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円谷の宿敵現る!クアラルンプールの「浅草橋」にウルトラファンの卸売問屋あり♪

クアラルンプールでウルトラマンのグッズを調査するシリーズの第三弾です。日系デパートのそごうで大きな収穫を得たオタクは進軍を続け、ついに謎に包まれた玩具問屋街に突入します。そして、そこには看過できない円谷の宿敵の姿があったのです!

ラジャ通り(JALAN RAJA LAUT)

そごうをでたら、幸福感に包まれながらしばらく歩き、一本西のラジャ通りにもどります。この辺りまでくると、すでに観光地ではなく、歩行者はほとんどいません。ムルデカ広場の北側から、通りの表記は「JALAN RAJA LAUT」となりますが、そのままラジャ通りと記載します。

玩具問屋が並ぶラジャ通り

ラジャ通りがチョウキット通り(Jalan Chow Kit)にぶつかるまで、玩具問屋が多数立ち並んでいます。さながら東京の玩具問屋街、浅草橋のようです。多くの問屋では、店頭に子供用の自転車などの乗り物を陳列しています。家族連れなどの個人客が入っている店に入店してみましょう!

パチというか、オマージュというか…

パチのボリュームが半端ない。ただ、パチといっても「ultraman」とか中国語表記の「奥特曼」だとかを名乗っていないので、悪質ではなさそうです。「銀河英雄」だとか「中国超人」だとかといった名称が多かった気がします。

オーナーがファンだと思われるTOYS BOXさん

数件の問屋をはしごしたものの、状況は変わらず、得体の知れないパチばかり。ラジャ通りの店はおおよそ偵察完了です。大した収穫はないので、ラジャの東側、雑多なエリアに潜入してみたところ、ウルトラマンの画像を使った看板を発見!ここは何かありそうな匂いがします。

店先に置かれたウルトラマン

おっと、店先にはウルトラマンの立像です。「オーナーはファンに違いないな」と確信して、入店します。そして、この立像は円谷プロの版権によるものではありません。嫌な予感がします…

ユーエム社の版権による玩具

やっぱりありました。このどこか顔立ちのおかしいゾフィー、タロウ、エース!これらは円谷と対立するユーエム社の版権による玩具です。ユーエム社というのは、長年円谷プロとウルトラQ〜ウルトラマンタロウまでの権利を争ってきたチャイヨー社の流れをくむ企業です。いわば、円谷の宿敵です。

円谷プロとの長年の法廷闘争については省略しますが、残念なことに、中国国内ではユーエム社の主張が認められ、彼らの版権によって商品を展開できる状況となっています。「ウルトラマン=円谷プロ」の日本人にとっては違和感のある状況ではありますが、各国の司法判断を尊重するほかありません。

「中国境内」と明記されている

ただし、ユーエム社が権利を有しているのは中国内地のみです。この箱の裏面にも、中国国内(香港、マカオ、台湾を除く)と明記されています。本来はASEANで販売することはできません。

中国以外で展開したいのであれば、国ごとに裁判を起こして、円谷プロと争う必要があるでしょう。しかしながら、マレーシアまでまとまった規模で流入しているということは、おそらく、ユーエム社版権の商品は管理があまく、中国国外に流出しているものと思われます。

俳優の画像まで使った悪質なパチ!

「どこからきたの?」「結婚してるの?」などと、売り子の女の子たちにからかわれながら、店内を見てまわります。すると、かなり悪質なパチが!なんと、ウルトラマンのみならず俳優の画像まで使ってるじゃないですか!

ウルトラマンゼットの悪質なパチ

ソフビにも悪質なパチが。ゼットのパチで、わざわざ一体ごとの箱入りです。ぐるっと見回って気づいた点があります。これだけユーエム社の版権やパチのウルトラマンがあるのに、バンダイ(日本)の商品や、中国バンダイ・LDCXなどの中国国内向け正規品などは置いていないのです。

2体目のウルトラマン。目の色がちがう。

推測も含みますが、おそらく以下のような状況かと思われます。

①バンダイ(日本)の輸入は代理店が管理していて、卸問屋を通らない。また、高価格で特定の小売店にしかならばないし、庶民には高すぎる
②円谷プロの版権による中国国内向け商品(中国バンダイやLDCXなど)は厳格に管理され、ほぼ中国から流れてこない
③ユーエム社の版権による中国国内向け商品はルーズに流入している
④円谷プロの版権による商品の価格の高さ、管理の厳しさから正規品がすくなく、パチを仕入れざるを得ない

おそらく卸売問屋に悪意はないのでしょうが、このような状況は、円谷プロに不利なだけでなく、ウルトラマンを愛する現地の子供にとってもよくない環境です。しっかり監修された質のいい玩具を現地の子供たちの手に届けたい!

IR資料などによると、円谷フィールズはASEANでも、「信頼できるパートナー」と中価格帯の商品展開を模索しているようです。1日も早い実現が望まれます♪

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