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物流が歴史的転換点を迎えています

 2023年3月16日、ライフ、ヤオコー、サミット、マルエツが連名で、持続可能な食品物流の構築に向けた取り組みが宣言されました。
https://www.summitstore.co.jp/news/pdf/20230316a.pdf
 大きく4つの取組みが宣言されていますが、なかでも、これまで短くなる一方だった「納品リードタイム」の延長が宣言されたことは、まさに歴史的転換点と感じられます。
 他の取組みも以下のとおり、もちろん、賞賛すべき内容です。
●納品期限を賞味期限の3分の1ルールから2分の1に緩和
●定番商品の発注時間を前倒し
●標準化された流通BMSによる情報交換 

セブン&アイHDも動いた

 4月2日には日経新聞に、セブン&アイHDが、加工食品全てについて納品期限ルールを3分の1から2分の1にするとの記事を掲載しました。対象はグループの全店です。
 これまでも、部分的には同様の取組みが行われていたのですが、「加工食品全体」ということが改めて示されたかたちです。
 納品期限緩和の動きには、メーカー側の改善である、賞味期限を「年月日表示」から「年月表示」へと印字を切り替えることも貢献しています。
 これらの変革により物流の負荷は小さくなり、2024年問題の解決にもつながります。この活動はリードタイムの延長等にも拡大していくはずです。

過剰なサービスにコストをかける必要があるか?

 上記のような動きは、“高度”になりすぎている物流サービスレベルを、必要十分なレベルに設定し直すものです。
 賞味期限が残り2年もあるレトルトカレーを小売店や卸の物流センターに納品した際、「日付が逆転している」という理由で受入拒否されることを当然と思う消費者はいません。
 まして、このような管理を理由に、数ヶ月も賞味期限が残っている商品を店頭から撤去し、返品・廃棄するなど、もったいないの極致です。SDGsの観点からみても、絶対に避けるべきことと言えます。 

十分なサービスを見極め、コストを最適化しよう

 物流の現場においては、過剰とも言えるこのような管理が、長く実施されてきましたが、ドライバーや作業者の人手不足が強まり、継続は難しくなってきました。
 そもそも、このような行動は商品価値の向上にもつながらず、メーカー、卸、小売りのすべてにおいて無駄なコストとなり、利益率を落としているといえます。
 必要十分なサービスレベルを見極めることで、国民の生活の快適性は何ら失われることなく、ロスが減ることにより、商品価格が下がることも期待できるかもしれません。
 物流からムダを省いていくことに、荷主や国民の意識転換が必要です。今回の2つの発表は、この転換を大きく推進するものと思われます。


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