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英雄の作り方~神GMの極意~

こんにちは!
誰だって神GMになりたいですよね!でも人間をやめるのには色々と準備というか、儀式が必要です。ここではTRPGでドラマを作り出しながら卓にテンションを与えて最終的な達成感をよくするための手法を紹介します。

ことわっておきますが、現実世界でいろんな神が居るように、神GMもやり方や遊び方によって複数居ます。ここではあくまでも私の視点からの神GMを紹介しますので、ここで書いてあることができない・やりたくないからと言って「神GMじゃねーぞ!」と言ってるわけではないです!

我々はみんな神GM!見せてやろうじゃないの!PLたちにさ!

元ネタは私と友人達で配信している「InspiRadio」からのテーマです。

ドラマはなぜ生まれるのか

ハリウッド映画を見たことのある人はご存知なはずです。

主役が何かしらの問題に巻き込まれて、最初はその問題を回避しようとするけどなんやかんや受け入れて、勝てるかわからない戦いに挑んでなんやかんやあって勝ちます。

人類は大体こういう物語しか作っていません。理由は単純で、ドラマ性があるからです。これを見ているとハラハラドキドキして、テレビに写っているヒーローが成功するかわからないから応援するんです。そして、成功したヒーローは最高にかっこいいです!

TRPGも同じです。特に戦いや戦闘のあるTRPGでは困難な戦いを乗り越えたときの達成感は凄まじいものです!それを演出することができれば卓の満足度は凄まじいはずです。

北風が勇者バイキングをつくった

困難なチャレンジに立ち向かったものこそが大きく成長し、勇者となれるのだ!

だけれども、勇者バイキングは最初から北風を耐える体を持っているわけではありません。厳しい北風が何回も何回も重なったことで寒さを物ともしない屈強なボディーを手に入れたわけです。

北風が最初っから殺しにかかっていれば勇者バイキングは生まれてきません。ここが重要です。風を操る神々はちゃんと勇者として成長できるように配慮しています

鬼滅の無残様もちゃんと配下の鬼たちをランク付けして、今の主人公のレベルにふさわしい鬼を逐次で送ってくれる優しいお方です。上弦の壱が一話で殺しにかかってくれば物語はそこで終わります。

君の卓で勇者バイキングを育みながら、ドラマ性のある緊張感を生み出すためのつの心得をここで紹介します。

心得その1~卓の主となれ~

D&DだとGMは「地下牢主(ダンジョン・マスター)」と呼ばれています。D&Dじゃなくても基本的にTRPGのレフェリーをやる人は「マスター」です。

マスターということは、卓は君の所有物です。好きにして良いんです。主となることは自分の所有物である卓を自分の意のままに操ることを意味します。北風を操る神であれば、今の北風が勇者バイキングを殺さない程度に抑える必要があるし、無残様であればシナリオに「ここで上弦の壱が出てきます」を改変してより今の主人公たちのレベルにふさわしい鬼に変えるはずです。

例えば、PLたちは消耗しすぎていて予定していたボスを出すと全滅しそうと思ったときはこっそりとHPを下げる

例えば、その日のPLたちの出目があまりにも振るわない場合はこっそりと敵の防御能力や判定難易度を下げる

例えば、このまま戦闘が続くとこの人のキャラだけが死んじゃうから、こっそりと使う予定だった必殺技の文言をその場で改ざんする

逆に、今のままでは楽勝すぎるからザコ敵をちょっと増やす

などなど、裏での準備は卓が始まる前だけではなく、卓が途中のときでもGMは準備をやめてはいけません。こうすることで必要なときに接戦を演じることができます。

これは改ざんではありません、物語を君のPLたちに合わせるためのGM側の配慮ですので何も恥ずかしいことはありません(良いこと言った風)。

心得その2~運命の女神は君だけにチュウする~

上の心得がデータをその場で変えるものであれば、これはダイスの結果をその場で変えることを勧めるものです。

はい、この時点でブラウザバックをしようとしているそこの君!最後まで話を聞いてください。

どのような壮大なストーリーを考えても、どのような完璧なボスのデータを考えても、ダイスを使っている以上必ず破綻する可能性をはらんでいます。

であれば、必要なときにシークレットダイスで判定して、その結果を自由に変えれば良いんです。どうせシークレットの中身はPLにはわからないのだから。オープンダイスの場合は難易度を結果を見てから変えれば良いです。(これができないシステムもありますがその場合は有利になれる条件を複数個用意してその都度引き出すと良いです)

