サレンダー、明け渡す

前回に引き続き、(『赤光2』探究社/福間 義朝師)より引用させていただきました。
お聴聞させていただきます。


サレンダー明け渡す

<2020年3月>

『正信偈』は、

帰命無量寿如来

で始まります。

この意味は、

「この私は阿弥陀仏に全てお任せします」

ということです。

この任せるは、英語では

「サレンダー」

になると思います。

服従するということよりも、

明け渡す、

降参する

という意味です。

先日、『僕は、死なない』という本を読みました。

これは刀根健という心理学の講師をしていた方の癌の体験記です。

元気でボクシングの指導もされていた刀根さんは、ある日突然、肺癌の告知を受けます。

それももうステージ4で、癌がリンパにも骨にも転移していて、手術も放射線治療もできない状態でした。

また、抗癌剤治療をしても1年後の生存率は30パーセントと言われます。

しかし刀根さんは

「絶対この癌を克服してみせる」

と決意し、何と医者の薦める抗癌剤治療を断り、自分でありとあらゆる癌治療を試みてゆきます。

完全玄米食にして無農薬の野菜を食べ、肉類は一切口にしなくします。

また甘い物や塩分もとらず、高額なサプリメントを服用します。

そして気功を学び、漢方の先生にも相談し、

「身体が冷えたら癌になりやすい」

と聞けば陶板浴(とうばんよく)もし、呼吸法も習得します。

その他八門遁甲(はちもんとんこう)という占いの世界にも訪ねてゆきます。

しかし9か月後、その努力も空しく、癌は全身に転移し、脳や眼まで癌に侵され、お医者さんから

「いつ呼吸が止まってもおかしくない状態だ」

と告げられます。

そこで刀根さんは天を仰ぎ、

「やれることは全部やった。やってやってやり尽くした。もう僕にできることはない。降参です。完全に白旗です」

と呟きます。

その時、刀根さんは奇妙な体験をします。

急に目の前が明るくなり、呼吸がさわやかになったそうです。

「もう抵抗するのは止めよう、もう握りしめるのは止めよう。できることは何も無いんだ、全てをお任せしよう。明け渡そう」

という思いが込み上り、ふにゃふにゃと身体から力が抜けて、クラゲになったような気がしたそうです。

それは清々しい爽快感でもあったそうです。

するとその後、不思議にも新たな医療治療が見つかり、癌細胞が次々と消えていったというのがこの本の内容です。

その刀根さんが、もう生死も全てお任せしよう、明け渡そうとした心理的変化は、

「仏教の南無阿弥陀仏の南無ということではないか」

と、この書に書いておられます。

それは

帰命

ということでもあります。

又、刀根さんは自分の体験を通じて、

サレンダー、明け渡す

ということと、

あきらめる

ということは違うということも書いておられます。

あきらめるということ「ギブアップ」は、

何か夢があったのにもう駄目だと否定的になること

を言います。

そこには社会や他の人への恨みもあるかも知れません。

しかし「サレンダー」、明け渡すはそこに

信頼、安心

があります。

お任せしてもう大丈夫という喜びがあります。

帰命無量寿如来は

私の生死を阿弥陀仏にお任せする、明け渡す

ということです。

そこには

「この人生、様々な事が起こっても、大丈夫、私の人生は途方もない大きな慈悲に包まれ、その阿弥陀仏の苦悩の滅した世界へと向かって流れているのだ」

という安心感があります。

(引用ここまで)


阿弥陀さまは

我に任せよ必ず救う、

と仰ってます。

しかも、南無のお心は如来より賜るお心です。

何か私の方で条件が課せられ、それを解決したらいただける交換条件のようなものではなく、一切の条件を阿弥陀さまの方が飲んでくださった、、、

私の仏法の先生は「聞名が先」と仰っております。

私が称えて救われるんじゃない、

「お前を助ける」と言われる阿弥陀さまの間違いないお心を、ただただ聞かしていただく、

それがご信心、

このように聞かせていただいております。

南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏

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