小田原少年院跡地整備事業への神奈川新聞の批判記事に対し、小田原市の守屋輝彦(もりやてるひこ)市長と小田原市が抗議をする事態に発展している。
今回の神奈川新聞の批判記事は、過去に同社が出してきた記事の内容から見ても矛盾していると言わざるを得ないため、経緯も含めて確認してみる。
小田原少年院とは?
1875年、旧小田原藩の獄舎を県監獄本署小田原支署として使用したのが前身。1906年、現地に新築移転した。その後52年に小田原少年院として開設。
2008年に閉院が決定。
2019年3月に閉院。
守屋市長は、跡地利用の方法として「ゼロカーボン・デジタルタウン」構想を掲げ、二段階一般競争入札を目指している。
問題となった記事
3月15日の神奈川新聞記事(カナロコ版3月14日発信)
有料記事のため内容を要約すると、
跡地開発の財政負担を市が負わない「二段階一般競争入札」について、財務省の担当者がまだ確定事項ではないという旨の回答したことを挙げ、守屋市長や市が決定したかのように公表したことは市民に対するミスリードではないかと批判しているものである。
守屋市長と市による反論
上記の神奈川新聞の記事に対して、守屋市長と市が3月19日にSNSやHPで反論を掲載した。
なぜ、今回の神奈川新聞の記事が問題なのか
小田原市が出している市の広報を見ても、二段階一般競争入札が確定したような表現は使っていない。
守屋市長が指摘しているように神奈川新聞のミスリードと言えるのではないか。
そもそも神奈川新聞は、過去に出した自社の記事で、巨額の用地買収費用が市の財源でされる可能性があるということを批判してきた。
もちろんそれそれらは確定事項ではなかったにも関わらずである。
神奈川新聞による少年院跡地事業を巡る過去の記事↓
記事の中で神奈川新聞は「市が30億円以上の費用を負担する"かもしれない"」という不確定な情報を基に守屋市長や市を批判している。
しかし、二段階一般競争入札により市の負担がなくなる可能性が出てくると一転、「守屋市長や市はまだ不確定な情報を出すべきではない。市民へのミスリードだ」と批判を始めたのだ。
本当に同じ新聞社が出した記事かと疑うほど180度違う記事である。
今回の小田原少年院跡地整備の事例だけを見ても、守屋市長や市に対して難癖を付けたいようにしか思えないが、執筆した記者の過去の記事を参照すると、その多くが過剰ともいえるほど守屋市長の批判記事を書いているため、これは別の機会に取り上げたいと思う。
前市長が12年間決められなかった事業に道筋を付けた守屋市政
前市長である加藤憲一氏は、小田原少年院の閉院が決定した2008年から閉院後の2020年まで市長を務めたが、3期12年に渡りこの跡地活用に結論を出すことはなかった。
守屋市長はたったの一期目で、「ゼロカーボン・デジタルタウン」構想を掲げ、二段階一般競争入札による事業推進への道筋を打ち出した。
実現すれば市は用地取得費用を負担することなくコンセプトに合った開発を誘導することができる。
小田原を愛する自分としては大いに期待したいところである。