです。だけれども、プレイヤーに影響のあるルールは先にお互いに確認し合うと良いです。

例えば、D&Dでは休憩の時間をオプションルールでいじれます。通常は小休憩で1時間、大休憩で8時間ですが、これをそれぞれ1日、1週間に変えることができます。

だけれども、「通常のルールだと思って入ったら、違うルールで運用されていた」となるとモヤモヤするでしょう。下手すると卓に来なくなります。

これはわざわざ口頭で確認しなくても「DMとしてこういうルールで行こうと思うけどどう思う?」とチャットで送る程度で良いんです。ここで合意さえ取れればルールは何でも良いです。

「PL達はみんな敵より弱く設定します~」や「みんなにチートスキルを与えるから無双してこい~」も全部合意取れていれば大丈夫です。だけれども、一人でも前向きじゃない人がいれば話し合うべきです。そして、無理そうならルールを変えるかその人を卓から降ろしてあげるかです。

「俺は生まれる前からこのルールでやってるからいつもこれでうまく行ってるんだぜ、変える必要無いだろ」と思う人はメンツと本音で話をしてみてください、多くの成長の兆しを得られると思います。

第五の確認「期待」

DM「君たちは外壁で覆われた巨大な都市で人類の最後の生き残りとして戦ってもらいます」
PL「おお!すごい!」
DM「巨人族に囲まれているのでいつ滅ぶかわからない絶体絶命の状態です」
PL「めちゃくちゃ楽しみですね!巨人をばったばった倒せるんですよね?」
DM「え?何言ってるの?人間が巨人に勝てるわけ無いだろ、黙って食われてな」
PL「じゃ、じゃあ巨人の力で巨大化したりは…?」
DM「するわけ無いでしょ」
PL「(´・ω・`)」

上のやり取りはPLの声を出しながらやりましたが、だいたいこういうのではPLの声は聞こえません。卓を始めるときの冒険やシナリオのあらすじを聞いたPLたちは必ず何かを期待します。そしてDMも同じく何かをPL達から期待しています。

DM.。oO(この冒険には絶世の幼女が出てくるからみんな仲良くしてほしいな~)
PL.。oO(あ、幼女だ、申し訳ないが俺はイケオジが好きなので無視させてもらうぜ)
~~~シナリオブレイク~~~

ここではDMは「私は君たちからこういうことを期待しています」と延べ、PL達は「自分はこういうことが起こるのを期待しています」と述べ合うものです。案外ここでミスマッチが起こりますので適宜軌道修正すると良いです。

それ以外にもこの期待の確認では以下のことが含まれています:

・NPCの振る舞い
・戦闘やRPの難易度
・出てくるアイテムの傾向
・お金の管理

第六の確認「社会」

上ではゲームのルールを確認しましたが、ここでは卓上のマナーについて確認します。

・ポテチを食べながらしゃべるな
・キャラ発言は必ず「」で囲むこと
・トイレに行きたいときは必ず一言
・マイクに雑音が入らないようにして
・お互いには必ず丁寧語
・GMの呼称を間違えないで

これらを全部ここで確認します。

「いや、こんなの人として常識だろwwwwwwwwww」

そう思ったそこの君、もうこの時点で卓が崩壊してます。常識というものは人それぞれです。常識をお互いに共有できないから我々人類は争いをするんです。そういう生き物なので先に全ての常識を確認してください。

例えば外国人が日本人に「家に帰ってきたとき、真っ先にやることは何?」って聞かれたら、期待されている答えが「手を洗う」だけれども、多分やってくる回答は「靴をつけたままベッドに飛び込む」です。そういうものなんです。

「俺は人生経験豊富だから全部見きったぜ!」という人ほど常識のズレに陥って卓が崩壊します。

最後に

まとめると、

・己を知り、卓仲間を知れば、百卓危うからず。

・人類は愚か。

以上、です。

そして、一つでも上の部分で噛み合わず、妥協案も見いだせない場合は、PLを切り捨てましょう。あるいはDMを変えましょう。そもそも君たちは一緒に遊ぶべきではなかった、悲しいけどこれがTRPGなのよね。

心の持ち方としては過度に他人に期待しないことで全員がうまく行きますし、ほうれん草をしっかりとしていれば上の確認もわざわざいらないです。ですが、プロでも失敗します。

海外の大手のD&D配信「Critical Role」では卓の合間に必ずこの第0話をやっています。「そんなのどこが楽しいの?」と思う前に、エンターテインメントとして優秀なものは全て事前準備を欠かしていません。

話すことを恐れないでください。ここには敵はおらず、変な期待を持っちゃったこじれた人たち同士です。Win-Winは必ずあるのでとにかく話し合いをしましょう!

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