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明治時代のリードオルガン

我が家には110歳のリードオルガンがあります。明治時代に製造されたものです。母がまだ若かった頃に親から買ってもらったものです。ストップは7つ。ストップの下に絵があって、ちょんまげの着物の男性がオルガンを弾いている姿が描かれています。他の図柄や紋章のようなものは擦れてあまりよく見えません。

結婚して最初のアパートは3畳くらいの土間(台所)と6畳一間だったそうで、オルガンは外の廊下のようなところに置いていたと言っていました。結婚後3カ所目でやっと居間に置かれるようになったオルガン、このオルガンも苦労してきたんです。

母は兄や私にはピアノを習わせ、自分のオルガンは子供たちに触らせませんでした。弾くときのタッチが違って、オルガンは優しく押さえるものだから、あなたは弾いちゃダメと言われていました。オルガンを弾いている時の母の背中は、自分の世界に入ってしまったような、そこにいるんだけどカプセルに覆われた別世界にいる人のような、遠い存在に感じました。だからあんまりオルガンを好きとも思わなかったし、関心もありませんでした。

母が亡くなって20年以上放置されていたオルガンは、鳴らない音がいくつもあってしょんぼりしていました。そろそろ空き家が長く続いた実家を処分しようとなった時、何故かそのオルガンが連れて行って!と言っていたんです。私の家は広くもないマンション、どうしようかな、と迷っていました。ところがその頃、偶然リードオルガンの修理を趣味にしている方と出会い、修理させて欲しいと言われたのです。これは修理してマンションに連れて行きなさい!と言われているとしか思えませんでした。

親切な修理屋さんのところに入院したオルガンは、すっかり綺麗にしてもらい、マンションに搬入されました。全ての音がリードオルガンならではの柔らかい音を放つようになりました。笛のような息のような柔らかい風が吹くような音色。ピアノとは全然違うリードの音。

リードオルガンの音は押さえている間はずっと鳴り続けます。次々音を重ねていくことができます。その音の重なりが本当に素敵で、リードオルガンの一番の魅力だと思います♪

母の古いオルガンの楽譜が手元にあるので、少しずつ練習しているところです。

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