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マンデラ小説「M.e」EPISODE2 第9話 「2人のJ」【ジャック編 最終話】

【「弟」ジャック・ホワイト編】

∶前回までの「M.e」∶
ジャック達、エブリィ・ワンのメンバーはボストンの「MIT」にやって来た。最先端の開発中のデバイス「Neural Interface」「Furu Virtual Reality装置」でアバターを使用し平行世界で兄と再会を果たす。ロンドンではファーストトカゲを討伐し成果を上げる。


■201☓年6月ロンドン■

………現在

7月に入ると、ロンドンはとても過ごしやすくなったんだ。

昼間は暖かくて最高なんだけれど、夜はかなり冷えるんだよ。

長袖の2枚着用は必須なんだ。

4日前の4度目のミッション。

この討伐作戦は、それはもう本当に大変だったんだよ。

リーダーの「K」が不在で居なかったからなんだ。

本来は、Kが帰ってから行く予定だったんだけれど…。

アミラが「どうしても私達だけでもいいから行かせてくれ」と先生にお願いしたんだ。

慎重派のアーサーまでが懇願したのは驚いたよ。

結局は、状況が大きく変わったみたいで、先生と助っ人の2人が同行してくれたんだよ!

クールだったんだ。

大変なミッションだったんだけれど、その意味が、今日わかったんだよ。

美しい夕日だったんだ。

昼が終わり、夜との間が綺麗なんだ。

心地良い涼しい風が吹いて、とても気持ちの良いんだ。

「リージェント・パーク」

その中の一角にある「ウィンフィールド ・ハウス」に僕達は招かれたんだよ。

ドキドキものだよ。

ここに来たメンバーは、僕達、エブリィ・ワンの4人と先生。

そしてロンドン「Qアノン」支部のスタッフの女性が一緒なんだ。

「M/マリア」と呼ばれていたんだ。

彼女は、Kが不在だったミッションも、代わりに参加してくれてとても助かったんだよ。

マリアは背が高くて綺麗な人で、先生と並んでいると、とってもお似合いなんだよ。

クールな人なんだよ。

でも、何故かアミラがマリアに対抗心を燃やしてるんだ。

可笑しいよね。

残念ながらKは、今月も別件で居ないんだ。

「ウィンフィールド ・ハウス」は駐英米国大使公邸なんだよ。


僕達は、ビックリするくらい天井の高い別室のホールのような所に、4人とマリアとで座っている。

こんなに広い場所なのに、僕達は隅の方で椅子を並べてチョコンと座っているんだ。

可笑しくて笑いそうになったよ。

僕達と一緒に来た先生は、大使公邸の「主」とお話中なんだよ。

2人の話が終わるのを待っているんだ。

で…僕達はドレスアップしているんだよ。

マリアは、紺色のタイトスカートのスーツスタイル。

黒のピンヒールにヘアスタイルはアップスタイルで凄く格好いいんだ。

背の高さも僕と変わらないくらいなんだ。

アミラはとても素敵なんだよ。

ピンク色のイブニング・ドレスで華やかなんだ!

お姫様みたいでアミラが、お淑やかなのが何故か可笑しいんだよ。

アーサーが、それを冷やかしてお尻に蹴りを入れられたのは笑ったよ。

アミラはアミラだよね。

僕達はドレスアップするのは初めてなんだ。

だからあまりクールでは無いんだよ。

黒色のフォーマルのイブニングスーツを着ているんだ。

ベストは白色なんだよ。

靴もピカピカに光ってる。

ソーホー街にある、僕らのアジトで見繕ってもらったんだ。

だから男3人ともサイズがピッタリで嬉しかったんだよ。

けれども、フォーマルスタイルって難しいんだ。

取り敢えず、男3人でスーツを着て並んだんだけれど…。

「田舎の合唱団」

とアミラが爆笑したんだよ。

失礼だよね。

でも鏡に映る僕達は、本当に合唱団だったんだ。

でも、蝶ネクタイは「先生」に結んでもらってヘアスタイルのセットは、マリアに手伝って貰ったんだよ。

3人ともチーフを、同じにするとおかしいらしく微妙なアクセントを変えてくれたんだ。

それで僕達はようやく、合唱団を卒業できたんだけれどね。

いつもの僕達なら、はしゃいでワイワイやるんだけれど…ここに着てから僕達は殆ど話してないんだよ。

緊張が高まって止まらないんだよ。

シーンと静まり返った別室のホール。

横並びに僕達は座っているだけど、アーサーと隣のポールの2人の貧乏ゆすりが止まらなくて笑いそうになったんだ。 

揺すり過ぎて靴の踵が床を叩くんだ。

偶然なんだけれど、2人の床を叩くリズムが、何処かで聞いたようなバンドの歌みたいなんだもん。

アミラも気がついたみたいなんだ。

マリアが冷静に呟いた。

「「We Will Rock You」ね。」

クイーンの名曲だ!

あれほど緊張感が漂っていた別室。

静まり返っていたのに…。

大きなホールに、僕達の大きな笑い声に包まれたんだ。

凄くクールだったんだ…。

でも、それは、いきなりやってきたんだよ。

勢い良くドアが突然開いたんだ!

眩しい光が差し混んだんだ。

「Hey!Hey!Hey〜!待たせたな〜!」

光と共に、威勢の良い声が響いたんだ!

ホールのバカでかい両開きのドアを勢い良く開けた、声の出し主を見て、僕達は蹴飛ばされるように立ち上がったんだ。

そして一列に並んだんだ。

「WoW!ドナルド・ジョン・トランプだ!!」

アーサーが直立不動で、前を見据えたまま、満面の笑みで大きな声を出したんだ。

僕達の歓声が上がった。

直立不動のまんまだよ。

可笑しいよね。

クールなんだ。

そうなんだ。

僕達は「トランプ大統領」に呼ばれてココに来たんだよ。

もう興奮が収まらないんだよ。

…直視できない。

皆も、緊張して直立不動で前しか向いていない。

マリアが先に挨拶をしていた。

彼女は全く緊張していないんだよ。

クールなんだ。

僕達は、それを横目で見ていたんだ。

そして僕たち4人の前に、あのトランプ大統領が立ったんだよ。

「Hey!Hey!Hey!Cow〜boy〜!」

大統領は、とびっきりの笑顔で、ダンスするように両手を広げたんだ!

「Come on!」

トランプ大統領の掛け声が合図になり

アミラ、アーサー、ポールが大統領に飛びついたんだ!

正装なんてお構いなしさ。

ホール中に大きな歓声が湧き上がったんだ。

でも僕は、1人だけ直立不動で立ち尽くしてたんだよ。

だって大統領だよ!

ジャック・バウワーだって、はしゃいだりは絶対しないんだ。

敬意を払うのがジャックのやり方なんだ。

大統領は、3人とハグして一通り騒いだ後に、姿勢を正して僕の前に立ったんだ。

威厳のある立ち姿なんだ。

「君がリーダーのジャックだね。
活躍は聞いている。今回の事はほんとうに助かったよ。」

あの怖い顔に戻ったトランプ大統領。

クールだ!

「とんでもありません!大統領!」

僕は直立不動のまま、微動だにせず答えたんだ。

前だけ見据えるんだ。

「ジャック!本当に君のお蔭だよ。」

僕は同じ姿勢のまま

「光栄です!大統領!」

かしこまったんだ。だけど、その時に

「プッーーーーHA!HA!HA!HA!」

ホールで大爆笑が起こったんだよ!

僕の肩をバンバンと叩く大統領!

