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女子ラグビーの近未来構想

2023年日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位。過去最低の結果となった。
問題視されていたはずなのに一向に変わらず、むしろ悪化している現状。

このような日本を変える原動力となるものがある。

「女子ラグビー」だ。

女子ラグビーを推奨する理由、他スポーツと比較した女子ラグビーの現状、女子ラグビーの近未来構想について以下でそれぞれ考察を行う。

女子ラグビーを推奨する理由

まず女子ラグビーを推奨する理由は、女性のエンパワーメント促進に貢献できると考えるためである。女子ラグビー中長期戦略計画によると、女子ラグビーでは誰もが個性を発揮し参加できる社会実現をミッションに、競技を越えた女性の社会モデル輩出をビジョンに掲げている。そして競技で培った「リーダーシップ」を社会で発揮する女性のロールモデルとなること、ラグビーを通じて多様性の価値を体現・発言する先駆者となることを未来像としている。また、パートナー企業を活用した女子ラグビー投資の増大も目標としている。このように、女子ラグビーは日本社会に希望をもたらす可能性を秘めている。今後より多くの企業がジェンダーギャップを急務の社会問題として捉え、女子ラグビーを通じて解決しようと試みていくのではないかと考える。

他スポーツと比較した女子ラグビーの現状

次に他スポーツと比較した女子ラグビーの現状について述べる。

サッカー・野球・バスケットボールなど欧米で人気を博するスポーツは、地域密着型スポーツを通じた日本の「まちづくり」に向けて動き出している。

スタジアムやアリーナを地域活性化の起爆剤にしようと、スポーツ観戦以外でも住民が日常的に利用できる施設、スポーツの枠を越え多様な世代が集う憩いの場、地域住民にとって愛着のあるシンボルとなることを目指し「スタジアム・アリーナ改革」が進められている。従来日本では、地方自治体から業務委託を受けたチームがスタジアム・アリーナの運営を担う「指定管理者制度」が主流であったが、近年ではスタジアム・アリーナの保有を目指すチームが増えてきている。競技場でありながら公園やレストラン、ホテル、ショッピングモール、フィットネスクラブなどを併設した「複合型施設」、試合日以外でも訪れた人々がのびのびと過ごすことができる「ボールパーク」、イベントに応じて席を変化させコンサートなどを楽しむことができる「ライブエンターテイメント空間」づくりに挑戦している。

またJリーグでは「シャレン!」、Bリーグでは「B.LEAGUE HOPE」という活動を通じて、クラブや選手のみならず様々な企業、自治体、住民、学校、ファンと連携して社会課題解決にも取り組んでいる。SDGs達成だけではなく、地域社会の持続性の確保や関係性の構築、学びの獲得、それぞれのステークホルダーの価値の再発見に繋がるものとなることを目指している。

Jリーグ:シャレン!


Bリーグ:B.LEAGUE HOPE

一方で女子ラグビーは発展途上であり、まちづくりを推進できる程のレベルに達していないのが現状である。そもそも競技人口が少ない故にチーム数が少なく、リーグも存在しない。競技を続ける環境の不足から、高校進学、大学進学といった節目で競技を離れる選手が後を絶たない。では、女子ラグビーは今後どのような歩みを遂げていくべきであるのだろうか。

女子ラグビーの近未来構想について

最後に自身が考える女子ラグビーの近未来構想について述べる。女子ラグビーはまず、チームの「スポンサー企業」を増やしていくべきであると考える。ここで重要なのは企業とは大手企業一社ではなく、「複数」且つ「地域」の企業を意味するということである。女子ラグビーよりもはるかに長い歴史を持つ男子ラグビーは、企業の福利厚生の一環として発展を遂げて来た。しかし大手企業一社に頼る運営形態では、企業の業績悪化に伴い廃部を余儀なくされる事態は避けられない。実際にコカ・コーラレッドスパークスと宗像サニックスブルースは、経営資源を本業に集中させたい企業の意向を受け、廃部を決断した。男子ラグビーの教訓を生かしつつ、日本のスポーツ界で注目されている「地域密着」を体現するために、女子ラグビーは複数の地域企業の協力を得ながら成長していくべきだと考える。
 
ここで女子ラグビーチームの成功事例を紹介する。静岡県を拠点に新しい女性アスリート像の創出を目指す「アザレア・セブン」である。アザレア・セブンは一企業が保有するのではなく、産官学が一体となった総合型スポーツクラブ「一般社団法人アザレア・スポーツクラブ」によって運営が行われる。つまり様々な地域のステークホルダーに支えられたチームである。

地域スポンサー企業に就職し働きながら、競技に打ち込む選手が多いのも本チームの特徴である。女子選手の活躍が、地域企業の認知度拡大や社内の一体感の醸成に繋がり、地域企業が雇用を受け入れることで選手も働く機会を得ることができるような、いわゆる地域企業と選手双方にとってwin-winな関係が生まれる。女子ラグビー選手の多くは、選手引退後のセカンドキャリアに対する懸念や地元を出なければならない経済的な負担から、ラグビーを続けることを断念する人が多い。しかしアザレア・セブンのような、出身地を離れなくてもラグビーが続けられる環境、或いは選手引退後でも働くことが出来る環境が整っているチームが増えていけば、女子ラグビーの競技人口も増えていくのではないかと考える。そして自治体を積極的に巻き込み女子ラグビーに対する理解を広げていけば、彼らが所有するスポーツ施設を優先的に使えるようにもなるだろうと期待が膨らむ。サッカー・野球・バスケのように各チームに自前のスタジアム・アリーナがなくても、産官学と女子ラグビーチームが協力しながら地域市民を誘致し、観戦者数も拡大していくことが出来るのではないかと考える。

最後に

以上のように、女子ラグビーは他スポーツに比べ遅れを取っているものの、様々な可能性を秘めている。女子ラグビーが日本を変える、女子ラグビーが社会に必要とされる、1人でも多くの選手たちが女子ラグビーを経験したことを誇りに思える。そんな世界を実現する人材になりたいと、改めて強く思った。


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