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再訪したいとっておき秘湯セレクション3~ブロンプトンで神秘の湯ベスト10

長い歳月を積み重ねてきた秘湯には神秘の力を感じる。人々は崇敬の念をもってその湯に集い続けたに違いない。ブロンプトンにのって自分の力で、日本各地のいにしえの湯を訪れてみよう。湯の薬効にとどまらない伝統の湯が持つパワーをあなたも感じることができるはずだ。

1.姥子温泉『秀明館』(神奈川県足柄下郡箱根町)

【道】箱根登山鉄道(2020年7月下旬に再開予定)で強羅駅、そのあとケーブルカーにのってさらに高度を200メートルほど稼いでから早雲山駅で下車すると、残りはブロンプトンで4.4キロ、標高差200メートル程度の軽い峠越えの道となります。力が有り余っているのなら強羅駅からスタートして計400メートル程度のヒルクライム・トレーニングコースとしても良いでしょう。

【湯】箱根火山の岩肌から自然湧出する「崖湯」源泉を利用した知る人ぞ知る名湯です。湯の湧出する大岩にしめ縄が張られており、湯に入るにも気持ちが引き締まります。これが神の領域と現世を隔てる結界の象徴となっているのでしょう。静謐の中、身も心も洗われる経験となること間違いありません。季節としては特に雨季に岩肌からの湧出が盛んだそうです。

2.元湯甲子温泉大黒屋旅館『大岩風呂』(福島県西白河郡西郷村)

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【道】秘境温泉らしい山奥のロケーションにある一軒宿です。新白河駅から西へ20キロ(標高差550メートル)の山中にありますが、駅からバスで新甲子温泉バス停まで輪行し、そこからブロンプトンで距離4キロ自走とするのが良いでしょう。

【湯】自然湧出の上品で素晴らしい湯です。湯屋に入ると、まず大岩とそこに祀られた鳥居に驚くことでしょう。 内湯なのですが、崖の大岩がむき出しになっており、そこから源泉が湧き出して湯殿に注ぐ光景には感動します。湯宿の歴史を感じさせる品格ある応対も素晴らしいと思いました。

3.毒沢温泉『神乃湯』(長野県諏訪市星が岡)

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【道】諏訪の山あいにある信玄の隠し湯「毒沢温泉」は下諏訪駅から程近い高台の「星が岡」の住宅地を抜けていったところにあります。毒沢温泉には「宮乃湯」「沢の湯」「神乃湯」の三軒の温泉宿があり、神乃湯は最奥に位置しています。沢の湯のあるところから森の中の急坂を距離200メートルほど登ると、そこはまるで山奥の秘湯の雰囲気です。

【湯】レモンを絞ったような独特の味わいを持つこの源泉は、信玄の時代から、怪我や病気の治癒に効能がある鉱泉として知られていました。昭和初期には国から「売薬許可」を受けた程です。湧き出した時には透明ですが、加温すると茶褐色になります。冷たい源泉槽と加温槽の交互入浴が最高です。

4.奥塩原元湯ゑびすや『梶原の湯』(栃木県那須塩原市湯本塩原)

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【道】上塩原(元湯温泉口)三叉路から元湯温泉までの道のりは急坂が続き辛いですが、それでも変化に富んだ素晴らしい山道です。

【湯】ゑびす屋は秘湯感たっぷりの山の宿でした。ゑびす屋の「梶原の湯」「弘法の湯」はいずれも名湯の名にふさわしい、絶品の湯でした。特に弘法の湯の析出物でおおわれた浴槽には驚愕しました。

5.会津舘岩・湯ノ花温泉『石ノ湯』(福島県南会津郡南会津町湯ノ花)

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【道】会津高原・尾瀬口駅下車、会津バスに乗って約30分、舘岩観光案内所バス停下車となります。そこから緩やかな上り坂をブロンプトンで4.7キロ行くと湯ノ花温泉の集落に辿り着きます。ハードなコースが好みの場合、会津高原・尾瀬口駅から中山峠(標高975メートル)越えで湯ノ花温泉まで23.4キロの道のりです。

