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『うみねこのなく頃に』をプレイして感じた8つのこと

『うみねこのなく頃に 咲 〜猫箱と夢想の交響曲〜』をクリアしたから感想まとめました。ネタバレあります。


こんな複雑な物語に出会ったことがない


ほんっとに難しかった。

舞台も一言で説明出来ないし、キャラもどんどん増えていくし。キャラの立ち位置や視点の変更もあるから、わちゃわちゃ感がすごい(笑)

膨大な文章から正解を探すの大変すぎる。私は早々に諦めたけど、考察記事とかめっちゃ出てくるからみんな凄いね。

複雑に絡まった糸をほどくような感じで、考察しがいがあるお話だと思ったよ。

私は推理が苦手でフィーリング重視。クリアしてもよく分かんなかった(笑) でも楽しかったな! クリア後に考察記事読むのも面白かった。

ちなみにプレイ時間100時間超えです。

忘れるから簡単に説明書いておく。六軒島(ろっけんじま)という島が舞台で、1986年10月4日〜5日に起こる事件を色んな角度から見ていくカンジ。

島を所有する右代宮(うしろみや)の一族がメインとして活躍する。

犯人やトリックを追求することにはなるんだけど、主軸は本作がファンタジー(魔女犯人)か。ミステリー(人間犯人)か。検証していくことだった。

とても斬新なミステリー。メタフィクションに分類されるみたい。

ネガティブオンパレード


8割ぐらいネガティブな内容(笑) 心が痛むえぐい描写が多い。

グロいシーンもけっこうあるんだけど、個人的にはキャラが憎悪むき出しで争っているところが辛かった。

ボリューミーなのもあって疲れるから、時間をあけて少しずつ進めたよ。キャラへの感情移入が強い人や共感力が高い人はきつくなっちゃうかもなぁ。

魔女達の憎たらしいことよ(笑) すごい踊らされたし、まんまと引っかかった。持ち上げた後にめっちゃ落とされる。後半は「どうせ落とすんでしょ?」って自分が疑心暗鬼状態だった。

あらゆるネガティブ感情を体験できる作品ではある。

信じる力


容赦ないストーリーだけど、本質のテーマはポジティブだった。

この作品から信じることの大切さが伝わってくる。

信じる力が魔法になる。魔法の源は『信じる思い』。

この作品に魔法があるか。ないか。それを決めるのは結局プレイしたユーザーひとりひとり。だと私は解釈した。

信じることって本当に大事だなって学んだばかりだから、すごくタイムリー。

信じ抜くことがいかに難しいか。だから信じ続ける者がどれだけすごいかも分かる。

周囲に可哀想な子だと思われても、どんなに苦しんでも、自分は幸せだと信じてた真里亞が本当に尊い。

どうやっても起きたことは変えることはできない。でも、解釈を変えることは出来る。しかも、いつだって。

ネガティブな方に意識が向きがちだけど。真里亞は誰もが辛いと感じる経験をポジティブな見方に変換してた。実際に幸福感も持ってたと思う。真里亞すごい。

真里亞の魔法は、みんなを幸せにする。本当に素敵な魔法。想いによって、どんなことも幸福に彩ることができる。

これは物事の捉え方のヒントになってた。真里亞の場合は中々にハイレベルだけども。自分は幸せだと信じることや幸せに目を向けることは本当に大切なことだと思う。自身の幸福度に繋がっていくから。

魔法を信じてなかった縁寿が、煉獄の七姉妹を顕現させるシーンがめっちゃ良かったよ。信じるを魔法にしてて心に残ってる。

真実は内側にある?


悲しく切ないお話でもあるんだけど、根底には愛があるお話だと思った。

真実が納められた猫箱は閉じられたまま。だから真実は確定していない。猫箱の中には幾重もの真実が重なっている。可能性という名のカケラがたくさん詰められてる。だから私達は想像することで、惨劇にも喜劇にも出来る。

