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秘湯のススメ

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とっておきの秘湯をご紹介。
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#日帰り温泉

再訪したいとっておき秘湯セレクション

(秘湯各記事は #自転車で秘湯) (最新の『再訪したいとっておき秘湯セレクション』はこちら) 世界中が新型コロナで大変なことになってしまいました!noteを見ているみなさんは世のため人のため自分のために不要不急の外出をやめて家に籠っておられるのではないかと推察いたします。 こんなときこそ、事態が収束したあとの楽しいことを考えませんか。私がこれまでブロンプトンで訪れた秘湯の中で、再訪の機会を待ち望んでいるとっておきの秘湯を本日から緊急事態宣言が解除されるまで毎日ご紹介してい

ブロンプトンで行く秘湯ベスト20 ≪再訪したいとっておき秘湯セレクション≫

ブロンプトンでこれまで訪ねた珠玉の秘湯温泉の中から、湯の素晴らしさとアクセスの困難さと秘湯度の三要素を重視して選び抜いた『ブロンプトンで行く秘湯ベスト20』をお届けします。 究極の秘湯が居並ぶ中、見事第一位となったのは東北の山奥で出会った湯治場の真打ち「元湯夏油」、第二位は山岳秘湯の雄「鑓温泉」、第三位は自分で川原に掘るマイ秘湯 湯俣温泉です。究極の鄙び系のあの秘湯もトップ10入りです。 まずは一位から十位までご紹介します。 第一位 元湯夏油温泉大湯 (岩手県北上市)

八丁湯2

八丁湯に着いた。 鬼怒川は暴れ川で奥鬼怒上流部もしばしば川筋を変えてきた。1902年(明治35年)の豪雨で日光澤温泉が流出した際、鬼怒川本流が南に移動したため北側に河原ができると、そこに温泉が湧出しているのが発見された。それが今ある八丁湯だ。1929年(昭和4年)、鈴木富次郎氏が国有林を借地し、この地に「八丁湯」として温泉宿を開いた。 予想外に荒れた林道で手間取ったので、スケジュールはかなりビハインドしている。宿の御主人にご挨拶して500円を支払って、急いで名物の露天風呂

八丁湯

夏も終わろうとしている頃、奥鬼怒にある『八丁湯』へ行ってきた。 奥鬼怒温泉郷は関東平野の北端部に位置する。鬼怒川源流の谷合いにある。一般車通行止めの奥鬼怒スーパー林道の先に、日光澤温泉・八丁湯・加仁湯・手白沢温泉の四湯がある。 八丁湯の発見は江戸時代の天保年間とされ、最も古い湯とされるが、湯治場としては、嘉永年間(1852年)に日光澤温泉がまず開かれ、その後、日光澤から「八丁」の距離があることで八丁湯と名付けられたという説がある。 しっかりとした宿が建てられて温泉郷が形成

横向温泉 中の湯旅館

ある年のゴールデンウィーク初日、たまには超レアな感じの秘湯に行きたいなと思った。夏のヒルクライムレースに備えて、標高差500メートルから1000メートルぐらい坂を登ってトレーニングもしておきたい。 そうだ横向温泉に行こう。 伝承によれば横向温泉は、11世紀末、八幡太郎義家一行が奥羽征伐の際、弓で目を射られた白蛇が岩の割れ目から湧き出る湯で傷を癒しているのを見つけたのが起源と言われる。或いは別の古文書によると1661年に発見されたとの話もある。名称については、一説によれば女

姥湯温泉 枡形屋2

姥湯温泉が見えてきた。 先を急ごう。 姥湯温泉の駐車場に着いた。このあたりは未だ5メーター近い積雪が残っている。 吊橋をわたる。 最後の坂。枡形屋までもうすぐだ。 坂また坂の苦しい山道を乗り越えて漸く姥湯温泉枡形屋へ辿り着いた。待ちに待った温泉だ。 枡形屋は日本秘湯を守る会並びに源泉掛け流しを守る会の会員宿だ。 ブロンプトンを畳んで風呂へ急ぐ。雪渓の切れた辺りにあるらしい。小屋が小さく見えている。 目当てはこの「山姥の湯」だ。 これはなんと素晴らしい! 湯

姥湯温泉 枡形屋

数年前、ゴールデンウィーク最終日に姥湯温泉枡形屋へ日帰りで行ってきた。(今年はステイホーム週間です。みなさん、家で良い子にしてますか。) 姥湯温泉枡形屋は、吾妻連峰の山中、標高1250メートルにある。姥湯温泉の歴史は古い。時は戦国時代、後奈良天皇の天文二年(1533年)、金鉱堀だった遠藤大内蔵が鉱脈を求めてこの地に迷い込んだ際、この地で赤ん坊を抱いた恐ろしい形相の山姥が湯浴みしているのに出くわした。山姥にこの湯の湯守になるように言われて開湯、この湯を姥湯と名づけ、のちに桝形

