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猫にホステス・・・既視監視

息を吸い、そして吐く。
飯をこしらえ食す。
食したものが
様々なプロセスを経て
体をゆきわたる。
で、生じるものがある。

ウン。それね。それよ。
それもひっくるめて
ゴミと呼びましょう。

週に3度
可燃ごみを捨てても良い日があって
その日はアレさんが徹底的に
小生達の御不浄を清掃する。

ちなみに回収日以外に放たれた
ボク達のウンチョスは
絶対にニオイが漏洩しない袋に入れられ
徹底的に管理された状態にある。
フグの内臓と同等の扱いだ。

回収日の朝は早い。
なんせ御不浄の数が7個
掃除だけで小一時間。
ゴミ運搬車も
地域一番乗りでやってくる。
前夜に捨てる愚行者がいたが
村八分にあい、引っ越していった。
掟は死守する、死守するのみ。

回収日の朝は氷点下で
吐く息が煙草の煙のようだ。
スモーカーの真似をしながら
アレさんは「ギョッ!!」と
ありがちな驚声で立ち止った。

集積所のダストボックスの前に
剥製の鳥が捨ててある。
しかも割と立派なサイズ感。
大型ごみ回収日ではないのに
たわけ者がドえらいことをしている。
隣家のお局スピーカーマダムに見つかっては一大事だ。

とりあえず脇にずらしておこう。
半径1mまで近づいた、その刹那
暁を切り裂く裂きまくる
悲鳴絶命絶叫レベルで
剥製が「ケェェ~~~ン」と鳴いた。
キジ、生きてたんかいな。

なぜ微動だにしなかったのか
全くわからないし、
鳴いた後は徒歩で
テクテクと反対方向へ去っていった。

羽に意味はないのか。
意味がないことに意味があるのか。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏の
歌を口ずさんでいると
お局スピーカーマダムとすれ違った。

軽く朝の挨拶をかわした後
心のスピーカーを爆音に設定し
アレさんは呟いた。

雉も鳴かずば撃たれまい。

著者 スコット山田








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