さや

かくにんとたからものをつくるため 気持ちを遠回しにオエッと吐き出します 18↑一応美大生

さや

かくにんとたからものをつくるため 気持ちを遠回しにオエッと吐き出します 18↑一応美大生

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思考の旅

思考のたび ガラス張りの宇宙の向こうで一人思考に潜る こぽこぽこぽと音を遠くに聞きながらただただ潜る 内臓をさらけ出した   腸をかき回した    グチュグチュと音がする 蛇口から出ている抽象的な水と共に腐っていく へその緒が見えた 私は掴まなかった      へその緒は漂っていた 透明な青いカーテンの向こう側に誰かいる    それは私だった それはあなただった 私の背中の向かい側              わたし達は背中の熱を分け合っていた 宇宙は広かった 私と

    • 酩酊の夜

      白の部屋の夜光窓 まだまだ夜は明けないねと 角欠け羊が囁いてくる アルコール滲んだ宵の月 私はくらくらと漂う夜の金魚のように  酩酊感のある夢に梯子を掛けて跨るのだ  ある時は薄い羊膜に包まれてみたり またある時は蝶になってみたり 蛹にこもってみたりを繰り返す  この長い夜の中で オキシドールの香りとともに しめやかな夜は過ぎていく

      • 朝日を滲ませたカーテンが朝焼けとともに 僕を暴き出していく こっちへ来ないでと願うけど それでも朝はやってくる 息を殺してひっそりと生きているのだが 勝手に僕という形骸は息をしてしまうようなので 困ってしまう 丸い丸い月に手を伸ばした 輪郭がぼやけて何も見えなくなっていった 届かない君に声をかけてみたら 輪郭が滲んで霞んでしまった 君を見ようと目を凝らした 君を見ないように目をぎゅっと瞑った 僕は死にものぐるいです 息を殺しながら息をし続けている 夜が遠のいていく

        • きみはできないいらないこ

          君はできないできないこ 君はいらないいらないこ 不幸は猫を殺すから 君はどっかへ行っちゃえよ 私わかんないわかんないこ 迷子の迷子の誰かさん できないできない言われたら どんどん手足が重くなる 外が全然見えなくて 夕暮れさえもわかんないの お家の場所も忘れてさ 夜の闇の中歩いてる 君はできないいらないこ お家はどこなの 黒い影 お家の場所がわからないの みんな帰るのがおうちだよ  私のお家はあそこじゃない あそこは息ができないの 自分の居場所を見つけなさいと黒い影 で

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        思考の旅

          形骸

          私という意識が 膜の外からはらはらと剥がれ落ち空の中に漂っている 私じゃない誰かを伴って 私の名前がついた形骸は錆びた鉄で出来た檻のような骨組みであってベッドのシーツのさざなみに横たわっている どんなに世界が自由を謳っても許されないことは 影の中 籠の外 そこから手を差し伸べることはできても届きはしないもので眠りにつくことを強要されている ここから先に進むにはまだ少しいろいろなものが 必要だから だから今はお眠りなさい 誰かの歪な子守唄

          君へ

          桜の花びらを拾いました君の机で 君の机に触れました 寝てる君に触れようとしました 触れることはできませんでした 君の髪が揺れていました 君は少しくすぐったそうにしました 私はそれを普通に 普通に見えるように払ってあげました 君が私に笑いかけました 私は君に言いかけそうになりました 何も言えませんでした 君は行ってしまいました  私はいつまでもひとりぼっちになりました 君に恋していました 君には言えないけれど 私にも秘密にしていました 秘密にしようとしました 君が大好きでし

          君へ

          桜の花びらを拾いました。君の机で。 君の机に触れました。 寝てる君に触れようとしました。 触れることはできませんでした。 君の髪が揺れていました。 君は少しくすぐったそうにしました。 私はそれを普通に、普通に見えるようにそっと払ってあげました。 君が私に笑いかけました。 私は君に言いかけそうになりました。 何も言えませんでした。 君は行ってしまいました。 私はいつまでもひとりぼっちになりました。 君に恋していました。 君には言えないけれど。 私にも秘密にしていました。 秘

          アリス殺し

          硝子色の廊下を振り返る 私は今どこにいるの 白いアリスはリネン室に飛び込んだ 白い彼女は夜の月が隠してしまった またアリスが死んじゃった 別のアリスはどこにいるの? あなたはだあれ?私はだあれ? さらさらと漂う死生観の中で 黒百合はただ月に浮かんでいる 盗んだシーツをドレスにして白い少女は また自分の影を追いかけっこ 五臓六腑に蔓延る蔦の繋ぎ目は 透明な赤色で満たされている 血管が透けるラジウムの蛹覗いたら 誰かがまた産声をかすかにあげていた