元湯夏油2

(前編はこちら) みちのくの超大モノ秘湯、夏油温泉の元湯夏油 へやって来た。 元湯夏油の『大湯』は夏油川のすぐ脇だ。切り立った渓谷の奥から、夏油川源流が水面を青白く煌めかせながら流れ出してくる。素晴らしいロケーションである。 大湯の湯尻だ。アツ湯が大量に湧き出している。 受付で言われた通り、この季節、大湯は熱くて入るのが大変だ。掛け湯をして、勢いで入る・・・が激熱だ。30秒と入っていられない。あぢぢぢ!堪らず飛び出る。摂氏45度ぐらいのはずなのだが、湯に刺激があるので

元湯夏油

秋。紅葉が始まる少し前、みちのく秘湯の横綱『元湯夏油』へ行ってきた。 夏油温泉(げとうおんせん)はJR北上駅から西へ約30㌔、北上川の支流である夏油川を最上流部までさかのぼった標高610㍍の山中にある。 平家落人の末裔でマタギの高橋四郎左ェ門が傷ついた白猿を追ったところ、湯で傷を癒していたとの「白猿伝説」がある。夏油山中には、駒ヶ岳、五百羅漢、仏石、お坪の松など慈覚大師にまつわる伝説が多く、夏油温泉も856年(斉衡3年)に慈覚大師により発見されたとの説もある。 かつては北上

奈女沢温泉

2014年春、奈女沢温泉へ行ってきた。 湯檜曽の林屋旅館のあと、「次、どこの温泉へ行こうかな」と思案しながらポタリング。群馬の最奥の一つ奥利根エリアは『温泉銀座』といっても言い過ぎではない。山ほど有りすぎて迷う。水上温泉街を通って上牧方面へ。 [走行データ] ルート: 水上駅→奈女沢温泉(なめさわおんせん)、奈女沢温泉→上牧駅距離: 12.2キロ(水上→奈女沢温泉8.4キロ、奈女沢温泉→上牧3.8キロ) 最大標高差: 669メートル 平均斜度: 全体3.6% 上り14.5

白骨温泉

ブロンプトンで白骨温泉へ行ってきた。 600年以上の歴史を持ち、鎌倉時代には既に湧出していたと伝えられる。温泉宿としては元禄年間に信濃出身の齋藤孫左衛門により開かれ、現在も斎藤姓を名乗る一族の経営する宿が多い。白骨温泉はかつて「白船」とも呼ばれていたが、中里介山の小説『大菩薩峠』の中で「白骨」と呼ばれてから、現在の呼称が定着した。白骨の湯は一般に「乳白色の湯」として認知されているようだが、実は湧出時には無色透明であり、時間の経過によって白濁するらしく、タイミングや源泉によっ

扉温泉

扉温泉(とびらおんせん)の「桧の湯」に行ってきた。 扉温泉は長野県松本市東部の薄川渓谷をさかのぼった標高1,100 mの山奥にある。明治初年に地元の農民が発見したと伝えられている。温泉に一家言ある地元・松本の方々の間では良湯と評判で、「東の扉、西の白骨」と安曇村の白骨温泉と並び称されているらしい。 そんな良い温泉があるのなら行かねばならないだろう。 松本駅からは東へ約15キロ、駅前からの標高差は500メートル程度だ。いつも同様、秘湯というのは山深いところにある。 さあ

甲子温泉(かしおんせん)『大黒屋』

夏の終わりに甲子温泉(かしおんせん)『大黒屋』へ行ってきた。素晴らしい湯と秘境温泉らしい山奥のロケーションのみならず、伝統ある湯宿の矜持を感じさせる品格ある応対に感じいった。 奥甲子にある大黒屋の湯は、白河藩主松平定信公が好んだという由緒正しい湯である。 至徳元年(1384年)、州安和尚が白河の山奥で日夜修行に励んでいたところ、ある老翁が現れ「この山峡に霊泉あり。病患ある者にこれを教え、救われよ」と告げて消え去った。老翁が示した地へ行ってみると確かに湯が滾々と湧き出ていた

毒沢温泉 神乃湯

冬、毒沢温泉神乃湯(どくさわおんせんかみのゆ)へ行ってきた。独特の泉質で温泉通に人気だ。信州下諏訪の山あいに位置しており、信玄の隠し湯としても有名だ。 毒沢温泉神乃湯 永禄年間、武田信玄の金鉱開発の際、けが人の治療に利用したのが毒沢温泉のはじまりと言われている。『神乃湯』は昭和9年に医者に見放された病を患う子を持った初代館主がお告げを受けてこの源泉を沸かして入浴させたところ病が完治、その噂を聞きつけて多くの人が訪れるようになったことで宿を開いた。屋号は『神乃湯』、奥には源泉