掌編怪談「家族の絵」

子供の描く家族の似顔絵

そこに描かれる祖母には、何故か左腕がなかった

まぁ子供の描く絵なんてそんなものだと、その時は特に気にしていなかった

嬉しいことに年々子供の絵は上達していくが、祖母の左腕だけは頑なに存在しないままであった

子供に、何か意味があるのかと聞いてみても見たままを描いていると言う

その話をした翌日、子供が家族の似顔絵を描いてくれた

その絵の祖母には左腕がしっかりと生えていたのでホッとした気分だ

その日の夕方、祖母は事故で左腕を失った

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