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創作の独り言 オリジナリティ

 捜索をしているとどこまで「オリジナリティを入れていいのか」悩むものである。そもそもオリジナリティとはどのようなことを指しているのだろうか。
 これは純粋に、「今までにない設定」や「世界観」として表現できるだろうが、そもそもこれほどまでに作品がありふれた世界の中で、完全に新規の発想というものは基本的にありえないと思っている。どんな生育環境で、どのような発想があったとしても、基本的にはほとんどどこかで見たことがあるものを組み合わせたものであり、「完全に新しい作品」はまず現れない。

 ただし、絶対にないわけではない、と願っている。
 あらゆる偉大な発明や作品は、常人には決して現れない「特異な何か」を持っていると思うし、それが実際に世界の中で流布することは好ましいことである。
 一方でそんな力が自分にないことも知っている。どこまで行っても私は普通の人間であるし、創作を趣味としているだけのただの人だ。そんな自分にオリジナリティなんて仰々しいものを作品として示すことができるかと思うと、多分難しい。

 この世には大量の作品で満ちていて、同時に私はそれに対して触れてしまっている。その時点で私は、完全に新しいものを放棄していると言っていい。なぜなら私が着想を得た作品は既に多くの人によって評価されていて、素晴らしいクオリティで世に出ている。その時点で、私がそれを見て新しいものを作ったとしても劣化コピーにしかならない。
 別に私は劣化コピーを作りたいわけではない。そんなもののために創作をしているつもりはないし、そもそも劣化コピーでいいならこの世に潤沢に満たされた作品を啄めばいい。

 たしかに私はオリジナリティを求めて創作をしている。けれど決して私は完全なオリジナリティを求めてはいない。むしろその手のオリジナリティに対してはどうでも良いという気持ちすらもあるのかもしれない。
 多くの人が創作において「一定のオリジナリティ」を求めがちである。だが私は、創作に求めているものは「面白さ」のみである。

 面白ければオリジナリティなるものがなくても良い。自分の作品でもそれは徹底しているつもりである。私は自分の作品には常に自分が満たされるほどの面白さを求めていて、そこに絶対的なオリジナリティは求めていない。
 世の中に出る作品の多くは基本的には面白い。どこが面白いのかは作品によって違う。例えば、アニメーションそのものの流麗さや構図だったり、他にはストーリーそのものが面白いものもある。人の感じる面白さはまさに千差万別であり、面白いの種類もまた千差万別だ。

 ではオリジナリティはどこまで面白さに寄与するのか。
 確かに個性的な作品は魅力的であるかもしれない。まだ見ない展開や予想もつかないストーリーに触れることは素晴らしい。だが、それが絶対的に面白いかと言われるとまた別な話である。
 オリジナリティに満ちた作品であっても、面白くないこともあるはずだ。むしろ完全あるオリジナリティは受け取り手に相当な負担を強いることになる。
 新たに作られた世界観を理解するのは実は難しい。自分が思っている常識が通用せず、そこでは全く異なる表現がされ、本来では行間にある語らずしも理解できる事柄が通用しないときもある。
 魅力的な作品になるのかもわからない状況では、オリジナリティの追求はむしろ危険な事かもしれない。

 オリジナリティは、どちらかというと面白さの追求をした後に出てくるもののように思えてならない。最初から新しい作品を作るより、どんな作品が面白いのか、どうすれば面白くなるのかを考えて作品を組んでいくほうが私は有意義なように思えてくる。
 当然ながらこれはオリジナリティを否定することではない。ただ闇雲に模索するオリジナリティよりも、根本的な面白さを模索したほうが、作品としての質が上がるということであり、主眼を置くべきところではないという意味である。

 あえてこのように言うのは、私自身「オリジナリティ」に対して執着したことがあるからだ。どういうわけか、自身の作品に対して疲弊してくるとき、私はこのオリジナリティに頼りがちになってしまう。
 自分に自信がないからこそ、私は新しい何かを模索してしまう。誰にも目につかない、思い通りに描くことができない、理由はなんだっていいけれど、自信が持てなくなると人はなにか別の希望に頼りたくなるものだ。

 だからこそ安易なオリジナリティは信じない。
 自分が思う面白さを延々と繰り返し続けること、それが創作であるからだ。それ以上に求めることは間違っているし、きっと意味のない行為になる。必要なことは、オリジナリティなんて魔法は存在しないときっちりと頭の中においておくべきなのだ。
 いくら奇をてらっても、面白くないものは面白くない。だから自分に自信を持って作品を作る。私がすべき営みはそんなものなのだろう。

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