ですが、PLは今起こった出来事が「フェア」かどうかを常に気にかけますので、これはGMとしてどこまでペテンとポーカーフェイスを貫き通せるかの勝負です。この記事を読んでいる人たちの中で私のPLが居ないことを願っています。

こうすることでその卓で楽しむことができなかったPLに楽しみを与えることができれば、その改ざんも許されます。 

心得その3~改変はPLのため~

おそらくこれが一番大事な心得です、上の2つをこの心得無しで運用すると極度の接待卓になったり極度のPLいじめ卓になります。

ずばり、裏方で何かを変更する場合は常に&必ず「PLのため」でなければなりません。「GMが負けたくない」や「自分が考えた最強の敵が死んじゃう」からではだめなんです。更にいうとこれは「PLのため」ではあっても「PLを甘やかす」ものではありません。順番をもって説明しましょう。

心得その1と2で言ったようにこれはあくまでも目的と一致させるための手法であって理由も無く理不尽に卓を改変するためのものではありません

消耗したPCたちの前にボスが立ちはだかるが、GMである君の予想ではここまで消耗していることは予定にはなかった。だから、敵のデータをその場でいじる。

PCたちはこれから宿敵と戦うことになるが、GMである君はまさかここまで強くなっているとは予想していなかった。だから、GM側で操作できる敵をちょっと増やしたり強化する。

調整されたとは言え、この強敵を乗り越えた者たちこそが「英雄」と呼ばれる存在です。英雄を作るのが調整の目的であり、アンフェアな卓を作るためではありません。

全てはGMが予想できていなかったことを調整するためだけなんです!

そして、いじる部分は常にGM側。突然PLの能力を調整したり、弱くしてもストレスが生まれてどんどん神GMから遠ざかっていくので注意です!どうしてもという場合はコンセンサスをとりましょう。

君は卓の主ではあるが、PLの主ではありません。

心得その4~英雄はかっこよくなければならない~

これはどちらかと言うと小技集をまとめたものです。PCをかっこよく見せるための小技です。

敵を倒す・技能が成功するのが確定したら描写をそのPLに委ねましょう。
「君はどうやってこの狂信者にトドメを刺しますか?」
「鍵開けに成功するが君はどうやって成功した?」
等と伝えて、語り手をPLに渡しましょう。

自分で語ることによってPLは君の卓に感情を投資します。投資すればするほど抜け出せなくなる資本主義の原理を逆手にとる悪どい手法です!(褒め言葉)

判定が失敗するのは必ずしも無能だからとは限りません。
例えば攻撃が命中しないときは明後日の方向を攻撃するというような間抜けな描写が入りがちです。別にこれを「敵が自らの武器を使って鍔迫り合いを始めた」と描写しても結果は変わらないので、かっこいい方で描写し続けましょう。

必殺技は使わせてあげましょう。
特にD&Dとかではセーヴィング・スロー(バッドステータスの回避判定)を使う呪文を強敵に使うと伝説抵抗で自動的に成功されちゃうので、そういう呪文を選んだPCはやくたたずです。

PLは使いたくて今の特徴・技・呪文を選んでいるので、強すぎた場合はそれをナーフするのではなく、それを持っているからこそ活躍できるように物語を組むと良いです。PL VS GMになっちゃダメ絶対。

