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初投稿

 初投稿です。自己紹介もおいおいしますが、この間Amazonで一次創作本を出しました。どうぞよろしくお願いします。
 この前適当に妄想日記を書いたら、宝石の国の二次を書いていました。最新話近くまでのネタバレがあります。うろ覚えな所があるので、もし何か間違っていたらすみません。何でも許せる方のみでよろしくお願いしますm(__)m


 砂漠を散歩していると、緑色に光る何かがあった。近づいてみると、フォスフォフィライトの頭だった。

「どうしたの? こんなところで」
「月人にさらわれて砂漠に撒(ま)かれたんだよ」
「粉々にされなかったの」
「うん。何か忙しい時期だったみたいで、そのまま投げられちゃったんだよねえ」
 かわいそうに、と内心思う。

「君の本体はどうなったのか知ってる?」
「いいや」
「僕も途中までしか知らないけど、ラピスの頭を付けられて賢くなったのはいいけれど、宝石のみんなに嫌われて、先生を殺して見た目も中身もすごく変わっちゃったよ」
「まじか…」
「そのあげく、誰もいない地球に取り残されて、一万年の間1人で過ごしてた」
「え…僕かわいそうじゃない? 誰も助けてくれないの」
「うん」
「宝石の仲間たちは」
「みんな月で楽しく暮らしてる」
「えっ? シンシャも」
「うん。月人に変身できる機械を宝石の誰かが作って、みんな幸せだよ」
「え…僕だけこんな扱いなの。しかも本体はもっとひどい目に?」
 彼?は泣きそうになっていた。僕は思わず頭を抱きしめる。
「知りたくなかった…」
「ごめん。適当にお話を作ればよかった」
「いや、いいよ。僕はみんなのために必死に頑張っていたけれど、何かが間違っていたんだろうな」
 そう言って、一粒の涙を落とした。
 それはやはり緑色で、美しい流線型をしている。
「きれいだな…」
 思わずつぶやくと、何か考え事をしていたフォスが決心したような声を出した。

「ねぇ、君。僕のことを粉々にしてくれないか」
 突飛な提案を聞いてびっくりしてしまう。「え、なんで。せっかく君はここにいるのに」
「でも、頭だけじゃどこにも行けないんだ。粉々になったら誰かが見つけてどこかへ運んでくれるかもしれない」
「君は本体と一つにならなくてもいいの」
「もう僕とは違うものになってるみたいだし、ラピスの頭が載っているんだろう? それはもう僕じゃないよ」
「そうか…」
 僕はしばらく考えていたが、「わかった」と答えた。
「けれど、ここは砂ばかりでぶつける岩も何もないから、ある所まで連れて行くよ。
それまで一緒にいよう」
「……そうか。そうだね。ここじゃ、僕の希望は叶いそうにないしな」
 よっこらしょと彼を抱える。
「意外と軽いね」
「僕の硬度は三半だからね。運びやすくてよかった」
「じゃあしばらく旅をしよう」
 彼はああと答え、僕は彼を小脇(こわき)に抱えてまた歩き出した。

  了



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