雪に咲く朝の花/塩入冬湖

目が覚めてカーテンを開けて
やってきた冬に染められた
夢であなたの声を聞いた
もう聞く事のない声を聞いた

冷たくなった手を合わせて
高い声が名前を呼んだ
頭を撫でてね大丈夫と
夕飯の匂いを思い出して

なみだは氷にして飾ろう
例え一夜で消えてしまっても
あなたが好きなこの銀の街が
素敵な夜を踊れるように

オーロラを待っていたら
忽ち春がきて溶けていく
雪に咲く朝の花
太陽はあなたを愛していた

喉を鳴らして眠れない夜に
わたしは心を持て余す
ベランダの夜空白い息を飲み
星を並べて昔話

ポットの湯気が陽炎のようだ
また忘れたくない事が増えて
愛しさが積もりいつか溶けたら
きっとなみだも出ずに泣くの

悲しみは一人じゃない
あなたを思った最愛の跡だ
雪に咲く朝の花
止まった時間を動かすんだ

オーロラを待っていたの
誰だって悲しみを守っている
オレンジの夕暮れには
美しく光るなみだをやろう

オーロラを待っていたら
忽ち春がきて溶けていく
雪に咲く朝の花
太陽はあなたを連れて行った

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?