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ミーラは灯台のベッドに寝転がり、天井を見上げた。セリュナスとエオランデの冒険話が頭の中で鳴り響いていた。彼女はサーカスでの過酷な日々を思い出し、今の暮らしに感謝していた。しかし、心の中では冒険への憧れがくすぶっていた。

「ぐーぐー」と、灯台の階段から聞こえてくるセリュナスのいびき。ミーラは笑いながら布団をかき集め足場とし、窓の外を眺めた。

月明かりが窓から差し込み、部屋に幻想的な雰囲気を作り出していた。窓の外で何か光るものが見えた。ミーラは好奇心に駆られ、窓を開けて外へ飛び出した。

庭に着地すると、目の前には小さな金色の魚が浮かんでいた。その魚は口を開けて言った。「ミーラさん、冒険がお好きなら、私についてきてください。」

ミーラは驚きながらも、魚に導かれて海辺へと歩いていった。海に到着すると、金色の魚は大きな波を呼び寄せ、その波が一瞬にして美しい船に変わった。

「これが私の船、"月光号"です。」魚は船のマストに飛び乗り、人間の姿に変わった。彼は船の船長であり、夜の海を冒険する者だった。

ミーラは船に乗り込み、船長と共に夜の海へと出発した。途中で出会ったのは、月から落ちてきた星々、夜空を泳ぐ魚たち、そして、夢のような美しい景色だった。

船が灯台に戻ると、夜が明けていた。ミーラは船から降り、灯台へと戻った。セリュナスとエオランデはまだ眠っていたが、ミーラの心は新たな冒険で満ちていた。

「ありがとう、船長。」ミーラは心の中でつぶやいた。

その日から、ミーラは灯台での暮らしを楽しみながらも、心の中では次の冒険を夢見ていた。そして、彼女は知っていた。冒険は、どこにでも、いつでも始まるものだと。

灯台の灯火が遠くの海に静かに光を投げかけていた。ミーラはそれぞれの思いを胸に、新たな一日を迎える準備を始めた。そして、どこかで冒険が待っていることを、彼女は確信していた。