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徐々に揺らぐ気持ち

高校卒業後、「正規開拓奉仕者」に任命された。
月90時間を伝道活動に充て、
それと並行して、パートタイムの仕事をして生活の糧を得ていた。

今は時代も変わり、何か専門的な技術を身につけるように推奨されているのかもしれないが、私の場合は何の技術も資格もなく働き始めてしまった。ファミレスやファーストフードの店員、新聞配達などに従事していた。

飲食系の店で平日昼間にバイトに来るのは、主婦がほとんどで、たまに大学の休みだという若者がシフトに入っていた。
一緒にシフトに入るスタッフからは、「普段は何やってるの?」と必ず聞かれる。
「聖書の伝道活動です」と答えると、その後はあまり親しくしてはもらえない。
そりゃあそうだ。関わりたくないよね。

土曜日シフトに入ると、高校生、大学生ばかりの世界に一変する。
ゼミだのサークルだの就活だの、私の知らない世界の話で付いていけない。
バイト同士で付き合ったりしていて、楽しそうだった。
みんなキラキラ✨して見えた。

私も大学に行きたかった。
でもまだこの時はギリギリ踏みとどまっていた。
開拓奉仕者として、エホバの証人の世界では確たる地位を得ていたから。
自分は価値ある人間だと思えたのだろう。

しかし、この後、エホバの証人を辞めようと思うきっかけとなる、衝撃の出来事が起きるのである。


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