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転倒と訪問看護はじめー遠距離介護記録7

 ケアマネさんと相談の上、まず置き型の手すりをレンタルすることにした。玄関上がりかまちと門扉横だ。

 父は一番早く起きた朝、トイレへ行く前に、朝刊を取りに行く。台風の雨の中でも、ぞうりを引っかけノロノロと、パジャマの裾をビチャビチャにしながら。

 夕刻には、窓越しにポストに何か入っていないかじっと見つめて、取りに行く。

 そんな時の安全対策だ。手すりはいらない、介護など必要ない(家族に世話されているのに)と本人は言うが、お母さんも使うからと、なし崩し導入。

 その後、小さい転倒は何度もあるが、大きいキズを作ったのは3回。

 一度は、妹が外出から戻ると門扉から、父の両足が見えたと言う。何が起きているのかわからなかったそうだ。
 父は庭の植木の間に仰向けに倒れ、挟まれていた。引っ張られると痛がるため、苦労して起こして手当て。

 同じ部屋の床で昼寝していた母を見つけられず、探しに庭に出たようだ。母は庭の手入れのため、よく出ているから。

 妹が見つけるまで、どのくらいの時間そこにいたのか不明だ。本人も覚えていない。助けを呼べと妹が言うと、「自分で起きれると思った」

 打ち身と腕にズル剥けのキズ。

 父はリウマチで長年薬を飲んでいて、皮膚が薄く、タオルで擦っただけでも赤アザができる。もっと強ければ簡単に広い範囲で皮が剥け、流血だ。

 骨折確認のためかかりつけ整形外科受診。幸い打撲だけだった。
 手当てに貼った大判のキズパワーパッドを見て「剥がす時、皮膚傷つけないように」と言われた。傷の確認はなしですか…
 ここで妹と交代で私が実家詰めとなった。


 普通の大人ならそのくらいの外傷は対応可能だ。もっと以前にもそんな怪我はしていた。

 その時からわかっているのは、傷は乾かすものという父の常識を塗り替えられないこと、かさぶたをはがしたいのを我慢できず、何度も流血が続くこと。

 だからキズパワーパッド(あるいは類似品)の貼りっぱなしを試みているが、皮膚が年々弱っているので、パッドをはがすのが難しくなっていた。

 そうだ!訪問看護師さんに来てもらおう。パッドを上手に剥がしてくれるのでは。今後もあるだろうから、この種のケガの手当て方法も相談したい。

 自分からデイサービスに行くなど考えられない父だが、家に来られたら対応するのでは?ひとの世話になることに少しでも慣れて欲しい。
 直前の出来事も忘れる父だ。既成事実を作って習慣化して、ゆっくり納得してもらうしかない。

 「キズの手当てに先生がよこしてくれた看護師さん」の体でどうだろう?キズが治ったら、だんだん一緒に運動してもらおう。家族が誘っても、歩いたり運動したりはしないのだ。
 将来的に入浴介助も必要になるかもしれないし。

 すぐにはさすがに無理か?

 どきどきしながらケアマネさんに電話。計画を話すと、すぐ行ってくれそうなところ心あたりあるから、と心強いお返事。すぐ動いてくれる方なんだと分かった。助かる。ありがとう。

 電話したその日に、新しい事業所から男性看護師さんが来て下さった。

 父は怪訝そうであるが、ケガをしている事実は分かっているから、わざわざどうもと受け入れた。受け入れざるを得ないのだ。せっかく来てくれた人に失礼なことができる父ではないから。

 看護師さんとは導入の仕方については打ち合わせ済み。話を合わせてくれた。キズは治るまで3〜4週間かかり、その間、打撲の肩回りの運動テスト。週1回の訪問看護はその後も続き、運動メインになっていく。次の転倒までー

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