笑いながら涙目になっていたんだ。

困惑している僕の肩に、手を置いたまま大統領は後ろを振り返ったんだ。

「おい!J!お前が言った通り、本当にドラマのジャック・バウワーのままじゃねぇか!」

ゲラゲラ笑いながら、いつの間にか扉の前に居た先生に話しかけたんだ。

先生は両手を広げて、ウインクをしたんだ。

いつのまにかメンバーの皆も大爆笑だった。

「テレビで見たまんまじゃない」

アミラはフォーマルな格好を台無しにしながら笑い崩れていた。

あれ?

ジャックバウワーとしては当たり前なんだけれどな…。

と、突然に「ガバッ」と僕はトランプ大統領にハグされたんだ。

そして、大きくごっつい手で僕の手を握ってくれたんだ。

空いた手を僕の肩にのせて

「ジャックバウワーが好きなんだってな?以前に何度かキーフとは飯を食ったんだが、お前の方がジャックバウワーだよ。これからも世界を守ってくれよな!」

ガハハハッ!と笑いながら労ってくれたんだ。



■201☓年6月ロンドン■

…………4日前

夜中の1時。

昼間と違って、寒さがとてとキツイんだ。

夜の「ガーデンスクエア」

月明かりが、とても綺麗で素敵な夜だったんだ。

例の緑のバスでソーホー街のアジトから来たんだよ。

今回のミッションのメンバーは豪華なんだ。

先生にマリアと僕達4人なんだ。

シルバーのBodyArmorを装着したのは僕達4人だけ。

エヴァンゲリオンみたいなデザインでクールなんだよ。

先生は黒い服装にベストと軽装なんだ。

ゴーグルもしてなくて代りにかっこいいサングラスなんだよ。

クールすぎるよ。

マリアは、僕達とは違うタイプの軽量BodyArmorと大きなゴーグルだ。

アサシンの偵察用なので身軽なんだ。

ブラックのBodyArmorは細身で、光沢がなくってクールで格好いいんだ。

アミラが着たがって困ったよ。

僕達は、対ファーストトカゲ用のパワードスーツだからゴッツいし…今は「ゴリラ」のポーズだったからよけいだよね。

マリアは、アサルトライフルのようなゴッツい武器を軽々と持っているのにはタマゲたよ。

クールなんだ。

先生は、どうやって僕達とコンタクトしているか判らないんだけど、音声で指示をくれるんだ。

僕達のBodyArmor用のヘルメットでは、音声とシールドのディスプレイで字幕で見ることが出来るんだ。

声帯に光センサーが当てていて、囁くような小声だけでOKなんだよ。

どんな場所でも、BodyArmorが生体Wi-Fiになっているから通信は問題無い。

僕達は歩くWi-Fi Spotなんだよ。

スマート・チップも松果体に入れてあるから、僕達の身体は最新バージョンなんだ。

僕の囁やき声は、ヘルメットの外には絶対聞こえないんだよ。

最新Technologyなんだけれど…

だから先生のSystemが気になって仕方ないんだよ。

ヘルメットも被ってないし、マイクも見当たらないし…。

先生が教えてくれない時は、情報レベル4以上だから仕方ないんだけどね。

ガーデンスクエアの真ん前のブルームズベリー通りにある「グラフィックスタジオ」

ここは先生の会社の傘下のスタジオなんだよ。

バスを降りて、僕達はソコに向かって歩いて行くんだ。

本当に綺麗な月夜で、不思議な雲が立ち上っていて雰囲気は最高なんだ。

でもね、外の空気は感じられないんだよ。

僕等のBodyArmorは、外気をフィルターで通して自動浄化されるので、毒が撒かれていても、変な匂いがしていても僕達には快適なんだよ。

今夜の空気はきっと気持ち良さそうだから残念なんだけどね。

今回は「水筒」は装着してないだよ。

水分補給の為のタンクの事なんだけれど、最新システムの癖にチューブ式なんだよ。

ヘルメットの中で、口をタコのように尖らせて、チューブを探して咥えるんだ。

口元まで伸びているから、当たってくすぐったくって困るんだよ。

これはKが先生に頼んで後で追加したから、アナログでヘンテコなんだ。

僕達は、Kがアルコールを飲んでいるんじゃないか?と疑ってるんだけれどね。

Kに聞く機会があっので確認したら…。

なんと、牛乳を飲んでいたから大爆笑だったんだよ。

おかしいよね。

僕達のチームは本当にクールなメンバーなんだよ。

バスを降りる時にゴリラを解除して貰った。

先生が一緒だから緊張は全く無いんだ。

それに今回は「Sweeper」役だからなんだ。つまり後始末だけなんだよ。

先生を先頭に、僕達4人と最後はマリアなんだ。

当然、周波数装着のスイッチを入れて透明スーツにしてあるんだよ。

僕達のBodyArmorを人に見られたら困るからね。

先生のは、携帯用周波数装着システムを使っていているのは分かるんだけれど…全て透明化するのが不思議なんだよ。

先生に聞くと「シャワーだよシャワー!」と笑って教えてくれたんだけれどね。

多分、周波数を光学的に変化させてシャワーの様に粒子化させ、身体全体を覆っているじゃないか?とポールは睨んでいたんだ。

風が吹いたり雨が降ったらどうなるんだい?

聞かれても、僕はよく判らないから笑って誤魔化したんだけどね。

「グラフィックスタジオ」の建物はバスから直ぐに到着したんだ。

通りは、車も人影も少くって静まり返っていたんだ。

遠くで信号機が点滅を繰り返していたんだ。

白色の壁のおしゃれな「スタジオ」。

中二階の階段先が入口になっていて、先生が先頭で上がってドアを開けたんだ。

鍵はかかってないのか、スムーズに入って行った。

先生は音声で「Come on」と指示をくれた。

僕達のヘルメットバイザーを、先生のカメラに合わせると、先生が見ている風景も見られるんだよ。

バイザーの右上に「Come on」の文字は先生が音声で話した事を間違いないように字幕で転写してあるスグレモノなんだよ。

僕達はさらにSmartContactとFingerTapを使ってチームで情報を共有できるんだ…。

でも、先生からは「実践ではOFF!」と言われてるんだけれどね。

世代的に僕達は、マルチタスクはマストは当たり前だから問題ないんだけれどな。

SmartCUPを入れてから脳ミソが活性化されたのか?Memoryが増設されたのか?

ビックリするくらいマルチタスクは簡単に行えるようになったんだよ。

初めてのミッションでは出来なかった事を余裕を持ってこなせる様になったんだ。

僕達は「スタジオ」の入口の階段を上がったんだ。

中に入っても「状態キープ」の指示が出てるので透明人間のままだよ。

1階のリビングのような場所を抜て、勝手口を開けて外に出たんだ。

裏庭になっていて、後ろの壁は驚くほど高いんだよ。

ここからは、月は視えなくって真っ暗なんだろうね…

ても、僕達のシールドから見える景色は昼間のようによく見えてるんだけれどね。

裏庭はそんなに広くなく、少しのスペースがあって芝生が敷いてある。

僕達は「RayGun」は背中に収納したままだから手持ち無沙汰なんだよ。

さっきからアーサーが、無意識にペンギンみたいな手の振り方をするもんだから…アミラとポールに両方から手を抑えられていたのは笑ったよ。

先生は、ボディバッグから小型で真っ黒のキューブみたいなもの取り出したんだ。

裏庭の大きなダストボックスの下側に、それを設置したみたいなんだ。

「Come on」

の表示と音声指示が出たんだけれど…

ダストボックスと壁の隙間を先生が入っていったんだ。

ポータルが稼働したみたいなんだよ。

Spacetimeに先生が侵入したみたいで映像もシグナルも消えたんだ。

「ポータルをClearにしたから入っておいで」

音声指示と表示が出た時に、先生からの映像も戻ったんだ。

僕達は、アミラを先頭にダストボックス裏のポータルから移動したんだ。

まるで抜け穴を素通りするかのようなんだ。

最後にマリアが、ダストボックスに何か仕掛けをしてから移動しできたんだ。

Alertを仕掛けたんだと思うんだ。

それで後から誰か侵入してきても分かるからね。

これから僕達が潜入する場所はクールなんだよ。

そこは

「 大英博物館 」だ!

