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『安倍晋三回顧録』を読みました。

自己宣伝的なところは少なく、事実を淡々と振り返っている印象を受けました。インタビュー形式がよかったのかもしれません。

その中でもさまざまな人物に対する安倍さんの本音が描かれていて、ご存命であればそのままでは出せなかったかもしれないと思いました。


保守派には評判の悪い人たちに対しても、リアリストでもある安倍さんは評価していることもわかりました。
官僚についても省によって全然違うという話が印象的でした。特に財務省は一味違うようです。


第一次政権での失敗を糧にして、第二次政権では内閣と党の安定を重視していました。それも信頼できる仲間がいるからこそできたことだと思います。

消費増税についても、安倍さんは消極的な立場でしたが、3党合意を結んだ谷垣さんへの配慮もあり、財務省の圧力もあり、覆すことはできませんでした。


個別の政策でみれば、TPPや消費増税、農業政策への優先順位が低かったこと、財政出動が足りなかったこと、防衛費を増やせなかったこと、特に中国に対する戦略的互恵関係など、手放しには評価できないものもありました。

しかし、全体でみれば、日米関係の修復、特定秘密保護法による情報管理、集団的自衛権の行使容認などの平和安全法制、失業率の低下、経済の安定など、日本に残した功績は多大なものがあったと考えています。


安倍さんは、理念重視でありながらも、リアリストでもあり、保守派とのバランスをとりながら、政権運営をされてきたのだと思いました。


近年の政治史を振り返ることができる貴重な資料でもあり、内部事情が垣間見える部分もあり、多くの国民に読んでほしいと切に願います。


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