供養がてら書いた小説を挙げてみる。

シチュエーション:才能はあるが、性格が苛烈な感じだったせいで仲間出来ずにやさぐれる女魔術師

 冒険者ギルドに設営された酒場の隅にて、少女魔術師のアラスカは丸テーブルにジョッキを叩きつけた。テーブルには空となったジョッキが七つ転がっている。

 飲み方は仕事終わりの男たちがする豪快な飲み方でもなく、貴族たちがするお上品な飲み方でもない。人生の下り坂を駆ける者たちが捨て鉢になってからする飲み方だ。年若き少女がするにしては早すぎる。

 彼女は酔っぱらおうと考えていた。しかし、水とも酒とも言えない安酒では酔いは回らない。素面で泣きわめこうとも考えていたが、彼女の高い自尊心がそれを許さなかった。

 一体、彼女がなぜやけ酒を決め込んだのかをまずは記さねばなるまい。


 魔術師アラスカは在籍中に学園の実技筆記ともに首位で突破した神童だった。

 そのうえ、彼女は自尊心が高い。

 教えを請われたら、「そんなことも知らないの」から始まり、「わかったわね?」で終わる。そんな訳で、彼女は学園一の才女にして学園一の孤独な生徒となっていたのである。

孤独の才能はあっても、孤独の耐性がなかったアラスカは別の世界に目を向ける。

『無法者と食うに困る連中がほとんど』と悪名高い職業、冒険者だ。ここなら、気の合う仲間も見つかるだろうと楽観的に考えていた。

 しかし、アラスカが抱いた希望は、波にさらわれる砂山めいてあっけなく崩れ去る。

 彼女は空気を読めないタイプの魔術師だったのだ。パーティの不仲とストレス値に火をつける世間知らずなど誰が欲しがるのか。

 一週間ほど粘っても、結局パーティから外される。ダンジョンに行きたくても、パーティなしでは入れない。パーティを遠目で見るみじめさを酒とたばこで噛み殺す毎日を自堕落に送っていた。

ここで冒頭に戻る。

 財布の中身は銅貨数枚、これだけ。手持ちではもう、安酒もあおれない。ますます、みじめになってくる。

 頭の中では様々な案が浮かんでは消える。『強盗』から始まり、『花売り』で終わり。思考が並べた選択肢を自尊心が全て蹴り飛ばしてしまった。

 つまるとこ、無策である。最後の酒も飲み干してしまった。

「神にでも祈りたくなる一日だよ」と、アラスカは吐き捨てた。

(続きはないです……プロットもないです……)

もしも。アナタがほんの少しだけ協力してくれるのなら。 書いている人が希望を持てます。 そして、記事が若干面白くなります。