「グラフィックスタジオ」の壁の裏に建っているのが「大英博物館」なんだよ。

Bigクールだよ。


■201☓年6月ロンドン■

………現在

■大使公邸執務室

大使用執務室とは思えない、豪華絢爛な装飾を設えてある。

大きなソファには、大柄な男がゆったりと座っている。

ドナルド・ジョン・トランプである。

この男は「J」と呼ばれている。

その対面のソファにも、背の高い男が座っていた。

シンジョウ・ヒロシ。

この男も「J」と呼ばれている。

ややこしいのか、2人の時は大柄な男の方を「ジョン」と呼び直していた。

「よう「J」よ…それは本当の話かい?面倒だな…それは本当に面倒だ。」

それを言い終えて、大柄の男「ジョン」は、居所が悪いかのように足を組み替えて座り直す。

困った事態なのにニヤついていた。

「ジョン、そうなんだ。…まさかアイツラが介入してくるとは思っても見なかったよ。

あれだな…あの2010年のタイムループ。あの隙に入り込んできたんだと思う。スライドスパイラルも影響したんだろうな。」

そう言うと背の高い男「J」は、ソファから優雅に立ち上がる。

ソファの横にある執務室のデスクに向かった。

デスクに何個かあるPhoto frameから一つを取り上げ熱心に見入った。

「アイツ等の介入が判明したから、いろいろと見えてきたんだ。それまで辻褄が合わない事が多すぎたからな。」

彼は、Photo frameを窓の光に当てながら話した。

「しかもアイツ等は「死海文書」も手に入れたみたいなんだ。

…バカなのか何なのか。

…そのシナリオに強引に入ろうとしてるんだな…。」

デスクにPhoto frameを戻しながらクスクスと笑った。

大柄な男「ジョン」も豪快に笑う。

組んだ足を戻し、背もたれに身体を埋めて笑っていた。

「まさか自分達を「アヌンナキ/Anunnaki/」を名乗るとはな…。本当の話なのか!?」

「…本当だ。」

大きな笑い声が執務室に響いた。

2人共に大笑いしていた。

背の高い男「J」が笑い終わり、涙目で言った。

「しかも…シヴァ神の像を祀っていたんだぜ?信じられるかい?

いったい、どんな世界線なんだ?

吹き出しそうになったよ。」

背もたれに沈んでいた大柄な男は、目を丸くして驚いた。

そして立ち上がり、背の高い男に向けて膝を折り、芝居がかったポーズを取った。

「Oh! Jesus! Oh!J!a man named jesus christ!Bless the Stray Sheep!」

大柄な男、ジョンは、跪き笑いながら手を差し出した。

背の高い男「J」は、差し出された手を引いてジョンを立ち上がらせた。

そしてジョンの前で跪き祈りを捧げた。

「John, please baptize me.」

ジョンは、頭を振り懇願する様にJの前に跪いて、大袈裟な演技をした。

「No. No. No…」
「I need to be baptized by Jesus」

ジョンはJの手を取り変な顔をした。

「hehehehehehehehe……」

「hahahahahahahaha……」

ジョンとJは執務室でひっくり返って笑い合った。

「hehehe!…俺達はこんな事言ってねーよ!…トカゲ野郎のスカしっぺだろ…hehehe…」

「hahahaha…全く…これをやらせるなよ…hahaha…」

ジョンは両手をついて起き上がり、ズボンを叩いてホコリを払った。

「ま、いいさ。

これでイギリスのトカゲカーストはぶっ壊せるしな。コチラ側の介入をゴリ押ししたからな。でも、まさか…あのキャベツ女からHELPの連絡が来るとはとは思わなかったぜ。」

Jも立ち上がりホコリを叩いていた。

「エリザベス女王か?あのトカゲ女も神通力が無くなったのが哀れだな。
ガンガンと呼ばれていた時は、なかなかの策略家だったんだがな…生命力が弱くなって、マミーとかママとか呼ばれるくらいから付け込まれたんだろうな。

気が付いたら、家族や王族、取り巻き連中が、アイツ等に取り込まれてたんだからな。
どうしょうもなくなって助けを求めたんだろうな。昨日のレスキュー現場で、王室の孫達とアイツもいたぜ。

ま、いろいろと判明したからさ。
こちらとしても収穫が大きかったよ。アイツ等に、いいように扱われるくらいならシナリオ通りにする方を選んだだろうな。」

ジョンは衣装を正すと執務室デスクにふんぞり返った。 

「あのキャベツ女は引退だ。
それとロスチャイルドの爺さんも幕引だ。いつもの様にコチラ側では死んだ事にして向こうに帰す事が決まったぜ。」

デスクの引き出しから、お菓子の小袋入ビーンズを取り出した。

ジョンは、後ろを向いているJに「ヒョイ」と投げた。

Jは洋服を正していたが、後ろを振り向かずに投げられた菓子袋を掴んだ。

「おい!俺の嫌いなヤツだろ。ジョン…お前本当によくこんなもんが食えるよな。」

Jは呆れて言った。

英国の世界的に有名な子供小説に出てくる「百味ビーンズ」だった。

ジョンは、Jと会う時には必ずこのビーンズを持参していた。

■201☓年6月ロンドン■

…………4日前

「大英博物館」の中にあるポータルから僕達は侵入したんだ。

真っ暗の大英博物館のバカでかい内部。

でも、シールドから見られる風景は昼間のようなんだ。

ポータルで移動する時「Spacetime」通過時に軽く「圧」が身体に掛かるんだよ。

身体全体を軽い風が押し戻す感じかな?

ファンタジー映画で、よくある姿見鏡を潜るような、薄い空間みたいな感じなんだ。

ダストボックスの裏からポータルをくぐって博物館に入って驚いたんだよ。

事前に、先生から「 Don't make any noise!」と言ってくれてないと大変な事になったんだ。

白い大きな門。

ポータルの出口がそんな感じの博物館の中だったんだ。

でも左右を見てギョッとしたんだよ。

声を上げそうになったんだ。

ファーストトカゲより大きな異形のモノなんだ。

顔が人で身体が動物のデカい彫像さ。

シールドに「人頭有翼雄牛・ライオン像」と先生からのメッセージ。

ポールは、無言で後退りしてアミラに押されてたのは先生には内緒だよ。

その彫像が睨みを効かせてる門を通った先に先生がいたんだ。

手を挙げて待っていてくれたんだ。

シュミレーション通り、僕達は先生の元で隊列を組んだんだ。

しんがりはマリアだ。

こんな形で、あの「大英博物館」に入るとは思っては見なかったんだ。

ミィーティング通り、ギリシャローマ展示まで歩いたんだ。

僕達は先生に禁止されたSmartContactとFingerTapを内緒でやり取りしてたんだよ。

アミラが「WoW!LOOK!」

いきなり大きな空間に入ったんだよ。

そこは辺り一面がパルテノン神殿を模したホールだったんだ。

感動しても僕達は隊列を崩さずに先生に付いて行ったんだ。

「昼間に来よう」

ポールの提案がSmartContactにきた…

「YES」「YES」「YES」…

には大笑いしそうになったたよ。

と…リンクしていない筈の先生からメッセージが!

