りんごあめ(ぽえむ)

何気ない日常が今日もやってきた


授業のチャイムが寂しくて

なんとなくつまらないあたし、


先生の声にクラスメイトの喋り声

耳に入ってくるものすべてが遠く聞こえた

机に肘をついて

いまの想いをノートに書きだしてみる


「退屈 」

「友達」

それと「恋」


窓の外の男子を見ても

特に変わらず流れゆくこの時間


「クラスの みんなは 恋してるのかな…」


下校になって

ぞろぞろ帰り始める生徒たち

あたしはいつも独りなの


そのとき通る小さな公園

屋上よりも強かで優しい風が

ふわりふわりと舞い降りる


ベビーカーを引いて歩くお母さん

仲良さそうに手を繋いで笑うおじいちゃんとおばあちゃん

颯爽と走り抜けていくジョギングのお兄さん



あたしはここが大好きで

みんなが好きな場所なんだ

みんなの大好きがほのかにそっと詰まってて

いろんな愛が見えるんだ


嬉しさが心の瓶に滴り落ちて溜まってく



まっすぐ前を見つめると

紅く染まった夕焼けが ゆっくりあたしにお辞儀する


「こんばんは」


その笑顔はとても綺麗で可愛くて

あたしは“自分”を奪われた


立ち上がって涙が落ちたことにも気付かずに

ただ…ずっと見つめてた


あたしの鼓動がはしゃぐようにはやくなる

この高鳴りがなによりも幸せで “自分”になるんだ

林檎飴のような甘酸っぱいこんな日をあたしの心は忘れない


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