特急列車「サフィール踊り子」
ありきたりな観光旅行に飽きてきた、と感じることはありませんか。そんなときは、目的地までの移動も楽しめる列車の旅をおすすめします。たとえば伊豆旅行なら、特急「踊り子」が一般的ですが、「サフィール踊り子」というプレミアム列車を利用してみると、いつもと違う旅が楽しめます。
サフィール踊り子は、東京と伊豆を結ぶ特急列車なのですが、全車両がグリーン席になっていて、カフェテリアでは有名シェフ監修のイタリアンが味わえるという、設備、サービス、価格のすべてにおいてワンランク上の列車になっています。わたしは今回、はじめてサフィール踊り子で旅をしてみたので、そのメリットとデメリットについてお伝えしたいと思います。
まず、この列車を利用するメリットをひとことで言うと特別感なのですが、ここでは、車両設備に裏付けられた、エンターテイメント性と快適性の高さに触れておきます。
「エンターテイメント性」というのは、移り変わる車窓からの景色です。初めて目にする伊豆大島と利島にも感動しましたが、特筆すべきは東伊豆海岸線です。絶景ポイントでは速度が落とされ、大海原が眼下に広がり、まるで船に乗っているかのように錯覚する瞬間もありました。そして、サフィール踊り子の、他に類を見ない特徴のひとつが天窓です。天井の両側に窓があり、青い空と緑のトンネルが交互に現れ、眼を楽しませてくれます。視線を落とせば、大海原や断崖絶壁といった伊豆独特の地形、さらに温泉のやぐらからあがる湯けむりなど、海沿いを走る小田原~下田間は景色に飽きることはありませんでした。
また、サフィール踊り子の快適性は、新幹線のグリーン車と同等かそれ以上だと感じました。防音性や防振性に優れ、静かで安定感があることは言うまでもありません。座席は、海側二列、山側一列というぜいたくな配置で、前の席との間隔も広く、ゆったりしたシートには、新幹線にはないフットレストが標準装備されています。疲れていた足をフットレストにのせた瞬間の癒しと感動は、今でも忘れられません。長距離移動に伴う身体への負担が小さくなるように設計されていて、移動タイムが休息タイムとなり、コストに見合うだけの価値を実感できました。
一方、デメリットは本数の少なさと、コストです。往路で利用しようとすると、出発が昼前に限定されるので、行程を柔軟に組めません。また料金は、踊り子と比較して4割増しのイメージです。たとえば、横浜~下田間で比較すると、踊り子であれば5,000円ですが、サフィール踊り子であれば、7,080円になります。プラス2,000円の追加コストは、エンターテイメント代や快適料といえるでしょう。
予算と時間に余裕があれば、ぜひ、目的地までの移動も楽しめる列車の旅も検討してみるのはいかがでしょうか。
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