「I will guide you」

びっくりして僕達はSmartContactとSmartFingerの電源を落としたよ。

先生は振り返らずに、前見向いたままサムズアップのサインを僕達にくれたんだ。

やっぱり僕達の先生はクールだよ。

そのまま歩いて行くと目的の「ネレイデス・モニュメント」の部屋に付いたんだ。

これは、お墓なんだよ。

神殿の様な作りで、舞台のようになっているんだ。

先生は横に回ると「ヒョイ」と登ったんだ。

BodyArmorも無いのに凄い運動能力なんだよ。

続いて僕達も「ピョン」とワンステップで飛んだんだよ。

マリアは僕達が侵入するまでチェックしてくれていたんだ。

お墓の舞台の後ろの扉。

飾りの扉の筈なんだけど、仕掛けがあって、地下の秘密の部屋へのアクセスが可能なんだ。



………【ミィーティングルーム】

緑のバスの2階でミィーティングか始まったんだ。

これまでの「トカゲ討伐」とは内容が大きく変わったそうなんだ。

大事なミィーティングでは、いつもの様にアナログの紙を使うんだよ。

デジタルだと流出しやすいからね。

ファイリングされた紙の内容を、先生は確認しながら説明してくれたんだ。

僕達は簡易のチェアに4人で座っている。

先生が僕達の周りを歩きながらレクチャーしてくれているんだ。

マリアはスポーティな黒色の格好で、僕達の後ろで足と腕を組んで座っている。

「いいかい。今回のミッションは君達はSweeperを任せる。

門番とターゲットは俺がチェックするから片付けを君達に任せる。

しんがりは、マリアに任せてあるから安心してくれ。」

僕達か後ろを振り向くと、彼女は微動だにせずにウインクだけ返したんだ。

クールだ。

「先生!門番はファーストトカゲですよね?他にもターゲットが居るんですか?」

アミラが、挙手をして先生に尋ねたんだ。

先生は僕達の周りを歩きながら

「いろいろと不確定要素の問題が出たんだが…王室のニュータイプレプティリアン達がイニシエーションをする予定だ。

儀式だな。

今回は、それの邪魔をする。

だが、ニュータイプ達は放置だ。逆に解放を手助けする。手出し無用でいい。

そいつ等はマリヤに任せる。

ターゲットは門番だ。

そして祭壇にいるサードだ。サードレプティリアンだ。

情報ではファーストは一体だけだ。
 
サードは何匹いるかは詳しくは不明だが2体くらいだと思う。

全部俺が倒す。

5体居ても俺には余裕だから心配はするな。」

心の中で口笛を吹いたよ…先生カッコよすぎ!

そして先生は資料を促した

「2ページ目の配置図な。

この大英博物館にはトカゲ達の秘密部屋が無数にある。

勿論、トカゲ一族が巣食うバッキンガム宮殿からの通路は5つ確認してある。

ロンドン動物園からの坑道は2つだけだ。

前回、動物園で倒したファーストは、バッキンガム宮殿の門番で、坑道を通って現れたんだ。」

ポールが挙手をした。

「先生!この4ページ図解のサードレプティリアン。コイツ等は廃棄処分されて存在しなかったのではないですか?」

先生が資料を指でペシペシと叩きながら

「状況が大きく変わったんだ。詳しくは終わってから話そう。今回のミッションは「救出作戦」だと思ってくれ。

救出とは「ニュータイプレプティリアン」の王室の人間達だ。」

僕達はちょっとざわついたんだよ。

「先生、イギリスはエリザベス女王を筆頭に、トカゲ達が世界を支配していますよね。王室の孫達はニュータイプで作られたトカゲでしたが…救出とは?…彼等と「サード」に何かあったのですか?」

僕は、立ち上がって聞いたんだ。

「それも確認の為のミッションでもあるんだ。とうやら王室は既にサード/ドラゴニアンが裏でコントロールしているそうだ。乗っ取られた状態だ。

トカゲに変わってサード/ドラゴニアンが支配してたんだ。

ミッションの日に、サード/ドラゴニアンが、王室の孫達や関係者を集めてイニシエーションを行うのを阻止して助けて欲しい。と要請があった。」

僕達は、またざわついたんだんだ。

僕は立ったまま先生に尋ねたんだ。

「要請と言うのは、イギリス政府ですか?」

「エリザベス女王本人からよ。」

後ろからマリアが透き通るような綺麗な声で答えた。

僕達は一斉に、振り返ってマリアを見たんだよ。

「ま、いろいろあって私達は女王達とコネクションは繋げてあるのよ。そこからHELPの連絡には本当に驚いたわ。」

マリアは、立ち上がり人差し指を振りながら話し出したんだ。

「4日後に「President Trump」が訪英するに当たって急を要するのよ。」

マリアは歩きだして先生の隣に並んだんだ。

2人が並ぶと本当に格好良くてお似合いなんだよ。

隣のアミラが嫌な顔をしてたんだ。

可笑しいよね。

「この話は、トランプ大統領にも通してあるわ。取り敢えず私達は、現場で少しでも事実を知らなければいけないのよ。ミッションの成功は貴方達の活躍に掛かっているわ。」

「WoW!トランプ!ついに名前が出てきたね」
「本当だね!ワクワクしてきたよ」
「先生にバレるよ」


僕達は先生に内緒でSmartContactとFingerTapを使って会話してるんだ。

僕達はスパイみたいでクールだ。

アミラが、立ち上がり先生の前まで歩いて聞いたんだ。

圧が凄い。先生との顔が近い。

「先生!トカゲ達の罠の可能性はないですか?」

先生はちょっとだけたじろいたんだよ。

可笑しいよね。

「それは大丈夫よ!既にロスチャイルドには、大統領のチームが介入して取引は成立しているのよ。

それと…さっきのJからの話。

バッキンガム宮殿からの坑道や、大英博物館にある秘密の部屋の情報開示は、エリザベス女王からの提供よ。完全に白旗を上げたわね。」

アミラの前に割って入りマリアは説明したんだ。

マリアにウインクされて、アミラは顔を赤らめたんだよ。

「まだまだ不確定要素が多いんだが、今回のミッションである程度明らかになると考えている。

簡単に解釈すれば、トカゲが足下をすくわれてケモノが入れ替わったも思えばいい。」

先生は後ろに歩いて回り、僕の肩に手を置いて説明してくれたんだ。

先生は話しながら僕のペーパー資料に

「Shut down!」

と書いたんだ…あれ?SmartContact使ってるのがバレた?

ペロッと、舌を出して誤魔化したんだよ。

「よし!皆の具体的な動き出しを説明する。そして、博物館での隊列と処理後について話す。次のページを見てくれ……」

…………【大英博物館 地下】


そこはとてつもなくデカい空間だった。

まさか大英博物館の地下にこんな空間が存在するなんて驚きだよ。

ロースクールの体育館より大きいんだ。天井も高いんだ。

僕達は、お墓の裏扉から入った先の「門番が倒れている」踊り場にいるんだ。

空間を見下ろすように天井に近い所なんだよ。

天井も、全体も石か岩のパネルを貼り付けている感じなんだ。

その材質は古くて、古代って感じで博物館らしいんだよ。

上から眺めると…何か儀式のような跡があり、ロウソクやら古いデスクやらが乱雑に散らかっていたんだ。

僕達が、裏扉から侵入する前だ。先生の凄まじい陽動があったんだよ。

沢山いた半裸の人達が蜘蛛の子を散らすように消えて居なくなっていたんだよ。

マリアが冷静に誘導していたんだ。

先生達が先に潜入し、僕達はSTAYしてたんだ。

先生等の活躍は、僕らのバイザーを通して映像で送られてきているんだ。

衝撃だったのは、門番のファーストトカゲの映像なんだ。

3メートルはありそうな肉の塊なんだ。

以前の動物園で、エースがファーストトカゲを簡単に倒した理屈が分かったんだ。

先生の凄い所は、言葉でレクチャーしながら倒したんだよ!

