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###あなたの時を刻む時計、運命のリズム

エオランデは港町の石畳の道を歩いていた。彼女の目的地は、町の片隅にひっそりと佇むノームの店「時の砂」だった。店の主人は、時計職人であり科学者でもあるノーム、ギブリン。彼が作る時計は一風変わっており、単なる時間を示すだけでなく、持ち主の「時」を刻むと言われていた。

店に到着すると、扉が勝手に開き、柱時計が鐘の音を響かせた。ギブリンが笑顔で迎えてくれた。「エオランデさん、ようこそ!」柱時計の文字盤の時刻の数字が、Eolandeと刻まれていた。

「こんにちは。今日は特別な時計を見に来ました。」

「ああ、それならばこちらです。」ギブリンは小さな箱をテーブルの上に置いた。箱にはエオランデの名と今日の日付が刻印されていた。エオランデがその箱を開けると、美しい時計が現れた。文字盤には不思議な記号が刻まれており、その針は静かに動いていた。

「これが、"あなたの時計"です。これを先々々々代が作ったのは300年程前になります。」

エオランデは時計を手に取り、その重みと温かみを感じた。「この時計はどのように働くのですか?」

「この時計は、持ち主の運命や感情、出来事などを独自のリズムで刻みます。卦や星座といったものとは違い、これは数学的に計算されたものです。」

エオランデは微笑んだ。「信じがたい話ですが、試してみる価値はありそうですね。」

「それが科学の美しいところです、エオランデさん。あなたの財産の2分5厘を頂戴いたします。」

エオランデは時計を購入し、その場を後にした。外に出ると、海風が彼女の銀色の髪をなびかせた。時計の針は静かに動き続けている。それは単なる時間を示すものではなく、エオランデ自身の「時」を刻んでいた。

「新しい冒険が始まるわ。」エオランデは心の中でつぶやいた。時計の針が一斉にある方向を指し示す。「えぇ、もちろん。今はあなたに従いましょう。」エオランデの足取りは軽やかに、そのつま先は未来に向かっている。