秋の七草

さき さなえ

花も草木も大好きです。大輪のばらのように豪華ではないけれど、野の花、路傍に咲く名もない小さな花にも心惹かれます。
私の住まいのべランダも、長い間色々な花で彩られてきました。

室内でもいくつか観葉植物を育てているけれど、どれも寿命が長く、ペンジャミンに至っては、もう40年も私と共に暮らしている!
私の家に来た当初、あんなに細かった幹は、すっかりたくましく太くなり、高さも天井に届くほどに成長しました。何度か剪定もしています。寒さに弱く、順風満帆に4 0歳を迎えたわけでは決してなくて、枯れる寸前までいったことも何回かあって……。
5月、6月はべランダに出します。すると見るまにたくさんの新芽の芽吹き。ほっとします。

嫌いな花はないけれど、特に好きな花があって、まず「野菊」。亡き父が愛した花で、その影響で、大好きになりました。色はうすむらさき。夏に咲き始める。この花を見るとすごく嬉しくなり、父のことがとても懐かしく思い出されるのです。そして決まって「野菊の歌」を口ずさむのです。
(今の若い人たちには、なじみのない歌かもしれません。とってもきれいな歌です! )

遠い山から吹いてくる
小寒い風に揺れながら
けだかく清く匂う花
きれいな野菊うすむらさきよ  (文部省唱歌)

野菊に続いて矢車草、はぎ、ほたるぶくろ、アジサイが好きです。そして、秋の七草……!!
くず、ススキ、キキョウ、なでしこ、はぎ、おみなえし、ふじばかま。どれも大好きな花ばかり。ススキは、家の近くの道端のあちこちで見かけるし、キキョウ、なでしこは私のべランダでも立派に育ち、とてもきれいに咲いてくれました。

とりわけ好きな「おみなえし」だけは、残念ながら、どうも私と相性があまりよくないようです。近所のお宅の庭で毎年立派に咲くおみなえしを根ごと数本もらってきてべランダで育ててみたけれど駄目だった。すぐ枯れてしまった。花店で苗を買って育ててみたけれど、これもすぐ枯れてしまった。土や肥料に気を遣って、愛情もたつぶり与えたつもりだったの
に……。
それでも大好きな、おみなえしさん、いつかもう一度チャレンジしますから、どうぞ、そのときは私を喜ばせてね。

6月も中旬を過ぎて……先日、苗を分けて頂いた近所のお宅の前を通ったら、今年もいっぱい元気なおみなえしが育っていました……。

嫌いな花はあっても、「花」そのものが嫌いだという人はあまりいないような気がします。でも花の名前を知らない人は結構いると思う。少し前、テレビで「チューリップ」を「バラ」だと言った人がいて、これにはたまげてしまったけれど。

名もない小さな草花にも、私のような人間を幸せにしてくれる大きな力が秘められていることを思うとき、「自然の偉大な力」を日々もっと意識して、心豊かに暮らしてゆきたいと、つくづく思うのです。

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