「いいか!こいつらファーストトカゲの弱点はアキレス腱だ。ここは他と比べて肉が柔らかいんだ。図体がデカいから素早く後ろに回るんだ。但し、姿勢が大事なんだ。」

先生は説明しながら、ファーストトカゲと出会った瞬間に動いた。

トカゲが先生を見つけ叫んで姿勢を取る!

僕達に話しながら、先生はあっという間にトカゲの足下にスライディングしたんだ。

股の間から抜け後方に回った。

そしてベストに挿してある小型の周波数のLaserNaifuで、トカゲの両足のアキレス腱を簡「スパッ」と切ったんだ!

「ギリシャ神話の不死身の暴君アキウスはコイツなのかもな。」

先生は笑いながら言った。

クールすぎる!

エースがトカゲを簡単に前に倒したのも、この手だったんだと確信したよ。

ファーストトカゲは、何が起こったか判らない感じで前のめりに勢い良く倒れた。

先生は直ぐ様、トカゲの倒れた背中に飛び乗り、寄っかかるような姿勢をとった。

「いいか、逆鱗って奴があってだな。コイツの背中は大きな骨で覆ってるんだが、所謂急所でもあるんだ。

急所を守る為のプロテクトで骨が大きく張り出てるんだ。しかし、一箇所だけ急所に届くポイントがある。

コイツの鱗が逆様に生えてる所を攻撃するんだ。」

先生は緊迫する場面なのに、ファーストトカゲの背中の逆鱗を指で指し示したんだ。

クール過ぎて鳥肌が立ったよ。

ファーストトカゲが「ガバッ」と起き上がろうとする、その直前!

先生は、そのままLaserNaifuを突き立てたんだ。 
 
起き上がろうとしていたファーストトカゲは、動かなくなって突っ伏したんだ。

Naifuの周波数を変えて突っ込んだんだ。これをやられるとトカゲは停止するんだ。

「よし、掃除機を頼む」

と先生が言った一瞬に映像が飛んだんだ。

たぶん、装着している周波数を変えて見えなくしたんだと思うんだ。

そのまま「サード/ドラゴニアン レプティリアン」に向かったと思われるんだ。

広場から僕達の元に帰ってきたマリヤ。彼女に促され僕達も侵入し門番の所まで急いだんだ。

階段の踊り場の様なスペースに、門番は横たわっていたんだ。

僕達はいつもの様にRayGunを取り出した。

黒色と黄色のコードか腰のインバータに接続されているんだ。

周波数を変えてトカゲの肉体を壊すんだ。

アーサーとアミラが何時もの様に「ray gun」を広角に変えて照射した。

トカゲの汚染から守る為に消毒液で除菌も兼ねてるんだ。

ファーストトカゲは、いつもの様にパチパチと火花のような、デジタルのドット欠けのような光を出した。

僕とポールは「掃除機」をとり出した。

「掃除機」とは愛称で、形がコードレスクリーナーに似ていたからなんだよ。

完全に消滅したか、平行世界線に逃げたかチェックできる装置なんだ。

コンバーターの「オーケー」表示がバイザーにも反映されたんだ。

「Ii's Okay」

ポールがチェックした。

トカゲは、そのままチカチカ光って消滅した。

「Sweeper All ok」

僕は先生に報告したんだ。

これで、どの世界線ともにコイツは存在しなくなった。

先生からバイザーに指示が来たんだ。

「Come on」

サードレプティリアンの獣人を討伐したみたいなんだ。

早い!

映像をチェックし切れてない早さだったんだ。

僕達はRayGunを仕舞って、お互いのボディーチェックを済ませた。

ボディチェックとは、RayGunの装着の安全確認なんだ。

BodyArmorの見えない箇所を、お互いにチェックして損傷や異常が無いかを見る作業なんだよ。

本当は、BodyArmorのオートのAlert機能が付いているから、何かあればバイザーや警告音で知らせてくれるから問題無いんだけれどね…。

念には念を入れるのが先生のやり方なんだよ。

僕達は、石造りの階段を降りてホールに降りたんだ。

乱雑に散らかっているので、物を踏まないように祭壇のある方に向かったんだ。

壇上の隅で倒れているサード/ドラゴニアンレプティリアン達を見て驚愕したんだ。




…………【ミィーティングルーム】


「状況が大きく変わり始めたんだ。
これまではトカゲの討伐を目的としてミッションを進めていた我々だが、大きく方向転換をせざるを得なくなった。

既に、ネズミ部屋でも「Q」から全員に情報共有はしてある。

今回のミッションで、あらかた状況が見えてくると思っている。

2020年からトカゲとディープ・ステートの、これまでの動きとは異なる異質な動きが世界中に見られたのは知っているね?

あからさまに動きが激しくなって、全くトカゲらしくない。

2024年に至っては、まるで何か終わりが近づいているような性急さだった。」

先生の説明で納得したんだよ。

確かに僕達の居る2024年の世界。

2019年から始まった、あの「COVID-19・コロナ」騒動からおかしな方向に向かっていたんだ。

「Georgia Guidestones・ジョージア・ガイアストーン」がマンデラエフェクトで突然出現したんだ。

マンデラエフェクトチームの報告をピックアップすると「2010年から2013年前後」に出現が確認されているんだ。

人口削減が主なテーマの石碑。何かのメッセージ?

それを皮切りに各地のディープ・ステート連中…とくにDSのアイコンの

「ビル・ゲイツ」。

ビルは人が変わったように変質してたんだ。マンデラエフェクトなんだよ。

「人類削減」を提唱する第一人者に変貌したんだ。

人間を殺すVirus研究や、人間に対して怪しい食べ物の開発への投資へのスピードは凄かったんだ。

Microsoft社をビルと一緒に立ち上げたポール・アレンは、ビルが変貌したのに気付いたのか身を隠すように退社していたんだ。

先生の調査ではビル・ゲイツはアバターとして別人が入れ替わっているそうなんだ。トカゲが入っている…と当初は思っていたんだよ。


ダボス会議も「人類削減」をテーマに急速に動き出したんだ。

会議メンバーも各国の意思の統一もされていないようだし、何だかおかしいんだ…。

ディープ・ステートによる「COVID-19・コロナ」も「ワクチン」も当初は「日本人消滅」が目的だったのに、世界中で被害が出たんだ。

末端まで統率が全く取れてなかったんだよ。

誰かが別の思惑で、あちこちで違う動きを起こしているようだったんだ。

トカゲの主導のはずが…「サードレプティリアン/ドラゴニアン」達に、いつの間か侵入され乗っ取っられていたのなら、全ての辻褄が合うんだよ!

ビル・ゲイツは、トカゲではなくドラゴニアンの手先にすり替わっていると確証が持てるんだ。

各国のディープ・ステートのアイコン達もトカゲからドラゴニアンに入れ替わったヤツが増えてきたんだとしたら…。

そうか!

だから世界情勢が読み難くなったのか!

