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連続テレビ短編ドラマ「峯山みどり」=節約の最前線=

第一話「節約の最前線」

峯山みどり、26歳、独身、中堅不動産会社勤務、経理担当事務員。
節約に命を賭けて、お茶を注いで、するするススル。みどりさんはそんな節約依存症。
今日もまた、みどりさんは、はたと思いついたのです。

「ろうそく、案外あちこちに売っているのね」
みどりさんはエコバッグからテーブルの上に広げたのは、ろうそくの山。
ごく一般的なありふれたものから、なにやら、赤くて太いなんだかムチと一緒にレザーボディスーツの仮面の女性がもっていそうなものまで、そんなに種類のあるもんなのかってくらいのろうそくの山。

「電気代上がるっていうし、これからはろうそくの時代だは、気が付くのが遅くなっちゃったけど、まだまだ間に合ったみたいね」
今日の収穫にほくほく顔のみどりさん。

ところがみどりさん、急に神妙な顔つきに。
「ここまで、この額までしか、出せないのよ。これ以上の金額を出してしまうと、コストバランスが電気代に負けてしまうのに」
どうしたんですか?みどりさん。
ろうそくを手にもって、わなわなと震えるみどりさん。

あたりはもう暗くなっているのに、みどりさんの部屋だけ真っ暗。

「マッチ、ライター、チャッカマソ。だめだわ、どれもこれもコストがペイしないわ。いっそ火打石でもどこかで拾おうかしら。ところで火打石って河原におちてるのかな?」
一円たりとも譲れない、それが峯山みどりさん。