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町の裁縫屋で繁忙の日々を送るエオランデ(人)は、今日も店先で針と糸を持っていた。店は町の人々に愛され、旅人たちにも頼りにされていた。特に革製品の修理には定評があり、冒険者たちからも評価されていた。

その日、店の扉が開き、風格のあるエルフが入ってきた。彼女は金色の鹿の革で作られたナイフの鞘を手に持っていた。鞘にはほつれがあり、修理を依頼したいと言った。

「お名前を教えていただけますか?」エオランデ(人)は丁寧に尋ねた。

「エオランデ」とエルフは答えた。

その瞬間、エオランデ(人)の心は高鳴った。自分の名前の由来となった人物が目の前にいる。何年も前、母が語っていた伝説の狩人、エオランデ。

「ありがとう、エオランデさん」とエオランデ(人)は思わず言ってしまった。

エルフのエオランデは驚きながらも微笑んだ。「お礼を言うのは私の方よ。」

エオランデ(人)は、自分の言葉に戸惑ったが、真意を答えた。

「私の名もエオランデ。母と私の命の恩人からもらった名です。母にその名に恥じぬよう生きよと言われてきました。母の期待に応えられないと思っていたけれど、今、あなたに会えて、何かが変わった気がします。」

 エルフのエオランデはしばらく黙って考えた後、ゆっくりと言った。「名前はただの名前ではない。それは運命の糸であり、その糸が私たちを繋いでいる。」

二人のエオランデはその日、お互いの運命に感謝し、新たな糸が紡がれた瞬間となった。それぞれの道を歩む二人だが、この出会いが心の中で永遠に続くことを知っていた。