【湯】地元の方々に大切に守られてきた石湯は、木橋を渡った川のほとりにあります。御神体である巨石の足元につくられた自然湧出の秘湯です。湯屋の鄙びた佇まいに感動すること間違いなしです。

6.日光山温泉寺『薬師の湯』(栃木県日光市湯本)

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【道】東武日光駅からは無理せず素直にバスで湯元温泉バス停まで行ってしまうのがよいと思います。すこしは走りたいと思われるなら、バスを中禅寺温泉バス停で途中下車し、そこから中禅寺湖畔~戦場ヶ原を経て日光湯元まで約18キロをブロンプトンで走ると良いでしょう。

【湯】温泉ヶ岳(ゆせんがたけ)を仰ぎ見る湯ノ平湿原のほとりに位置します。湯はこの湯ノ平湿原から湧き出ています。日光湯元の人々が湯を大切に守りたいという気持ちからできた寺にある名湯です。この乳白色、この強い硫黄臭、絶品の湯です!湯のあとで寺で頂くお茶菓子も乙なものです。

7.五色温泉『五色の湯』(長野県上高井郡高山村五色温泉)

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【道】奥信濃の高山村・山田温泉からさらに奥に行ったところにある「五色の湯」は、周囲を山に囲まれ、古くは「ランプの宿」として親しまれてきました。新幹線で長野駅、そこから長野電鉄に乗り換えて須坂駅、そして、ながでんバスで高山村の牧車庫バス停(何もない空き地です)まで。牧車庫バス停からブロンプトンで約一時間かけて距離7.5キロ、標高差450メートルの急坂を登ってようやく到達しました。道は舗装道ですが最後の約3キロの急登が難関です。

【湯】その名の通り季節や天候の変化によって五つの色に微妙に変化する名湯です。自然湧出の含ラジウム硫化水素泉、源泉温度は57.5度で掛け流しです。私は内湯が非常に気に入りました。

8.乳頭温泉郷孫六温泉『石ノ湯』(秋田県仙北市田沢湖田沢字先達沢)

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【道】田沢湖駅から乳頭温泉郷は距離20キロ、標高差800メートル以上あります。自転車で登っていくのは結構きついので、バスをうまく組み合わせて到達するのがよいと思われます。孫六温泉は乳頭温泉郷の中で車で行けない唯一の秘湯です。黒湯温泉から未舗装の登山道を徒歩五分(冬期以外)、大釜温泉の脇からだと林道経由、徒歩で十五分程度かかります。大釜温泉からブロンプトンで行くのがおススメです。

【湯】足元湧出の 青白い湯をたたえた神秘の湯です。天候によって色が変わります。濁れば雨、澄めば晴れになるといわれています。成分的には単純硫黄泉ですが、その効能の高さから「山の薬湯」とも呼ばれていました。

9.中の湯温泉『卜伝の湯』(長野県松本市安曇)

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【道】上高地へ向かうトンネルとトンネルの間にあり、ブロンプトンで攻めにくいロケーションです。素直に「中の湯温泉バス停」まで路線バスで行ってしまうのが最もシンプルなアプローチ方法です。しかし、上高地から逆走してたどりつくという比較的走りがいのある方法があります。一旦、バスで上高地に行ってから釜トンネルを経由して戻ってくると、上高地バスターミナルからの距離で10キロ程度です。途中の上高地の景色が素晴らしいのと、基本下りなので楽。お勧めです。

【湯】神秘的な洞窟風呂で、剣豪塚原卜伝も浸かったかもしれない有難い湯です。人生の奥義を極めるため湯の中で暫し沈思黙考してみましょう。

10.奈女沢温泉『釈迦の霊泉』(群馬県利根郡みなかみ町上牧)

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【道】国道から距離3キロ、標高差200メートルちょっとあります。単純計算では平均斜度7%ですが、途中10%超の坂もあり、ちょっとしたヒルクライム気分を満喫できます。

【湯】源泉名「釈迦の霊泉」、源泉温度は22度なので加温されています。泉質はメタケイ酸含有のラドン温泉です。ミネラルウォーターとしても相当おいしい水でした。


『再訪したいとっておき秘湯セレクション』シリーズ、まだまだ続きます!

(記事トップ写真は姥子温泉秀明館公式ページから拝借させていただきました。)