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教養としてのブランド牛  石原義和

なぜ日本のブランド牛は世界を魅了するのか?
十牛十色、知られざるブランド牛の世界

和牛の基礎から自分好みのブランド牛を見つけるための知識まで
和牛の肥育ひとすじ35年、自らもブランド牛を立ち上げた著者が、
ブランド牛の知識と魅力を語り尽くす。

松阪牛、神戸牛、近江牛……
全国各地の「ブランド牛」は日本人に人気の食材です。
そして今、ブランド牛は世界の人たちを魅了しています。
アジアや欧米でも高い評価を受けており「世界に誇るブランド牛」はまさに日本の宝です。

しかし、そんな日本の宝であるブランド牛について、深く知っている人は多くはいません。
一部の有名銘柄以外にはどんなものがあるのか、それぞれの特徴や等級の評価は
どうなっているのか、あるいは和牛と国産牛の違い、ブランド牛のルーツと発展の歴史、
肥育農家のこだわりと情熱など、興味をもって扉を開けばそこには魅力溢れる
ブランド牛の奥深い世界が広がっているのです。

本書では、35年以上にわたって和牛の肥育を生業とし、
自らもブランド牛を立ち上げた著者が、生産者ならではの目線も盛り込みながら、
ブランド牛にまつわる知識と魅力を幅広く語っています。
より深くブランド牛を味わい尽くすための、
「教養としてのブランド牛」を楽しめる一冊です。
Amazonより

牛トレーサビリティとは?
ご存じの方もおられると思います。
ブランド偽装が起きにくい仕組み作りの一環として作られたもので、牛を10桁の個体識別番号により一元管理し、生産から流通、消費の各段階において番号を正確に伝達することで情報提供する仕組みだそうです。

国内だけで300種を超えるブランド牛全てにされていると考えると、いつ頂いても大変美味しく、クオリティーが高いはずだと納得できます。

この和牛の誕生の歴史には興味深く入り込めました。
100年弱という短い歴史で急速に発展を遂げたと本書。
元は在来牛で耕作、運搬に使われる役牛で肉用牛として改良が行われたのは明治以降。
江戸時代までは殺生を禁ずる仏教の影響からか、貴重な労働力で肉食は忌避されていたとあります。
馬肉(さくら)鹿肉(もみじ)猪肉(ぼたん)、肉食がタブー視されてた頃の隠語もこの時代とも言われてます。

さてこの和牛ですが純血の日本在来種ではなく、混血の歴史を経て誕生したのが和牛であり、外国産の影響を受けず今に至るのはわずかだそう。
山口県の見島牛、鹿児島のトカラ牛で離島であった為、交雑がしにくかったと述べられてます。

品種改良は順風満帆ではなく、在来種、外国種の交雑によって大型化したものの、動きが鈍くなり、望ましくない傾向に育ったりとか。
又、肉食が解禁されたとしても、まず牛に求められるのは、農耕に役立つ役牛としての能力であり、その役目を終えた牛から肉用牛とされていた歴史があると著者はおっしゃってます。

1991年に始まった牛肉の自由化、関税率が下がり、輸入率が増加、アメリカ産、オーストラリア産が大量に輸入され日本国内の生産者にとって大きな脅威であったがこれが転換期になる。
万事塞翁が馬。
差別化を明確に打ち出すべく、和牛の改良が一段と推し進められる。
特に和牛の象徴になっている霜降りの魅力に磨きがかかったと。
大きく育ちやすく、霜降りのサシが入りやすい、見た目だけでなく、一定以上の能力、肉質、肉量ともに向上したと述べられてます。

生産者の方々と自信と誇りが代々引き継がれて和牛が誕生したのだと胸が熱くなりました。
牛さんにオルゴール調の音楽を奏でたり、居場所のカンファタブルを追求する著者の石原さんの姿勢には牛さんから、周囲の方々に同業者、食べ手の私たちへの愛を感じ読後感がとても良かったです。

次に福岡に行くときにはお店(焼肉処石原牛)に是非に行きたいですね。



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