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掌編怪談

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自作の掌編怪談のまとめ
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2024年2月の記事一覧

掌編怪談「踏み切り」

道を遮るように遮断機が下りている

カンカンカンと耳障りな音が鳴り響き、赤いランプが鬱陶しく点滅する

先程まで何もないただの地下道であったはずだが…瞬き一つでこうも変わるものなのか…

驚きでしばらく目を見開いていたが、抗えない欲求に一瞬瞼が視界を塞ぐ

目の前の光景に驚き、何度か意識的に瞬きを行う

瞬きをするたびに、目の前に現れた女性の顔が恐怖に歪む

そして俺と目が合うと、その顔から一切の

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掌編怪談「花畑」

春風に揺れる花畑に混ざり、真っ赤に濡れた人の手が時折見えることがある

それだけでも奇妙だが、他の花より激しく振られる手には気をつけた方がいい

その手をずっと見ていると指が一本ずつ折られていき、立てられた指が無くなると同時に利き手が腐り落ちるから

掌編怪談「家族の絵」

子供の描く家族の似顔絵

そこに描かれる祖母には、何故か左腕がなかった

まぁ子供の描く絵なんてそんなものだと、その時は特に気にしていなかった

嬉しいことに年々子供の絵は上達していくが、祖母の左腕だけは頑なに存在しないままであった

子供に、何か意味があるのかと聞いてみても見たままを描いていると言う

その話をした翌日、子供が家族の似顔絵を描いてくれた

その絵の祖母には左腕がしっかりと生えてい

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