日本のプロバスケットボールの今後

 現代において数多のスポーツがプロリーグ化を行い未来へ各競技がファンや競技人口拡大を狙う現在の日本のスポーツマーケットにおいて大きな改革を行うスポーツが現れた。日本バスケットボールリーグだ。
 彼らは2つのリーグから1つになり同じ方向に向かい歩みを進め次の開幕で8シーズン目を迎える中で進化を止めない姿勢には感嘆する。また新たな試みで進化をしていくことは難しいことではあるので応援はしていきたいが、その中でもこれまで8シーズンで積み上げてきたものを蔑ろしている部分があるのではないかと感じている。
 新しい試みは大きく3つのポイントになっている。1つ目はリーグ構成の再編と呼称変更である。今まではプロリーグの呼称を「Bリーグ」と呼びその中で上位リーグと下位リーグに分かれ3つのカテゴリーに分けられ【B1】【B2】【B3】に分かれていてサッカーと同じ昇降格制のリーグであったのが【Bプレミア】を最上位のリーグと位置づけ下位リーグに【Bリーグ・ワン】【Bリーグ・ネクスト】の3部リーグ構成となる。私としてはサッカーと呼称が似ているので差別化で呼称変更は良いことだとは考えているが、実力による昇降格制撤廃には首をかしげる部分がある。それは何故かというとバスケットボールは所詮エンターテイメントでしか無いという考え方もあるが、スポーツである以上は競技制での実力要素による昇降格制の方がスポーツとしての本来の負けたくない必ず勝ちたいという選手やチームの想いがファンとの強い関係性になり、時には良い思いも時には苦い思いもこれらの体験が究極のエンターテイメントでは無いかと考えるからである。
これらを軽視した考えで再編の基準を年間の集客率が平均4000人を達成しているなど経営的視点のみでの再編は上位リーグのみの利益しか考えていないようにしか感じえない。これがアメリカのプロリーグのNBAのようにトップリーグのチームとの紐付けが行われている運営方針で若手がトップリーグでのプレイ時間が確保できないときに下部の【Gリーグ】に送られることで下部リーグのチームは期待のルーキー目当ての集客などが担保になっているが、日本の場合は現状のままではトップカテゴリーと下部のカテゴリーに対しての保証などがない状態で経営的混乱を生む可能性がある。またリーグ初年度以降のトップカテゴリーへの参入は簡単であるのかこういった観点も不透明過ぎるように感じる。
 2点目はドラフト制度である。現状40近いチームがプロチームとして活動をしているがこれの他にプロリーグ参入を計画している企業や団体がいる中でドラフト制度は選手の自由獲得の機会や選手の選択の自由に弊害が出てくるように感じる。確かにドラフト制度の導入により戦力の偏りや資本能力での有利不利が生まれにくいという理屈は分かるが、現代の資本主義社会において資本や環境で選ぶことは選手生命がプロとして長くても20年くらいの選手目線でいえば合理的であり、当然の選択であるように感じる。これが都市部のクラブと地方のクラブとの均一化など環境などにまだまだ差が大きくある中で実施をするのは間違えているように感じる。これが日本のプロ野球のようにある程度の差はあれど大きな差は無いようであればドラフト制度には賛成である。しかし、まだまだこれからのプロリーグにおいてドラフト制度導入は愚策過ぎると感じる。また、現在プロリーグにおいての条件としてユースチームの設立している中で強化年代を大事し競技レベルを上げていこうとした中でユースチームを形骸化の可能性もある。さらに抜け穴として優秀な大学生をユースチーム所属としてドラフト回避などの抜け穴なんていう今考えただけでも色々ありそうな問題も解決できるのか、かなり疑問が残る。
 3点目として、外国人選手のオンザコート出来る人数の緩和は果たして意味があるのか。確かに現在では外国人選手は人数の関係で多くはインサイドの選手がほとんどの現状で人数の緩和により多様なポジションの選手を日本に呼ぶことが可能になる。しかし今後このようにしていくと例えばNBAの様な高身長の選手だけになる可能性や日本人選手のプレイタイム減少に繋がる可能性もある。現在でも外国人選手がコートにいる場合マッチアップは外国人になっているのにこれが多くのポジションで起こる可能性も否めない。これは現場ベンチの感覚ではあるが勝利を目指す以上は合理的に考えていくと外国人選手のプレイタイムが伸びる結果なりそうでならない。外国から来てくれる選手も自分が多くプレイできるから日本を選んでくれるのであって日本の日本人の為に来てくれで来てくれる外国人選手がいるのか怪しいように感じる。代表クラスの選手であってもBプレミアではプレイタイムが少ないこともあり得る。また下部のBリーグ・ワンに日本人ばかりになっても本末転倒であり、新しいリーグ形態にした意味がない。それならリーグとして放映権料を上げる努力をし、各チームへの分配金量を上げ、NBAに所属経験したことある選手や年老いていない選手を呼べるようにした方が良いように思う。
 今回の改革は未知数である以上改革に踏み切ったプロリーグに敬意は持つべきであり、彼らも衰退させたい訳ではないと思うので応援はしたいと思う。


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