日記 12/24

 配達のバイトをやっていたらあんまり風が寒すぎるから凍傷になりかけた。寒さに耐性がついてきた気がするので、今なら雪山で遭難しても二日くらいは生き残れそうだ。

 ウテナを見終わった。めちゃくちゃおもろいアニメだったけど、メタファー的な演出が多すぎて胃もたれした。考察記事みたいなものを読んでふーんと思った。
 いやでもさあ、ふーんって思うしかねーよ、他にどうしろって言うんだ? テーマがイマイチしっくり来なかったんだよ。バンクシステムを多用する演出と決闘という物語上の設定が噛み合うことで生まれる規則性(これは物語のフェーズを示したり、キャラ同士の掛け合いをお互いの内的独白のように見せることもできるし、物語全体の閉塞の属性を押し出すのにも役立っている。万能調味料のような仕事ぶり)とか、類似のモチーフの連続で散文的な物語を散文的なままリードしていく感じはすげーと思ったけど、物語全体の主題やらキャラに付与された役割やら、ちりばめられた要素の具体的な意味がみえてこない。
 ので、頷くしかなかった。まあよく見てる人がそう言ってんだからそうなんだ〜、みたいな。あんまり熱心に興味を示してこなかったテーマだったせいもあるんだろう、浅学ゆえに乗り切れなかったし、深堀りする気にもならんかった。興味ないこと深く考えられないのはマジで悪癖だと思うからやめたいんだけど。というか、これ普通に負け惜しみ。わかんなかったんだよ、要は。
 ウテナってどんな話なんってのは、記事に曰く、『心理的な処女喪失の物語』であり、『主に女性の、自己改革の物語』、或いは『お姫様が王子様を殺す物語』······王子を待ちかねた少女はついに剣を手にとり、革命を成すというワケ。
 そういう烈しい主題を持ちつつ、その態度は非常にドライだ。主人公のウテナが、童話ごっこの中の王子様として成り上がっていく様、その爽快感に酔いしれる間を序盤にたっぷり与えておいて、後半になってからそれ全部夢物語だったんだぜ、現実ってもっとこうじゃん? といきなりヤなことを突きつけてくる。それこそうまれついての王子様みたいな仕草で、こちらの口元にグッと顔を寄せて、顎をつかんで、強引にソレを見せてくる。そういうのはかっけーじゃん手を打ちたくなるじゃんと思う。
 で、理屈にはいったん納得したからここからは実感の話。このアニメは自分に引き付けて考えられることがあんまりなかったから、そういう意味でのカタルシスはあまりなかった。提示されたモチーフがどれも俺の実感や経験とあまりにズレている。鈍くて愚図で間抜けの大学生なりにはよく考えたつもりだったけど、間抜けは所詮、間抜けだったわ。
 つーか、90年代と20年代って、ほとんどタイムスリップじゃん。女性はみんなお姫様で、誰もが王子様を待っていた時代、なんて言われてもマジでピンとこねー。
 時代観を語ることにあんまり興味を引かれすぎるのは問題だとしても、俺は自分が今どんな時代に生きてるのかに無頓着すぎるような気もした。現在地を確かめ、そこから見渡す風景がどんなもんか、そのくらいのことは見て聞いて感じて把握しておきたいと思う。俺はそんな基本的なことにすら未だ盲たままなんだと思うと気が滅入る。

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