席譲り男

地下鉄谷町線で立って乗っていた。
席がちょこちょこ埋まっている。

こっちから見て
左側の座席にはカップル。
右側の座席にはやせたおっさんが一人、太ったリュック背負ったおっさんがひとり。

そして、その向こうの扉付近に初老のおっさんが立っている。

座ってるリュックのおっさんが、突然ビクっとなる。

「はっ!!」

リュックのおっさんが立ち上がり、初老のおっさんの元へ。

「申し訳ございません!! さあ、どうぞこちらへお座りください!!」

席を譲ろうとしているらしい。
初老のおっさんは驚き、ちょっと困った様子。

なんか必死やし、謝られるのも変やし・・・

初老のおっさんは苦笑いしながら、譲られた右側の席へ。

気まずそうな隣のやせたおっさん。

ちょっと驚いて見ている向かいのカップル。

そしてリュックのおっさんは、なんとそのカップルの隣に座った。

笑い飯のネタを思い出した。
「席空いとんかい!」ってやつ。
とか考えながら見てると、またそのリュックのおっさんが

「はっ!」

立ち上がり、向かいの座ってる初老のおっさんの元へ。

「申し訳ございません!! こちら側へどうぞ!!」

???

もう座れてるのに、なぜか自分が座りなおした左側の席へ座らせようとする。

「隣、女性のほうがよろしいでしょ!? 」

唖然の初老。困惑のカップル。
別にいいけど、なんか傷つく・・・という感じの隣のやせたおっさん。

半ば無理やりカップルの隣へ座らせたあと、電車が到着。

リュックのおっさんは駆け足で降りていった。
またどこかの空気を乱しに行ったのか。

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