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【ネオワイズ彗星 C/2020 F3】

各地に大きな被害をもたらした2020年の日本の雨期(雨季)。
平年の大分の梅雨明けは7月19日とのことだが、21日時点でも見通しは立っていない。(7/30に明けました。)

オールトの雲から飛来してきたとされるネオワイズ彗星を、なんとしてもこの機会に見ておきたい。
7月上旬は明け方の北東の空に見えていたはずで、毎日毎日天気予報に注視していたのだが、あの豪雨の時期、全くダメだった。

彗星は太陽系の中で太陽を周回しているが、尾が見られるのは太陽風の影響に起因しており、最も太陽に近付いたときに最長となる。
したがって、観測のための条件の良い時期は内惑星(水星・金星)と同様に明け方か日没後に見える頃となる。
だが明け方の観測は、当然ながら時間を追って空が明るくなるので、限られた時間内に低い空が見渡せる場所を探すという、なかなか厳しい条件を求められる。

水星の軌道よりも内側まで入り、7月4日に太陽に最も近付いたネオワイズ彗星がまた戻ってくるのはおよそ6700年後とのこと。

7月中旬に入り、日没後の北西の空で見られるようになり、7月23日には地球に再接近、それから少しずつ高度を上げ遠ざかって行く。

毎晩毎晩 星の見えない北西の空を半ばあきらめながら仰ぎ、他地域で撮られた綺麗な写真を羨ましく眺め続け、迎えた7月20日(月)、日中から久しぶりの晴天で夕方になっても西の空に雲はない。

仕事から帰り、温泉で汗を流し、いつもなら風呂上がりのビール(もどき)を開けるところをグッと我慢。
ローカルニュースの週間天気予報は、また明日からしばらくぐずついた天気が続くと伝えている。

「今夜決行」。今夜しかない。野球もないし。
見える所まで出かけてみる。

北西の空を見渡せる場所を探して、まず十文字原へ。
7月14日に衝となった木星が明るく大きい。その東側には翌日21日に衝となる土星。蠍座もくっきり見えている。
もちろん、別府湾の夜景も見事。

北西に目を転じると北斗七星を確認。
しかし、そのひしゃくの下に居るはずのネオワイズ彗星が見えない。想像していた以上に明るくはなっていないのか。不安な気持ちになる。

別府・大分市街地の街灯りが邪魔のようなので、更に暗い場所を探すことに。

以前、流星群を見に行った場所を目指す。
国道500号、九州自然動物公園への入口交差点付近に、車を停められるスペースがある。辺りには交差点の点滅信号以外に灯りはなく、足元も見えないので注意。

北斗七星がよく見えている。
その下方に目を凝らす。

見えた。
ぼんやりと右上に向かって尾をひく彗星が。

やはり期待した程明るくはなかった。
1997年のヘール・ボップ彗星の鮮烈な記憶から23年。
あの感動を再び、という願いからは遠いものだった。

これは写真も厳しいかなと思いながら、スマホを三脚にセットして撮影してみると!!
なかなかいい感じの写真が撮れた。

20:46から20:52にかけて撮影した写真を時系列に並べた。(Galaxy S10 ナイトモード)
露出時間が長いので小さな星もしっかり写っている。素人のスマホ写真としては上出来で満足。

最後の写真と同時刻同範囲の「Google Sky Map」による星図と照らし合わせると、

実際は目に見えていない星まで撮れていることに驚かされた。
これらは何等星なのだろう。
名前が付いている「ドゥーベ」(おおぐま座α星)と「メラク」(おおぐま座β星)は北斗七星の7つの内の2つ。

※記事内最初の2つの図版は「AstroArts」の「2020年7月 ネオワイズ彗星が3等前後」より。

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