これまでは全てトカゲ主導だった。

僕達人間とトカゲの戦いだったのが…

現在はトカゲとケモノ(ドラゴニアンレプティリアン)との戦いが裏で行われていたんだよ。

そしてトカゲ組織は、国によっては白旗状態の所も出ているんだ。

ウクライナ戦争もおかしな方向に向かっているんだよ。

ウクライナにある、トカゲ達の無数の悪の拠点を、ホワイトハットチームが攻撃したんだ。

人体実験や売買やトカゲ用の薬の製造拠点から、キマイラレプティリアン達の娯楽施設…様々な悪の拠点。

2024年のアメリカ合衆国のバイデン大統領は「automata」AIオートマターの人形なんだよ。

人形になる前のバイデンは私利私欲の強欲の塊男。当初は、単なるディープ・ステートの傘下の人間だったんだ。

彼はDS組織の一部であり、個人でウクライナで拠点を多数作って儲けていたんだ。

ヤツの子供達も、ニュータイプのトカゲに憧れて細胞を取り入れた異常者になったキマイラレプティリアンだ。

あまりにも大胆に行動するからバレてホワイトハットチームか介入出来たんだ。

ウクライナの大統領達も、西側のトカゲがいるしバイデン大統領は仲間だから、強気になってロシアの介入に対しても調子に乗ったんだよ。

そしてロシア側に挑発を始めて独立戦争を仕掛けたんだ。

ウクライナの怪しい拠点が、世界中にバレると困る大英帝国トカゲ達は「ロシアによる不法侵攻」と事実を捻じ曲げて戦争で誤魔化したんだ。

勿論、バイデンが働きかけていたんだ。

が、サードのドラゴニアンレプティリアンがメディアにも介入したので情報統制が出来なくなり、日本以外の世界中にウクライナの真実がバレたんだ。

そしてウクライナにもサードが入れ替わりが増えてきた。

ゼレンスキー大統領も欲望の塊なんだ。

勿論トカゲ側だけれど、嘘がバレて大英帝国のトカゲ本部からトカゲの尻尾切りの方向に進んでいるんだ。

焦ったのはウクライナに拠点を持つバイデン大統領。

正確にはバイデン一族。

本人は、人形…。

一族はその人形の生死は気にしていなくって自分達の「金と安全」が最優先なんだ。

危機を感じた一族は、最後の金集めは米国の財布の日本国民の税金なんだ。

これを捕りにきたんだ。

キシダ首相がバイデン大統領に命令されて国民の税金を大量に横流しをさせているんだ。

日本の莫大な税金を掠め盗ってゼレンスキー大統領とバイデン一族は舞台から逃げてトンズラする予定なんだ。

人形とゼレンスキーの2人共に辞任し、表舞台から消えるのも2024年中なんだけれど…彼等はトカゲに消されてお金の行方も不明になると…既に情報として「Qアノン」まで届いていたんだ。

めちゃくちゃなんだ。

何故こんな事態になっていたのか…。

それは全て、裏でトカゲとケモノ(獣人)の争いがあったんだからなんだ!

先生の説明で僕達は理解したよ。

僕達はこれまで「ファーストトカゲ殲滅」がトカゲを駆逐する目的だったんだ。

それがケモノ(獣人)ドラゴニアンレプティリアンがトカゲの組織を侵攻した事によって事態がややこしく、面倒な事になってきていたんだ…。

そして表では、トカゲに対してのロシアと中国による戦争の危機。

裏では、サードレプティリアンとの攻防もしながら大国との戦争の備えは…いくら強固なDS組織でも無理なんだ。

内側から崩されてきていては崩壊しかないんだ!