心得その5~ストレスはなるべく減らす~

TRPGとは関係ない例を出します。

モンハンは皆さんご存知ですか?あれって、昔の作品ではフィールドの地図が無いとマップを見ることすらできない仕様でした。マップを取るのを忘れてフィールドをうろうろする初心者はたくさんいました。

でも、当たり前ですよね?人間は地図が無いとどこに居るのかがわかりませんから地図を持っていないとマップが見えないほうがリアルです。だけれども、それが本質的に遊びとして本当に必要なのかどうかはよくよく考えてください。

後の作品では常にマップが表示されるようになりました。これはハンターが千里眼を会得したとか常にマップを持ち歩くようになったとかの説明でも何でも良いんです。便利になったので遊びやすくなった、けっか遊ぶ人たちも増えた。この事実が大事です。

ここではストレスを軽減し、神GMになるための小技を説明します。

「~ってたことにする」
例えばダンジョンに行ったけどロープがない!ここでGMは「馬鹿め、ロープを忘れた貴様たちは永遠にそこをさまようが良い!!!」と言っても良いし「君たちは冒険者だからロープなんか持っているの当たり前ですよ!」と言っても良いです。

前者には未来はありません、そこで物語は終わりです。後者はストレス無く些細な部分をスキップしてより本質的に「ダンジョンをクリア」したり「ボスを倒す」ことに専念できます。

「持っていたことにする」「知っていたことにする」などなど、ストレス無く遊ぶためのやりかたはいくらでもありますので実践してみましょう。

脳内当ては避けるべし
「敵の数は◯◯で頭の良いPLはきっと△を使って一網打尽にするからこれでこの戦闘はバッチリだ」と思ったそこの君、アウトです。

「PLはきっとこうするだろう」を考えた時点で君は地雷原の上でダンスをしています。GMはPLより多くの背景情報を持っているから考えが偏ります。回答は複数個容易した上で、更にPLが工夫した答えを受け入れる精神を鍛えると良いです。

GMの発言を使って嘘の情報で踊らせたり、高度な心理戦を仕掛けてニヤニヤするのもコンセンサスをとっていない限りはストレスしか生まれません

最適以外も受け入れる
メイドインアビスという作品があります。少年少女が未知の地下の大穴に入って冒険をします。主人公のステータスは基本的に最弱で最適化もされていないでしょう。それでもメイドインアビスをGMしている人が居るとしたら、弱いキャラでもドラマを生み出しながら最後まで持っていく素晴らしい人に違いない。

心得その1と2でも言ったように、データや結果の調整は君が自由に変えて良いものです。であるとしたら例えばD&Dのパーティが王道のファイター、ウィザード、クレリック、ローグじゃなくても調整できるはずです

回復役が居ないのであればポーションをばらまく。技能役が居ないのであれば技能以外での突破方法を用意する。これらは接待ではなく、PLたちが使えるリソース&乗り越えるべき壁ではあるものの、乗り越えるための道具はちゃんと用意してあげましょう。

まとめ~本質を追求しよう~

まとめると:

・TRPGの目的の一つはドラマを生み出し「英雄」を作ることにあります。

・英雄は困難な状況を乗り越えないと生まれません。

・であれば困難な状況になるようにGM側のものをいじっても良いです。

これが本質です。

鬼滅の刃が楽しいのは理不尽ながらも困難を乗り越える主人公たちを応援しているからです。

我々は地図を記入したくてモンハンを遊んでいるわけではありません。巨大なモンスターと生死をかけた戦いをしたいから遊ぶのです。

D&Dを遊ぶのは剣と魔法で竜を倒して英雄になりたいからであって、鎧で川を泳げるか、鎧で眠れるかを議論するためではありません。

その卓の本質がなにかを見極め、それに到達するためのものは全部GMが調整し、楽しい卓を提供することこそが神GMと言えるのではないでしょうか。

おそらくここに書いたものは個人的なプレイスタイルに依存するものも多いですが少なくとも「こういうやり方をする人もいるんだ!」や「こんなことをやっても良いんだ」という一つの指標として受け取っていただけると幸いです。

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