その中であなたは、この物語をどう解釈しますか?って問われてるみたいだった。

解決することや解明することが目的の作品ではない。真実はそこまで重要じゃないんだと思う。

例え真実を知ったとして、自分が信じていた答えと違った場合受け入れられるのか。結局自分の都合良く受け取ってしまうんじゃないか。

だから真実は存在するけど、どんな真実も純粋に視ることは出来ない。それぞれの解釈が入ってしまうから。

過去(真実)にこだわるのではなく、自分の解釈を自分自身だけは信じてあげれば良いんだと思った。

縁寿の物語がまさに体現してた。

縁寿は18歳だけど、家族を失った6歳の時からずっと立ち止まってた。

どうしても真実が知りたくて、猫箱を開けてしまい、絶望した縁寿だけど(ユーザーには示されてない)。

縁寿が赤き真実を否定して、自分だけの真実『みんなは生きてる』と信じる姿が本当に素敵だった。

縁寿は中々に受け入れないキャラなだけに、信じるに至るまでの苦悩や希望も伝わったよ。

誰に否定されようと、何が真実であろうと、自分の中のたった一つの真実を、自分だけは信じる。

黄金の真実。信じる心は時に事実を超える。

右代宮家の家紋


片翼の鷲が右代宮家の家紋。

物語後半で片翼の鷲が、翼を取り戻し黄金の鷲に復活する描写がある。あれフェニックスっぽい。

不死鳥の意味に再生があるんだけど、物語の中でも復活シーンが描かれてたりする。

例えば、ゲームに負けて戦意喪失した戦人が復活するところとか。戦人はけっこう復活してるよね。

さくたろうを復活させたりもしたよね。金蔵が右代宮家を復活させたりもあった。

縁寿は反魂の魔女だし。右代宮家は何度でも立ち上がる。復活や再生というのもプレイしててイメージされる言葉だった。

縁寿は右代宮家のみんなが生きていると信じているわけだから、縁寿の中ではみんな生き続けてることになる。

最後みんなが総登場したのは、そういう意味があったのかなって思った。縁寿に信じる想いがある限り右代宮家は何度でも復活する。

反魂の力はめちゃくちゃ難しいって言われてたけど、『存在を信じる』とか『有ることを信じる』って難しいって感じるんだよね。レベル高いというか。だから縁寿って元々信じる力がめっちゃ強いんだろうな。めっちゃ紆余曲折あったけど。

右代宮家自体、負けても立ち上がる。そういう意思の強さの表れだったりするのかな。

復活するシーンって、見てて元気が出る。力がもらえる。

負けて落ちても、再び光を取り戻す姿には何度も励まされた。

ベアトリーチェ


ベアトリーチェは黄金と無限を司る魔女。

この物語にはベアトリーチェと名がつく存在が何人も出てくるんだけど。なんとなく受け継がれるものという印象だった。無限の魔女の系譜とも言われてたし。

この作品でいう『魔女』って一体何なんだろうね。表面的には残酷で気まぐれで身勝手な存在に見えたけど。本来の魔女の在り方は『人を幸せにすること』だって明言されてたし。

受け継がれるといえば、苦しみが連鎖するみたいなエピソードもあった。

苦しいがゆえに、その苦しみから解放されたくて、同じ苦しみを他人に味合わせて押し付ける。みたいな話。気持ちが連鎖してくんだよね。

ベアトリーチェもそれぞれ苦しんでた。でも最後のベアトリーチェが苦しみの連鎖を断ち切って、本当の魔女になった。

最後のベアトリーチェが、人を幸せにする魔法の使い方を知って、愛を伝えてゆく。愛が無限に広がってゆく。幸せの見つけ方を人々に教えていく。

12年孤独に耐えて傷つき、与えられた愛に気づいたからこそ出来ること。最後のベアトリーチェじゃないと伝えられない想いだよね。

『愛がなければ視えない』から、愛を通して世界を視る術を学んだ。だから、今まで忘れていた・見落していた愛を受け取れるようになったんだよね。

最終的にベアトリーチェは、自分が学んだことを人々に伝えるメッセンジャーになった。

縁寿と絵羽

縁寿と絵羽の二人の関係良かった。初期はめちゃくちゃ仲悪いけど。

縁寿はずっと絵羽が犯人だと信じていて、その証拠を求めていた。

縁寿視点の絵羽は血も涙もない人間に見えるんだけど。縁寿が絵羽を憎んでいるから、嫌なところしか見えなくなってる。絵羽のせいで縁寿が歪んだように感じるけど、実際は縁寿から拒否したんだよね。

確かに親族会議の時の絵羽もピリピリしてて意地悪な発言が多い。だから終盤ぐらいまでは、絵羽の見方がネガティブに見えてた。

実際の絵羽は家族思いで努力家。当主になることが夢で、か弱さもある女性だった。家族を亡くして悲しんでいたけど、縁寿と二人で生きようとしていた。

 縁寿が最後に、右代宮家の優しさを思い出して、絵羽と和解する。あの縁寿が絵羽をお母さんと呼ぶシーン泣いた。

あの二人が仲直りするなんて思ってもなかった。本当に憎み合ってたから。

縁寿が絵羽のことを一番の味方って言ってたけど、めっちゃ良い台詞だよね。

お母さん系のイベントや血の繋がりのない家族愛にめっちゃ弱い。

愛がある解釈が良い


何度もホワイダニット(動機)が大切だと言われてた。心を蔑ろにするなって。ずっと人の想いを大切にしてた。心を知るということに重点を置いてたと思う。

私も作品を楽しむ上でとても大切にしていることなので嬉しかった。

魔法を使うには愛と信じる心が大切だと解釈したけど、どうだろうか?

目に見えないもの(幻想)を信じる。目に見えないものは心。愛。想い。

愛は証明することができない。信じるしかない。

なんで信じることが大切なのか。

結局は自分を幸せにするため。世界にどんなに愛が溢れていて、身近にあったとしても。信じる心がなければ、見つけることができないから。

目に見えるものだけに囚われない。心を視ること。

だから、この作品でいう魔女の魔法とは、愛が視えるようになる方法だと思ったよ。

まとめ


プレイして浮かんだキーワード

  • 苦しみの連鎖を断ち切る

  • 信じる

  • 愛に目を向ける

  • 受け継がれる魔法

  • 自由な解釈

  • 愛に苦しむ女性

  • 謝罪する男性

  • 母親

  • 想像から生まれる数多の世界

  • 無限と有限

  • シュレディンガーの猫

  • 復活

  • 心眼

  • チェス

  • 黄金

  • 魔女


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