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【病院事務長の悩み】経営コンサルタントとの付き合い方 第ニ章 駆け引き

(前回まで)
増収増益のため悪戦苦闘中の病院事務長は、理事長のつてを辿って売り込みに来た経営コンサルタントと会議室で対峙する状況に陥り・・

(コンサルは間違いなく主要スタッフのヒアリングを求めてくるだろうからどう回避するか)(しかしこの段階でバッサリ断ると理事長の顔もあるからマズいだろうしもう少しひっぱるか)、事務長は笑顔を絶やさず、この状況の収拾方法を懸命に考えます。

 コンサルはコンサルで、PCの画面にメニューと事例や提案書サンプルを示しながら、(この事務長はヒアリング>分析>課題抽出>解決策検討のプロセスを理解してるようなので、生半可な提案では撃沈されそうだな)(時間をかけて積み上げていくより、テーマを絞って院内体制組みと方向性策定の提案と支援を先ず確保するのがよさそうだ)、事務長の課題意識に探りをいれます。

 どの経営コンサルの医療機関に対する提案メニューは、凡そ、弁護士・社労士・公認会計士/税理士の領域以外の、以下の領域の支援サービス内容になります。
 ①経営戦略/事業計画作成
 ②増患・増収(マーケティング)
 ③増患・増収(業務プロセス改革) 
 ④患者単価増加・増収(診療報酬)
 ⑤患者単価増加・増収(保険外自費)
 ⑥経費削減(購買、委託)
 ⑦業務外注化による効率化
 ⑧人事評価制度導入/賃金制度改革支援
 ⑨経営支援情報管理
 ⑩医療DX推進
 ⑪電子カルテ・ネットワーク等導入・整備
 ⑫職員/管理者研修
 ⑬病院ブランディング
 ⑭病院建て替え

 事務長は、コンサルの応酬話法は熟知しているため、相手に散々喋らせて疲れた頃に冷たく却下するという戯れを確信犯的に行います。得意分野ほどよく喋るのでそこを封じてしまえば、優位に事が運べるという腹です。
 コンサルも流石に主導権を握られた事に気付き、手持ちのカードの開示を控え、ペースを落として喋りながらも挽回策を練ります。流れを変えたいため、事務長の経験からのエピソードを引き出そうと試みるもののうまくかわされ、なかなかテーマを絞りきれません。

 言質をとらせない事務長と、次につなげたいコンサルの攻防は熾烈を極めますが、どうにか事務長がイニシアティブをとった状態で予定の終了時間が迫ってきます。ここで、事務長は以下の判断をすることになります。
 「イニシアティブをとったまま打ち合わせを終わらせ完了とするのか」
それとも
 「次回打ち合わせを設けて、落としどころに誘導するのか」

 しかし、実はそれは、会議の前の理事長と事務長の短い会話で既に決まっていました。(続く)

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