もう既に、ディープ・ステート内部では、仲間割れや末端の組織や個人まで、バラバラになっている。

こうなると「金と安全」の「金」を求めて「世界の金ヅルの日本」が大変な事態になっているのが2024年なんだ。

世界中にばら撒かれている「日本のお金」をさらに、キシダにお強請りをして強奪を狙う奴等。

これからも日本のお金はドンドン奪い取られて行くんだよ。

「日本国の土地や利権…領土」を日本政府と結託して得ようと侵略する者達。

「日本人の労働力を搾取」しようと複数のDS企業が侵攻を行っている状況。

ディープ・ステートたる世界中のトカゲの最大目標

「日本人抹殺計画」
「日本植民化計画」

を前倒しして、誰かに獲られる前に自分が「日本を食いモノ」にしようと魑魅魍魎の輩が日本に集結して、大変な国内事情になっているのは頷けるんだよ。

日本のインフラの電気ガス水道は、既に外国人が利権を持ち、日本の土地の半分は日本人のモノでは無くなっているんだよ。

事態の進行が予定より早すぎるんだ。

先生は、激しく強い負荷が2024年の日本に掛かっている現状に、大きな不安があるそうなんだ。

このまま日本が攻撃され続けると…「X Day」が前倒しになる可能性を憂いていたんだ。

「Qアノン」としてまだ準備が出来ていないので「X Day」が先に起ってしまえば…現世界がどうなるのか…読めないそうなんだよ。

僕達は黙りこくったんだ。

BADクールなんだよ。

「今は、情報が少ないんだ。サードのドラゴニアンレプティリアン達のな…。先ずはアイツ等の生体情報が欲しい。今回のミッションではこれも優先したい。」



…………【大英博物館 地下】


祭壇は倒れていて、大きなシンボル像は倒壊して割れていたんだ。


それは男か女か判らない顔をしていたんだ。

髪の毛は長髪。黒色でベッタリとしていて重さがありそうに見える。

上半身は裸なんだ。

赤黒色のTattooがびっしり腕まで掘られていた。

胸部は女性のソレなんだけれど、茶色の鱗で覆われていたんだ。

トカゲではないのはすぐ分かった。

下半身が蛇なんだよ。暗い青色の鱗がびっしり。ヌメヌメして気持ち悪いんだ。下半身の尻尾は2メートルくらいの長さがありトグロを巻いているんだ。

おかしな事に背中に小さな羽のようなモノが生えていたんだ。

気味が悪いんだ。

先生は「蛇のサードレプティリアンか?」と呼んだんだ。


もう一体居るんだ。

コレは別のカタチをしているんだ。

祭壇の横に倒れていたんだ。

躯は2メートルを超えている。

奇妙な事に祭司のような服を着ている。

ワンピースのような形にも見えたんだ。

赤色を基調に金色が混ぜ合わさり高貴な感じがしていたんだ。

司祭服から出ている足。

人間のソレでは無いんだ。

鳥なんだ。

鶏の足のまんまなんだ。

色は青黒くテカっている。

鶏のような脚鱗が表皮にあり、蹴爪まである。少し羽毛のような白色の毛がアチコチに生えていたんだ。

手はカタチは人間のソレで爪が異常に長い。

横たわってる背中。

司祭服から飛び出しているモノに目を奪われたんだ。

コイツも翼が生えているんだ。しかも大きい翼が2つ。シルバー色でツヤツヤしているんだ。

顔を見てギョッとしたんだ。驚いたんだよ。黄金の仮面を被っていたんだ。

黄金の牛の仮面なんだ。

角が2つ生えていて耳が飛び出しているんだよ。

先生がソレを丁寧に外したんだ。

出てきた顔は普通の人の顔だったんだ。

「鳥獣人タイプのサードレプティリアン?」先生は呟いたんだ。

先生は、終始無言で険しい顔をしていたんだよ。

結局、この2体は消滅しなかったんだ。先生はそれを一番驚いていたんだよ。

その後は、計画を変えて待機していた別働隊が回収に来る事になったんだ。

僕達は、マリアに促されポータルまで戻り、緑のバスまで帰されたんだ。






■2024年7月ダラス■


僕達は、ボストンの「MIT」で半年の招待留学が終わったんだ。

刺激的な毎日だったんだよ。

ちょうどサマーバケーションの次期だったから、ダラスに帰る前にロンドン観光を楽しんだんだ。

「大英博物館」は凄くクールだったんだ。

あと少しで懐かしのダラスの空港に到着なんだよ。

横並びでエブリィ・ワンのメンバーが座っているんだ。

アミラが窓際で隣にポール、アーサーと僕なんだ。

皆疲れているようで爆睡なんだよ。

本当にクールな毎日だったからね。

ダラスで一番大きいフォートワース国際空港。

ダラスには、9つの空港があるんだ。
だから僕は小さい頃に家族で空港によく遊びに行ったんだよ。

飛行機を見てランチを楽しんだり空港は身近なんだよ。

でも、ここを利用したのは初めてだからテンションが上がったんだよ。

皆は寝てるんだけれどね…。

着陸前のダラスの町並は、とても綺麗なんだ。機体が斜めになった時に窓一杯にダラスの街並みが迫ったように見えたんだ。

日に照らされてピカピカしていて、まるで僕達を歓迎してくれてるようなんだ。

離れたのは、少しの期間だったけれど、やはりダラスは僕達の故郷なんだ。

午後の7時。

僕達にすればまだ昼間なんだ。

日か少し赤色になり、もうそろそろ夕日に変わるんだ。

到着の案内がでて、僕は皆を起こしてベルト着用を促しだんだんよ。

アミラが窓からの風景を見て叫びだしたんだよ。寝ぼけているから何を言ってるかサッパリ分からないんだけれどね。

アーサーもボールも釣られてアミラ側の窓に顔を張り付けていたんだ。

相変わらず、子供っぽい彼等が可怪しくって、僕は声を上げて笑ったよ。

アーサーが振り向きざまに、僕に拳銃を撃つ振りをして「BANG」と叫んだ。

ポールまでもマシンガンを持つような手付きで、僕に向かって「Ratatat.Ratatat.Ratatat……」と連射したんだよ。

僕は撃たれた振りを盛大にしたんだ。

「24」のドラマでよく見るやつさ。

椅子にもたれ、マシンガンの連射を受けた悪役のように身体を椅子に押し付けて身体を揺らしんだ。

絶命したかのように手をだらりとさせて、シートベルトを締めたんだよ。

3人とも大ウケの大笑いさ。

僕達、エブリィ・ワンは最高に楽しい仲間達なんだよ。

空港から贅沢してタクシーを使ったんだ。

空気が優しい。

皆で肺一杯に空気を吸い込んだんだ。

ポールが、途中で咳き込むもんだから、つられて僕達も皆で咳き込んだんだよ。

可笑しいね。

この時期のダラスの日の入りは8時くらいだから、街はまだまだ活気が溢れているんだ。

タクシーに荷物を詰め込んで向かった先は…勿論、僕達のアジトのマイクの所さ。

ダラスの南アカード通りにある僕達の溜り場「Coffee Roasting Studio Alpha」

珈琲ショップの「Alpha」に向かうんだ。

僕達は家族に会う前に、マイクに報告に向かうんだよ。

「Alpha」は8時には閉店なんだけれど、今日は僕達の為に開けて待っていてくれるんだ。

アカード通りにタクシーが近づくと、見慣れた赤レンガが見えてきたんだ。

僕達は帰ってきたんだよ。

ダラスを離れたと期間は凄く短かったのに…まるで何年も経ったかのようで…感動で泣きそうになるんだ。

あれ?

車内が静まり返ってるから皆を見るとすすり泣いているんだ。

何故か心地良い、懐かしいような寂しいような…不思議な空気感が車内に漂ってきて心地よかったんだよ。




「よー!みんな元気に帰ってきたなー!」

タクシーが「Alpha」の店の前に着いた途端に、扉が開いてマイクが飛んできてくれたんだ。

マイクはアミラの親戚なんだ。

荷物を下ろすのを手伝いにきてくれたんだ。

「お前達からMessengerアプリで毎日、近況を送ってくれたから、俺も「MIT」やロンドン動物園や大英博物館に一緒に行ってた気分だぜ。」

ガハハハと、大きなお腹を揺らして笑ったんだよ。

お店に入るとは、いつもの裏のアジトではなくお客さんが座るテーブルに案内されたんだよ。

テーブルには食べ物や飲み物が置いてあり、マイクが歓迎の宴の用意をしてくれていたんだ。

僕達は、早速荷物の中からマイクへのお土産を出したんだ。

「ありがとう!マイク!お土産だよ。」
「マイク!最高だよ!コレ使ってね。」
「お陰で楽しい時間をもらったよ!ありがとうマイク!」
「マイク!今度は一緒に動物園へ行こうね。」

マイクの元に、白色の大きなマグカップが8つ…総て同じもので、黒字で大きく「MIT」と描かれていたんだ。

8つのマグカップを持たされたマイクが、目を丸くしたんだ。

「Hey!Hey!Hey!俺は珈琲屋だぜ!なんで、同じマグカップを8個もお土産にするんだよ!」

天井を向いて呆れたように叫んだんだ。

僕達は大爆笑さ!

マグカップを抱えてるマイクに皆で飛びついたんだ!

「Hey!止めろ!止めろ!カップがおちて割れちまうだろ!」

僕達はマグカップが落ちてもお構い無しにマイクに抱きついて離れないんだよ。

このマグカップは「MIT」のユニコーン企業が非売品で作ったモノなんだ。落ちても割れないし傷も付かないんだ。

背の高いGentlemanな教授が、僕達に贈ってくれたモノなんだよ。

アミラが「4つはマイクが好きに使ってね。残りの4つのマグカップは、私達専用だから、これからはコレで珈琲を頼むわね!」

「お前達!いい加減にしろ!」笑いながらマイクは怒鳴ったんだよ。

それから僕達は、テーブルを囲んで「MIT」での刺激的な体験や、肝心の僕達「不思議研究会」の発表会やレセプションパーティーで、トランプ元大統領に会えた事、遊びに寄ったロンドンの大英博物館での怖かった出来事なんかを夜遅くまで語り合ったんだよ。

そうなんだ、この機会を作ってくれたのはマイクんだよ。

僕達「不思議研究会」の永久エネルギーの研究を「MIT」に推薦してくれたのがマイクなんだ。

「MIT」では世界中から優れた研究を公募していて、選ばれだグループが「MIT」に招待され表彰されるんだよ。

僕達が選ばれたんだ。

母さんも父さんも大喜びさ。

遊んでばかりいた息子が、実は大変な結果を出して居たんだからね。

学校でも大騒ぎだったんだ。喜んで「MIT」に送り出してくれたんだ。

僕達「エブリィ・ワン」は注目の的さ。ボストンもロンドンでも本当に楽しかったな。

いい思い出になったんだ。


■201☓年 ロンドン■

大使公邸執務室

大使用執務室とは思えない、豪華絢爛な装飾を設えてある。

Jは、袋からビーンズを一つ取り出した。

「耳あか味?ミミズ味?……。」

嫌な顔をしつつ口に入れてみた。

やっぱり嫌いだ。合わない。

これからは絶対に口にしない。Jは涙目になりながら強引に飲み込んだ。

「で、坊や達はどうするんだ?英雄の弟の事だ。」

ジョンはバカでかい豪華なソファにもたれ、両指をクロスして腹の上に置いた。

「ジャックか?ドクの頼みでいろいろ体験させたんだ。

会う事は叶わないが、一緒に訓練させたりミッションを一緒にこなしたり…いい思い出になったんじゃないか?」

Jはテーブルに置かれていたペットボトルの封を開けてミネラルウォーターを一気に飲んだ。

その様子を見て、ジョンは大笑いして咳き込んだ。

「おいおい…ジョン。お前年食ったんだな…」

Jは、呆れ顔をしてヤレヤレと頭を振った。

「いや違うぜ、このアバターの調子が合わないんだ。大統領になって、ここ2年で3体目だぜ。暗殺には気を付けてたんだけどな…。いろいろ大変なんだぜ。大統領ってのはよ。」