          アリス殺し

          はぐ

          いっぱいの星屑が音を立ててぶつかり合って落っこちた 地上に落ちる2人は手をぎゅっと握りあって とびきりのはぐをした あなたに出会えてよかったな あなたと笑えて楽しかった 独りの夜は寂しくて 2人で温度を分け合ったね 明日もきっと笑えるよ という君にそんなことはないけれどと思いながら 私もあなたにはぐをした あなたが生まれてきてくれてよかったのはぐを そしたら少し泣いちゃった いつしか2人きらきらの灰になっても笑い合えるように 痛い星を抱えながらも

          temperature

          混じわらない赤と青 あなたの赤と私の青を混ぜたら何色になるのかしら 覗いてみてこの透明な温度 あなたの右目は何も映さない 涙の温度は何色なの 混じわらない赤と青 雨のようにじんわりと染み込むの 薄明の膜に手を近づけてみて できるだけ触れ合わないように あなたの温度を感じないように 温かいと感じさせないで 目を覚ましてしまわないで  触れ合わない赤と青 ひんやりとしたひよこがうずくまっているの 胎児の腸引きずり出して羊水に漬け込んだ ただぬくもりを

          temperature

          temperature

          混じわらない赤と青 あなたの赤と私の青を混ぜたら何色になるのかしら 覗いてみてこの透明な温度 あなたの右目は何も映さない 涙の温度は何色なの 混じわらない赤と青 雨のようにじんわりと染み込むの 薄明の膜に手を近づけてみて できるだけ触れ合わないように あなたの温度を感じないように 温かいと感じさせないで 目を覚ましてしまわないで  触れ合わない赤と青 ひんやりとしたひよこがうずくまっているの 胎児の腸引きずり出して羊水に漬け込んだ ただぬくもりを

          temperature

          アリス殺し

          硝子色の廊下を振り返る 私は今どこにいるの 白いアリスはリネン室に飛び込んだ 白い彼女を夜の月が覆い隠してしまった またアリスが死んじゃった 別のアリスはどこにいるの? あなたはだあれ?私はだあれ? さらさらと漂う死生観の中で 黒百合はただ月に浮かんでいる 盗んだシーツをドレスにして白い少女は また自分の影を追いかけっこ 五臓六腑に蔓延る蔦の繋ぎ目は 透明な赤色で満たされている 血管が透けるラジウムの蛹覗いたら 誰かがまた産声をかすかにあげていた

          アリス殺し

          はぐ

          いっぱいの星屑が音を立ててぶつかり合って落っこちた 地上に落ちる2人は手をぎゅっと握りあって とびきりのはぐをした あなたに出会えてよかったな あなたと笑えて楽しかった 独りの夜は寂しくて 2人で温度を分け合ったね 明日もきっと笑えるよ という君にそんなことはないけれどと思いながら 私もあなたにはぐをした あなたが生まれてきてくれてよかったのはぐを そしたら少し泣いちゃった いつしか2人きらきらの灰になっても笑い合えるように 痛い星を抱えながらも

          螺旋

          螺旋を辿って会いに来て きっと私はそこにいるから 道がわからなくなってしまった私にそっと触れてくれたあなたが心地よかった 逆さに吊るされたわたしたちの未来はきっと遠くはないだろう 幸せなままでいいんだよの言葉はあなたにとって呪いを解く鍵のようで透明なパズルのピースであったのかな 二人で見上げた夜空は一つ窓だったけど とても優しくて少し泣きそうになってしまった 幸せが怖い私たちはちょっと怯えたまま 覚えたての感触を探る そこに少しだけ大きめのガーゼで包んだ傷口を

          エレジ―

          透明な糸を辿った先で 手繰り寄せても終わらない まだまだ探しても見つからないや 薄い膜の輪郭に何時までも溺れてる あなたに触れたのは私ですか 私に触れたのはあなたですか 解けそうな螺旋を歌って探して 赤い傷口を繭のガーゼで優しく塞いで 私に触れるのは私ですか あなたに触れるのはあなたでしょうか

          エレジ―

          ねぇ

          ねぇ今どこにいるの   黒い子猫は電線を遮ってしまったの でこぼこの色彩と白い絡まり 透明な皮膚の呼吸は泳いでいく  淀んだ景色が溺れていった 吊るされた血管と糸のような帳 繋がったまま流されていった 伝染病のように氾がる蝶々の蛹 ぽたぽたと染み渡る雨水になった そこからなにが生まれて なにになれるのかな 手のひらを閉じて考えてみて 君は暗闇 私は迷い あなたはだあれ ねえ今なにをしているの