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社史を推せば会社も推せる。いくぞ!|Report

好きな会社といわれても、自分の会社以外はよくわからないのが、出世欲のない凡百サラリーマンの性(サガ)なのだ(自虐ネタです。ほんとは大車輪の活躍をみせております、ハイ)。

そんな貴兄が「#推したい会社」コンテストに参加するためには、推しのポイントを少しずらして好きな会社をみつけるのが得策ですよ、という天からの啓示を受けた。そしてひねり出した答えが、「『社史』がクールな会社を推す」という立ち位置だ。

オッケー、いいでしょう。「まいった。一本取られた」の『社史』を持つ会社をノミネートしてみようではないか。


1.社史って何?

しかし、そもそも社史ってなんだ?

社史とは文字どおり会社の歴史のこと。創業から現在までの変遷を、製品や商品の誕生秘話、エポックメイキングとなる出来事、創業者の経営哲学や成功体験などを踏まえながら、ふつうは時系列で記していく。50周年や100周年などのタイミングでまとめられ、書籍や冊子(これをここでは『社史』と表示する)の形で世に出されることが多い。

企業が『社史』を編纂するのには、大概の場合、次のような目的がある。

  1. 自社の歴史の記録と保存

  2. 企業のPRとブランディング

  3. 組織文化の継承

  4. 従業員への感謝とアイデンティティ強化


2.企業を際立たせる『社史』のデザイン

このなかで今回注目するのが「企業のPRとブランディング」。『社史』は企業の特徴や魅力を伝える手段として、ブランディングやマーケティング、リクルーティングなど様々な目的に活用される。顧客とのコミュニケーションの手段としても有効なテキストになる。

顕示欲が高まりすぎると、『社史』は「すごいぜ!わが社」的な鼻持ちならないものになりがちだ。これはよくわかる。自分が社史編纂を兼任してたときも自己愛にうもれていたもんなあ。

そうならないよう慎重かつ大胆に目立ちたいとき、人は思いもよらない手段をとる。それが本ではないカタチでの『社史』のデザインだ。
さあ、刮目してみてほしい。


3.マンガを媒体とした『社史』

ずいぶんと前から、マンガは若い人やオタクだけのものではなくなった。日本人の2人に1人は「年に1冊以上はマンガを読む」など、我が国はマンガ大国を謳歌している。

木村情報技術株式会社(本社:佐賀市)は社名こそおかたいが、『社史』をマンガとして編集・出版している頭のやわらかい企業だ。ウェブ講演会の運営・配信やオンライン学会で事業を興した木村隆夫社長を中心とした創業メンバーが主な登場人物。創業からの苦労や創意工夫、心の動きがストーリー仕立てで描かれていて、イラストと会話によって楽しく読み進めることができる。

noteでも読める⇒ https://note.com/kimura_it/m/m56b0dd46e920

各話も失敗と成功、起承転結など変化があって楽しい。ときどきクスッとできるエピソードが挿入されているが、これは物語の箸休めになるだけでなく、企業のイメージアップにつながると予想する。なによりもマンガなのでスイスイ読み進められ、時短世代が食指を動かすには抜群の効果があるだろう。


4.かるたを媒体とした『社史』

アシザワ・ファインテック株式会社(本社:習志野市)は、微粉砕機・分散機という耳慣れない機械の総合メーカー。1903年創業の製造業だ。ナノサイズまでの微粒子を開発・生産することを社是とする。

こちらの工夫は『社史』のかるた化だ。 会社の歴史や伝統、社風、仕事の内容などを札にして読む。親しみやすく楽しく――これを実現するため、老舗だからか日本の伝統的な遊びのツールであるかるたを使っている。

かるた社史は、本よりも持ち運びやすいため広く配布でき、認知度向上のチャンスが増えそうである。ゲーム感覚で情報を伝えるから記憶に残りやすく、企業に対する興味やコミュニケーションを高めもする。役札の計算方法や団体戦の進め方などを解説した「アシザワかるた競技規則」を同封するのは、そうした意図からだろう。イベントや展示会などで配布されることもあり、企業のプロモーションにも活用されている。


5.形容不能の『社史』

株式会社拓匠開発(本社:千葉市)の『社史』は製本版だが、破天荒ぶりがスゴイ。まず本文の紙がはみ出している。どうやって本棚に陳列するんだ?のレベルだ。工藤英之社長の経歴もなかなかにゲリラ的だ。詳しくはこのnoteを読んでほしい。👇

それにU-30の社員たちが考えた奇想天外な未来が描かれている。「本能に、感動を。」という経営理念も異彩を放っている。

30周年史だという。「どうせ目立ちたいだけの成金企業でしょ」なんてアナタは思うかもしれない。ところがどっこい、すごくおしゃれでイノベーティブな会社なのだ。

本業は宅地開発や戸建分譲などである。だけどその枠にとどまらず、ツリーハウスのあるカフェ&コミュニティスペース 「椿森コムナ」や、あんパンもカレーパンもないパン屋「トイット」を経営するなど、まちと一体化した開発を次々と手がけている。その結果、11案件でグッドデザイン賞を獲得している、いや量産していると言ったほうがいい。


6.まとめ

さて、これらの企業には共通した特徴がある。
それはチャレンジ=社員の成長を後押しする企業文化だ。

挑戦を後押しするには「アイデアの尊重」や「失敗の許容」が必要だ。それに「フラットなコミュニケーション」をとおして価値観を社員に伝えなければならないし、下支えする組織体制や独自の人材育成制度が不可欠である。

もちろん経営陣には「社員の成長」と「会社の成長」のベクトルをすり合わせる技量が求められる。「技量」を「愛」と言い換えてもいい。株式会社拓匠開発の工藤社長の言葉で代弁しよう。

Q 挑戦しつづけられる理由は?
大好きなメンバーと楽しく良いものをつくり、お客様の感動する姿を目の当たりにしていれば、これ以上、素晴らしいことは無いと思います。「拓匠開発と出会えて良かった」、そう思ってもらえる会社にしようという強い想いこそが、エネルギーの源です。「わー、すごい!」と言われることは〝満足〞を超えた〝感動〞ですよね。それを、メンバーと分かち合える喜び。利益のためだけではなく、そういう喜びを分かち合えることを幸せだと感じられなければ、それは偽物だと思います。

【出典】https://i-hivechiba.com/rollmodel/2018-rm01

『社史』がとんでもない会社は、チャレンジ精神と成長への渇望もとんでもないのだ。

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