咳き込みながら、ジョンは言い訳を始めた。

「おい、気をつけろよ。アバターは空白時間が出て、人形になる期間が絶対にでるんだ。その隙を突かれたら入れなくなるからな。次期大統領選挙前に、ソレをやられたら落選するぞ。」

「それにお前!何度かやったよな?
サボってAIアバターに任せた時が何度があったろ?
アバターがめちゃくちゃ適当な事やったり話したり…テレビ見て吹き出したぞ!AIはお前の本音ダダ漏れもキャッチして行動するからな…有権者達が離れるから…頼むぜ。」

ミネラルウォーターを飲み干してJはキャプを締め、ダストボックスにペットボトルを投げながら言った。

「ガコンッ」

とダストボックスで音がした。

「で、これから彼等に会って大統領として、労ってやってくれ。お陰でサードレプティリアンの生体が手に入ったんだ。
夜のバッキンガム宮殿の晩餐会も体験させてやりたいんだ。彼らへのお礼だよ」

咳払いをしてジョンは

「今は坊や達は何処にいるんだい?」

「2024年のボストンの「MIT」のDIVEシステムで仮想空間に繋がっているよ。ま、正確にはアバターでこちらの世界にいるんだけどな。

バッキンガム宮殿の晩餐会が終わったらLogoutさせて、元の世界に返すよ。

情報を記憶から消去して日常に戻ってもらう。これもドクの願いだからな。」

Jはいつの間にか、執務室の姿見鏡で服装のチェックをして振り返って言った。

綺麗な立ち姿であった。

ジョンもJの後を追って、姿見鏡まで着てた。

そして、お尻でJを鏡から追い出した。

「そうか…では今いる坊や達のアバター等はどうするんだ?」

ジョンは蝶ネクタイを器用に直した。

「ああ…2009年のアバターと同じで此方で、お前のホワイトハットチームで雇ってやってくれ。米国のIDや住処は手配済みだ。人形と言えどもジャック達の意志を継いだAIアバター達だから大きな手助けになるさ。」

Jは大きなソファに座り、優雅に足を組んで座っていた。

ジョンはJの向かいにドスンと座って言った。

「しかし、まだまだ俺達は仲間が少ない。準備も出来ていない。

しかし、トカゲ側が白旗を上げて来たのは大きいな。サードのドラゴニアンレプティリアン達を共闘出来るのは助かる…が…。」

Jは困惑の表情を浮かべ

「そうなんだ…サードの連中のお陰でトカゲ組織やディープ・ステートの連中もバラバラになったのはいいんだが…。

トカゲやDSの連中が「金と安全」を求めて日本への侵略計画を我先にと早めているのが困る。

2024年時点での日本は、秩序が無くなり混沌としているんだ。

日本の政治家達も、省庁の人間達も逃げ出す準備で行動がめちゃくちゃなんだ。国民の金を掠め盗るのに忙しいんだ。

お陰で政権が疎かでめちゃくちゃなんだ。

これだと「X Day」の前倒しを呼んでしまうんだよ…。

うーん…。」

目頭を押さえてJは唸っていた。

「ま、なるようになるささ!
さて!COWBOY達に会いに行こうか!」

ガハハハッと豪快に笑いながら両膝を叩いて立ち上がった。

勢い良く執務室のドアを開け出ていった。

ヤレヤレと言う顔でJは後を追った。



■■■Epilogue/エピローグ

昨日の「Alpha」でのマイクによる祝賀会は、本当に楽しかったんだ。

久しぶりに騒いだなぁ。

スイスアベニュー通りにある僕の家。

帰ってきたのは夜の12時を過ぎていたんだ。

Alphaの赤レンガの裏小屋にバイクを預けて居たんだよ。

バイクに荷物を括り付けて家に帰ってきたんだ。

遅くなる、って伝えていたのに父さんと母さんは起きて待っていてくれたんだ。

ガレージにバイクを仕舞っている時に家のドアが開いて2人が出てきてくれたんだ。

僕は嬉しさのあまり、2人に飛びついてハグをしたんだよ。

で、そのまま我が家で2次会の始まりなんだよ。

父さんは「明日は休むから」と満面の笑顔でアルコールを飲んでいたんだ。

母さんも久しぶりにアルコールを飲んだみたいなんだよ。

お土産は、もちろん背の高い教授から貰った「MITのマグカップ」だよ。

ふふふ。

父さんたら本当に割れないか?と床や壁に投げつけて驚いていたんだよ。

カップはキズ1つ付かないんだ。プラスチックではなく陶器なんだ。

何でも周波数を利用した特殊なコーティング剤が表面に施してあるモノ凄いテクノロジーなんだ。

僕達家族用にって、背の高い教授が特別に家族の名前入りのマグカップをプレゼントしてくれたんだよ。

父さん、母さんの名前は知っててもおかしくないんだけど、昔に亡くなった兄さんの名前を何故か知っていたんだよ。

母さんは「INDY」とか描かれたマグカップを大事そうに抱えたんだ。

そして、壁際に飾ってある、兄さんの写真立ての横に、マグカップをそっと置いたんだ。

その夜は僕達が「MIT」で過ごした出来事を話したんだ。

トランプ元大統領がレセプションパーティーにきた時の僕達のやらかした笑い話は、母さんが一番ウケてたんだ。

ロンドンの大英博物館の話は父さんが引っかかって「家族全員で旅行に行こう!」と大盛りあがりさ。

父さんも母さんも

「私達の息子たち…インディもジャックも宝物だよ。誇りに思う!」

ハグしてくれたんだよ…。


いつの間にか自分のベッドで寝ていたみたいなんた。

ベッドで微睡みながら、楽しかった昨日の出来事を思い出していたんだよ。

カーテンからは既に陽射しが差していて、今日も暑い夏の1日が始まりそうなんだ…。

と、目線を天井に移した時なんだ。

頭痛が襲ってきたんだ。

昔にも体験したような感覚なんだ。

昨日夜更かししすぎたのかな…。身体がフワッとした違和感に驚きながら何かを思い出したんだ。

ベッドから起き上がった。

服装はズボンを脱いだだけの昨日のまんまだった。

寝ていた僕を父さんが2階に運んでくれたんだろう。

隣にある兄さんの部屋に入ったんだ。

兄さんの子供用デスクの引き出しの奥からポストカードを探した。

何故、ポストカードなのか…自分でもサッパリ分からないんだ。

でも確信を持って探していると…古いポストカードが見つかったんだ。

兄さんの部屋は、母さんが毎日掃除してカーテンの開け閉めもやっているんだ。

閉められたカーテンの隙間から夏の朝の日差しが兄さんの部屋を明るく照らしているんだ。

とっても古いロンドン動物園のポストカード。

四隅はボロボロなんだ。

動物は写って無くて動物園の正門のアーチの写真なんだ。

【 Jack! decision! 

JB step! practice! hahahaha! 】


裏の書かれた文字を見て僕は涙が止まらなくなったんだ…。

The story progresses in real time


■■■ジャックホワイト編 / 完結■



…………………

「で、Jよ。アイツはどうなった?「Y」だ…Yehûdâhと呼ばれてたアイツだよ。

アイツは、今はなんて呼ばれてんだったけ?」

ビーンズを頬張りながらジョンは聞いた。

「オリジンだ」

小袋を開けて一つ食べて、不味そうな顔をしたJが答えた。

「今はイヅモタイシャにいるぜ。

3セットはちゃんと持ってきてるみたいだ。」

「やっぱり、このビーンズは俺の口には合わない。」

■■■■next

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