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連続テレビ短編ドラマ「峯山みどり」=節約の最前線=

第三話「ヨンリオのフェリシティ」

峯山みどり、26歳、独身。スマホの銀行アプリを眺めてにやにやしています。積立預金が設定金額に達し、満期を迎えるのです。
中学生の時から初めたので、毎月の積立金額は小さいものですが、苦節12年、ついにその日が明日と迫りました。

みどりさんの節約志向は小学生の時に始まりました。
小学生の当時、どうしてもどーしても欲しかった"HolaKitty Purr-fection"シリーズのキャラクター"Felicity Feline"。
みどりさんは、フェリシティの(当時では)未来的なおしゃれや、(当時では)ハイテク味のあるバックストーリーに、めちゃくちゃあこがれていました。
お小遣いをほぼ使わずに貯金して、数か月。フェリシティの人形を買うことができたのです。それは、一般発売の量産品ではあったけれども、みどりさんにとっては大切なとっても大切な宝物。
「節約=我満をすること」が、後に大きな幸福感をもたらすという、いわゆる「成功体験」がみどりさんのの性格を決定づけました。

中学生の時、そのフェリシティの限定品が発売されました。それはとても高価で、中学生のお小遣いで買えるものではありません。いや、普通の家庭でも購入は躊躇する金額です。そのフェリシティはあきらめるしかありませんでしたが、"HolaKitty Purr-fection"シリーズの高級限定品をいつかきっと買いたいと、積立を始めたのです。
それから12年、中学生の時は12年という時間がどのくらいのものなのか検討もついていなかったのですが、こうして12年積立をしたという事実を前にすると、顔がほころんでしまい、「ったくも~」と自分を自分で褒め殺し宅なります。

そして、今現在の"HolaKitty Purr-fection"シリーズ高級限定品は、"BubbleGum Biscotti"というキャラクターで、フェリシティのオマージュ、現代版という位置づけです。
しかし、そのキャラクターに全く食指が動かないみどりさん。

彼女は銀行アプリのボタンをタップしました。
「満期後継続積立」