掌編怪談「蜘蛛の巣」

暖かくなってきた影響か

最近よく蜘蛛の巣に引っ掛かる

鬱陶しいのでその都度払うが、目には見えず粘性もあるのでそこそこ手間だ

払ったばかりなのに、また腕に絡み付いた

払おうとした瞬間、思い切り腕を引っ張られた

転んだが痛みはない

何事かと顔を上げると目の前に俺の背中がみえる

わけもわからず眺めていると、何かが俺の横を通り過ぎた

その何かはスッと俺の体に入り込むと、こちらに振り向いた

この体、貰ったから

そう言うと歩き始めた

それから俺は体を取り返すために付き纏っている

そろそろ自我が保てない

早く何とかしなければ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?