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廓寥の世界

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物憂げでちょっぴり苦しい人々の物語。
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#嘲笑

近く、ひと

今日世界は終わるだろう。しかし誰もそれについては恐れていない。なぜなら誰も知らないから。恐らく知っているのは私と、存在しない「貴方」という存在だ。

「貴方」は言う。
我々を思考することしかできないと思うばかりに、私は貴方という特別な存在を喪ってしまう。

私にとって、「貴方」の言葉は極めて重い一言で、純粋に求めていた貴方への切望はやがて薄汚れた欲望へと転化していた。私を含め、多くの人間がそれを知

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