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空の約束 毎日Airショートストーリー「空へ」

空の約束

空港の滑走路を見下ろす小高い丘に、二人の少年、タクヤとユウトが立っていた。彼らは幼いころからの親友で、いつもこの丘で飛行機が離陸する姿を眺めていた。

「ユウト、大人になったら一緒にパイロットになろう!」タクヤが夢見るように言った。

ユウトは笑顔で応えた。「約束だよ。そして、一緒に世界中を飛び回ろう!」

時は流れ、二人は成長し、夢を追いかけて航空学校に入学した。学びながらも、その夢を忘れることはなかった。

しかし、ある日、ユウトは事故に遭い、飛行機を操縦することができなくなってしまった。タクヤはその事実を知り、心からの悲しみを感じた。

ユウトは病院のベッドで、タクヤに言った。「ごめん、タクヤ。一緒に空を飛ぶ約束、守れなくて…」

タクヤはユウトの手を握りしめ、「大丈夫だよ。お前が飛べないなら、俺が二人分の空を飛ぶ。お前の分までの景色を、全部見てきてやるから。」

数年後、タクヤは一流のパイロットとして多くの国を飛び回っていた。そして、毎回のフライトの後、彼は小高い丘に立ち、ユウトに向かってその日見た景色や経験を話していた。

空との絆、そして二人の約束は、タクヤの胸の中で永遠に生き続けていた。