掌編怪談「催眠」

友人が催眠術を練習中とのことなので、数人集めて催眠をかけてもらうことにした

私は動けなくなる催眠をかけてもらい

別の友人は声が出せなくなったりと盛り上がっていたが、問題が起きた

名前を忘れるという催眠がなかなか解けないのだ

色々な方法を試していたが一向に解けない

面白がった友人がペンとノートを渡し、名前を書かせた

ノートには漢字が一文字書かれたが、こんな文字は見たことがない

何て読むのか尋ねると"グビタチ"だと答えた

名前の響きに薄ら寒さを感じたので、免許証を確認させる

 あぁ!これ俺だ!

友人のそんな反応に皆が笑っていた

その数日後、彼は事故で亡くなった

事故の際に切断された首は未だに見つかっていない

あの日書かれた漢字は探しても見つからなかった

日本語でも中国語でもチュノムでも幽霊文字でもない

あの漢字は一体なんだったのだろうか

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