二重

 ダブる。
 存在が。脳みそが。身体が。昨日と、今日で。
 ダブル。
 高校二年生、血迷って、四月、ダブる。外が好きで、出られなかった。生活の、ダブル。街を歩く俺、繭を作る俺。重ならない、ダブル。影と、影が、歩く。

 夢があった、ガラスの街を歩く。映し出され、幾重にも屈る。俺とあなた、彼と俺。
 ねえ俺どんな風に見える?
 ねえ手前なに誰なの? 
 俺の中の俺オレの中のアンタ。
 アンタの中のアンタ貴方の中のオレ。
 屈る、オレマガル。
 電光掲示板に映し出されて、記述が始まる。

 記憶の書、雑記。

 もろく、うつろうな。時のさやけさに傷がかすむまで、怒れ。
 もろく、うつろうな。時のさやけさに絆が棲むまで、祈れ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?