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語源譚(1) Friday

キーワード:語源譚。ごげんよもやまばなし。上の画像は「いらすとや」。

曜日については、hellog~英語史ブログWikipediaの北欧神話あたりが詳しい。本稿では、Fridayについて。

Fridayといえば、ご機嫌なRiton & NightcrawlersのFridayが頭に浮かぶが(https://www.youtube.com/watch?v=-BkcictxDCA)、Fridayの語源となると割と驚くこともある。

上に挙げたWikipediaの北欧神話の項目でも、FridayはFrigg(フリッグまたはフリッガ)もしくはFreyja(フレイヤ)の日と考えられている。Frigg's dayまたはFreyja's dayが語源となる。Frigg/Freyjaはともに女神で共通する部分も多く、同じ女神を指していると考えられることもある。個人的には、wodnesdæg = Woden's day = Wednesdayやþurresdæg = Thor's day = Thursdayなどと同等に考えてFrigg's dayと考えるのが好きだ。みんな大好きEtymonlineでも、次のように書かれている。

Old English frigedæg "Friday, Frigga's day,"

https://www.etymonline.com/search?q=Friday

で、Friggについて調べるとわかるとおり、主神オーディンの妻と考えられている。このオーディンは古英語ではǷōden(Wōden, ウォーデン)である。つまり、Wednesdayは夫のオーディンの日であり、金曜のFridayはその妻のフリッグの日となる。実は曜日の中に、夫婦が隠れていた訳だ(はい、ここが今日のびっくりポイントです)。さらに実はThursdayはオーディンの子(母はフリッガではない)の、最近は映画で割と有名なThorの日とされており、親子が揃っているとまで言ったら言い過ぎかもしれない。

ちなみにその夫のWodenの日こと、Wednesdayは、ウエドネスデイと覚える方が多いように、この途中のdは何やねん!となるが、オーディンから来ていると覚えると、ファイナルファンタジーファンであれば、ちょっとグッとくることもあるのではないかと想像される。さらに、もう少しだけTrivialなことを言えば、吹奏楽部がよく吹いている曲「ライディーン」については、江戸時代の力士である雷電爲右エ門と、このオーディンの二つを掛け合わせた名前ではと考えられていることも考慮に入れれば、dがあるのもそんなに悪くはないなと思う。

しかし曜日についてはまだまだ謎が多い。例えば、Sunday, Monday, Friday, Saturdayはdayの前にsの音はない。sの音とは、Woden's dayがWednesdayになったように、所有を表すsである。日曜日と月曜日、土曜日は、太陽と月、土星からその名前を取っているため、名詞を二つ並べる形になったのではないかと考えるとまだ理解できる。実際土曜日もEtymonlineのSaturdayの項に、"Old English sæterdæg, sæternesdæg"と掲載されており、1番目の項目にはsがない形が見て取れる。しかし、Friggの日については、先のEtymolineの項にも"Old English frigedæg"と書かれており、sがなぜ最初から落ちたのかはよく分からない。音声学的なものなのか?文法的なものなのか?もう少し調べてみたい。
【5/29追記】
後日、古英語の属格についてこの文書で学んだ(クリック)。7枚目を見ると、名詞の男性、中性、女性により、属格(〜の)が異なることがわかる。それでは強変化では、男性名詞、中性名詞が-esがつき、女性名詞は-eであることが分かる。そのため、Friggは女性名詞で強変化だとFrigedagとなり、月曜日は女性・弱変化のためmonandagとなる。だからsの音は入らない。しかし、土曜日の-sがなぜないのかは未だにまだ分からないので、さらに研鑽を積みたい。

以上、みんな大好き、Fridayについての語源譚でした。ではでは。

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