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私のために、あなたのために

私が相談員としていつもいる不登校校内支援教室には、同学年4人組がいる。
そのうち2人は足が遠のいて、残りの2人はその子たちの登校を心待ちにしていた。年明けには宿泊学習があり、4人で行きたいという希望を持っている。

ある日、休んでいた1人がある行事の時登校してきた。クラス担当の先生が連絡しても、本人と話せず、お母さんからは「学校へ行く気持ちが低くなっているみたいです。」とのことだった。じゃ、どうして登校してきたのかというと、それは友達からの声かけだった。そして、もう1人も2ヶ月ぶりに登校する日がやってきた。4人が揃うまでの私と生徒達が行った作戦会議について書いてみる。

第1回作戦会議  
いつも登校してくる2人(A B)と相談員の私

:「年明けの宿泊学習に4人でいくためには、どうしたらいいと思う?」
A:「まず、来週の行事に呼んだらどうかな。Cは行事にふらっとくることできるから、来れるかも。SNSで誘ってみる。」
B:「うん、私もDを誘ってみる。早い方がいいよ。心の準備あるし。でも、あまり強く誘うと良くないから、さらっとね。」
:「やっぱり。自分だったら、待ってるよ!きてね!みたいのは嫌?」
A B:「それは嫌でしょ。」

大人が誘うより、同じ気持ちを分かり合える友達からの誘いがいいと思った。そして上の会話をしながら、自分の気持ちより、相手を思いやることができる子たちだと感じた。2人がそれぞれの友達に連絡してくれ、「いくかも」の返事が返ってきた。そして当日、Cが笑顔で登校。自分で何時までいると時間を決めての登校だった。帰る時、「楽しかった?また学校来られそう?」と聞いてみると、「うん、来るよ。」との答え。
そこで私は一言加えてしまった。
「Aがさ、いつも待ってるんだよ。今日、嬉しそうだったでしょ?最近元気ないこともあってさ。」Cは「そうなの?だから帰ると言ったら、つまらないって言ったんだね。」次の日から、Cが学校にくる日が増えた。

第2回作戦会議  A・B・Cと私
:「Dも学校に来られたら、4人で楽しくなるよね。」
A:「やっぱり、奇数は良くないよね。」
「どうしたら、足が向くかな。」
C:「勉強の話はしないで、楽しいことやりたい。」
A:「前に話した手芸会したい。」
C:「スポーツの日も。」
:「じゃ、手芸会とスポーツの日を実行するための会議の日を決めて、その日に4人で集合しようと誘ってみる?先生にも話そう。」
B:「じゃ、私Dに連絡する。」

イベント会議の日当日、Dが登校。呼吸を荒くしながら。人がいっぱいいてどきどきしたようだ。車を降りるときは、そのまま帰りたいと思ったというので、校内に入るには勇気がいっただろう。でも、やってきた。4人が2ヶ月ぶりに揃った。

イベント会議  4人集合。
ここからは、昨年の市内散歩の校外学習を思い出しながら、4人でどんどん決めていった。今月と来月に実施。その準備をする日も決まり、4人とも満足そう。後輩もいるので、誘おうということに。和気藹々と話す4人はとても楽しそうだった。

「会議」というだけで、自分たちで考え始めるのも興味深かった。やらさるている感覚ではなく、自分たちで考える力がちゃんとある。これはとっても大切だ。

教室に行けないけど、本当なら自分もそこにいて青春味わっていたかも。できるものなら、今からでも味わいたいという気持ちがある4人が、お互いを無理なく支え合い、できなくても大丈夫そんなメッセージを送りながら今の場所で過ごしてほしいと思った。そして、私からまた大人目線の一言。

「最終目標は、宿泊学習に4人で行けること。そのためにイベント楽しんで、交流深めようね。」

「そうだね。」と共感したか、「大人って・・と」呆れたか、優しい生徒達からは、笑顔しかなかったけど、やっぱり余計なことを言った気がする。

大人の私たちは、生徒の気持ちを想像して寄り添うことはできるけど、生徒の気持ちを動かし行動させるのは、同じ立場である生徒だった。改めて対等な関係、理解し合える関係って大切なんだと生徒達に教えられ、生徒達のパワーを感じた。友達のために自分が我慢したり、犠牲になったりするのは違うけど、気楽な関係で分かり合える仲間だとお互いを感じられているとしたら、それがこの教室のある1番の意味だと思った。






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